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第15章 4月の一斉試験
89 早速の話し合い
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試験の翌日の4月3日、第2曜日。
いつも通り、少し遅めに朝食を取りに食堂へ入ったところで。
『ニナです。もし時間があれば、ちょっと話しませんか』
そんな伝達魔法のメッセージが届いた。
視線をテーブル席に向ける。
ニナをはじめカタリナ、フイン、ケイトという4人組がいた。
テーブルを2つくっつけ、朝食を取りながら何か話している。
『わかった。昨日の分の食器を返したら行くから』
そう返事して、下膳口で食器を返却し、彼女たちのテーブルへ向かう。
「おはよう。ヒナリは?」
このメンバーなら、当然ヒナリもいるのが普通だろう。
なぜ今日はいないのだろう。
「今日は勉強ガチるからパス~って。今回の試験、第二施設に残れたのほんとギリだったらしくて、やばいから頑張るってさ」
ケイトの言葉に、ちょっと疑問を感じた。
成績には順位は出ていないはずなのに、なぜぎりぎりだと判断したのだろう。
気になったので聞いてみる。
「ぎりぎりって、何かそういうことが書いてあったの?」
「んー、よくわかんないけど、ヒナリ曰く、たぶんお情けの繰り上げ合格だって」
なるほど。
おそらく試験の点数か、学習時間のどこかで危ないと感じる何かがあったのだろう。
なら今日の本題にうつるとしよう。
彼女たちが話している内容は予想がついている。
昨日からヌローラ商業施設で、夏物セールがはじまったはずだ。
きっとその関係だろう。
「今日は、そろそろ水着を買いに行く話?」
ストレートに聞いてみる。
「本来はその予定でした。ですが昨日ケイトが見に行ったところ、セールは始まっていたものの、値段はほとんど下がっていなかったようなのです」
「試験終わってすぐ行ってみたんだけどさあ。『セール!』って書いてあるし、種類も増えてるけど、全然安くなってないんだよね」
ニナとケイトの説明で、状況は理解した。
つまりお値段的に納得出来ないから、いまひとつ買う気がしないので悩んでいると。
気持ちは理解出来る。
しかしケイト、昨日のうちに見に行くとは思わなかった。
正直タフだなと感じる。
私は試験のせいか気分的に少し疲れていた。
本当は試験終了後、さっさと寝てしまいたかった位だ。
しかし残念ながら、ノルマもあるし予定もある。
なので魔法・言語・自然科学・地理歴史を1単位時間ずつ進め、夜はエアロビダンス初級にも参加した。
おかげで寝る前は、もうぐったりという感じだったのだ。
まあ、それはさておき。
「じゃあもう少し待つ? セール期間中に値段を下げるなんてことはやるし。それにどうせ毎月もセールをやるんでしょ」
「ええ。ただ、この調子だと来月も安くなっているかは怪しいと思います。そこで別の商業施設を見に行こうか、という話をしていました。タブレットがあるならポアノンの地図を出して、『若い女性向けの水着を扱う商業施設』で検索してみてください。5か所出るはずです」
ニナの言葉に従い、タブレットで検索すると――確かに5か所が表示された。
南島
● ヌローラ商業施設
● 旧市街近くのフイル商業施設
● 南東、公設市場から600mほど東のペラウ商業施設
北島
● 公設市場から北へ300mほどのツエフ商業施設
● 西やや北側の工場地帯にあるトロナ商業施設
タブレットで表示された各商業施設の位置を確認して考える。
ヌローラとフイルなら治安の心配はないだろう。
しかし他の3つは、生徒の服装で行って大丈夫かどうか微妙だ。
ペラウはピウピタ地区に近い。
トロナは工場地帯で、アイナエア地区からも遠くない。
ツエフは公設市場に近いので、比較的安全そうだけれど、どうだろう。
知識魔法で確認してみる。
『昨日、住民調査と一斉検挙があったため治安は悪化中です。特に北岸のアイナエア地区およびピウピタ地区では、活動家が対立を煽っており、当分は近づかない方が無難です』
なるほど。
「水浴場のオープンまで、まだ1ヶ月半あるよね。なら少し待って様子をみた方がいいと思う。フイルくらいなら見に行ってもいいけど」
「フイルは、私たちの経済事情では合わないと思います。価格的に見るべき場所はトロナです」
フインが危ない場所を出してきた。
危ない場所にあるからこそ安い、ということか。
そう考えたところで、知識魔法が起動する。
『価格順は高い方から、フイル > ペラウ > ヌローラ≧ツエフ > トロナという感じです。またヌローラは若い女性専用、ツエフは女性一般、その他3つは男女全般の服飾を扱う施設です。施設によって扱う服の傾向も異なります』
確かに調べたくなるのはわかる。
知識魔法でもある程度はわかるけれど、雰囲気や商品の傾向は実際に見た方が理解しやすい。
それでも今は、時期が悪い。
だから私自身の意見としてはこうなる。
「私は今は北島や、北岸に近い場所は避けた方がいいと思う。さっき言った通り、まだ1ヶ月半あるんだし」
「チアキは、私やケイトと同じく『今はやめておこう』派なのですね。カタリナとフインは、『早めに一度様子を見ておきたい』派で」
フインが積極派なのはわかる。
しかし、カタリナまで同じ意見だったのは意外だった。
社会見学実習の時は割と慎重だと感じたのだけれど。
