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第17章 来週の予定
98 来週の予定2件目
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「いいけれど、何か見たいジャンルってある?」
特にない。
というか、意見を言えるほど演劇事情に詳しくない。
あ、でも、強いて言うなら……
「前にリラノ商業施設でやっていた不条理系統のものは、どちらかというと苦手かも」
「ひょっとして見に行った?」
「情報紙の評価を読んだだけ。斬新すぎて、仮に日本語でやったとしても理解出来ない内容って気がしたから」
アキトが苦笑という感じの笑みを浮かべる。
「確かに。リラノ商業施設は色々な意味で最先端すぎる場所みたいだからさ。演劇も売っている服も一般的ではない感じだし。今も理解しにくいのをやっているみたいだ。これ」
アキトが情報紙を収納から出して、中を開いて私に渡す。
指さされた部分を見ると……
『ペルリアの演劇界に革命を起こした劇団パタフイツの不条理劇『超女性』、ポアノン公演開始』
何か微妙に似たような感じの評価を読んだような……
うん、やっぱり前例がなく、難解なようだ。
今度は演出家で主宰である某氏の政治的信念が込められているところが、前に読んだものとの相違点。
こういったものが好きな人は、きっといるだろう。
でも今の私には必要ない気がする。
「やっぱり評論を見ても、惑星オーフ初心者が楽しめそうな感じはしないよね」
そこまで言って、ついでに聞いておくと自然かなという質問を思いついた。
「今度は何を見に行くつもりか、もう決めた?」
「まだ詳しくないからさ。取りあえず評価が高くてわかりやすそうなのを探して、行こうと思っている。来週だと……」
アキトが私の持っている情報紙に手を伸ばした。
本人としては、特に何か企図しているわけではなく、単に説明の