あとケイトは言葉こそギャル系だけれど、慎重派らしい。
この辺もギャップがあるなと感じる。
いつも通り、少し遅めに朝食を取りに食堂へ入ったところで。
『ニナです。もし時間があれば、ちょっと話しませんか』
そんな伝達魔法のメッセージが届いた。
視線をテーブル席に向ける。
ニナをはじめカタリナ、フイン、ケイトという4人組がいた。
テーブルを2つくっつけ、朝食を取りながら何か話している。
『わかった。昨日の分の食器を返したら行くから』
そう返事して、下膳口で食器を返却し、彼女たちのテーブルへ向かう。
「おはよう。ヒナリは?」
このメンバーなら、当然ヒナリもいるのが普通だろう。
なぜ今日はいないのだろう。
「今日は勉強ガチるからパス~って。今回の試験、第二施設に残れたのほんとギリだったらしくて、やばいから頑張るってさ」
ケイトの言葉に、ちょっと疑問を感じた。
成績には順位は出ていないはずなのに、なぜぎりぎりだと判断したのだろう。
気になったので聞いてみる。
「ぎりぎりって、何かそういうことが書いてあったの?」
「んー、よくわかんないけど、ヒナリ曰く、たぶんお情けの繰り上げ合格だって」
なるほど。
おそらく試験の点数か、学習時間のどこかで危ないと感じる何かがあったのだろう。
なら今日の本題にうつるとしよう。
彼女たちが話している内容は予想がついている。
昨日からヌローラ商業施設で、夏物セールがはじまったはずだ。
きっとその関係だろう。
「今日は、そろそろ水着を買いに行く話?」
ストレートに聞いてみる。
「本来はその予定でした。ですが昨日ケイトが見に行ったところ、セールは始まっていたものの、値段はほとんど下がっていなかったようなのです」
「試験終わってすぐ行ってみたんだけどさあ。『セール!』って書いてあるし、種類も増えてるけど、全然安くなってないんだよね」
ニナとケイトの説明で、状況は理解した。
つまりお値段的に納得出来ないから、いまひとつ買う気がしないので悩んでいると。
気持ちは理解出来る。
しかしケイト、昨日のうちに見に行くとは思わなかった。
正直タフだなと感じる。
私は試験のせいか気分的に少し疲れていた。
本当は試験終了後、さっさと寝てしまいたかった位だ。
しかし残念ながら、ノルマもあるし予定もある。
なので魔法・言語・自然科学・地理歴史を1単位時間ずつ進め、夜はエアロビダンス初級にも参加した。
おかげで寝る前は、もうぐったりという感じだったのだ。
まあ、それはさておき。
「じゃあもう少し待つ? セール期間中に値段を下げるなんてことはやるし。それにどうせ毎月もセールをやるんでしょ」
「ええ。ただ、この調子だと来月も安くなっているかは怪しいと思います。そこで別の商業施設を見に行こうか、という話をしていました。タブレットがあるならポアノンの地図を出して、『若い女性向けの水着を扱う商業施設』で検索してみてください。5か所出るはずです」
ニナの言葉に従い、タブレットで検索すると――確かに5か所が表示された。
南島
● ヌローラ商業施設
● 旧市街近くのフイル商業施設
● 南東、公設市場から600mほど東のペラウ商業施設
北島
● 公設市場から北へ300mほどのツエフ商業施設
● 西やや北側の工場地帯にあるトロナ商業施設
タブレットで表示された各商業施設の位置を確認して考える。
ヌローラとフイルなら治安の心配はないだろう。
しかし他の3つは、生徒の服装で行って大丈夫かどうか微妙だ。
ペラウはピウピタ地区に近い。
トロナは工場地帯で、アイナエア地区からも遠くない。
ツエフは公設市場に近いので、比較的安全そうだけれど、どうだろう。
知識魔法で確認してみる。
『昨日、住民調査と一斉検挙があったため治安は悪化中です。特に北岸のアイナエア地区およびピウピタ地区では、活動家が対立を煽っており、当分は近づかない方が無難です』
なるほど。
「水浴場のオープンまで、まだ1ヶ月半あるよね。なら少し待って様子をみた方がいいと思う。フイルくらいなら見に行ってもいいけど」
「フイルは、私たちの経済事情では合わないと思います。価格的に見るべき場所はトロナです」
フインが危ない場所を出してきた。
危ない場所にあるからこそ安い、ということか。
そう考えたところで、知識魔法が起動する。
『価格順は高い方から、フイル > ペラウ > ヌローラ≧ツエフ > トロナという感じです。またヌローラは若い女性専用、ツエフは女性一般、その他3つは男女全般の服飾を扱う施設です。施設によって扱う服の傾向も異なります』
確かに調べたくなるのはわかる。
知識魔法でもある程度はわかるけれど、雰囲気や商品の傾向は実際に見た方が理解しやすい。
それでも今は、時期が悪い。
だから私自身の意見としてはこうなる。
「私は今は北島や、北岸に近い場所は避けた方がいいと思う。さっき言った通り、まだ1ヶ月半あるんだし」
「チアキは、私やケイトと同じく『今はやめておこう』派なのですね。カタリナとフインは、『早めに一度様子を見ておきたい』派で」
フインが積極派なのはわかる。
しかし、カタリナまで同じ意見だったのは意外だった。
社会見学実習の時は割と慎重だと感じたのだけれど。
あとケイトは言葉こそギャル系だけれど、慎重派らしい。
この辺もギャップがあるなと感じる。
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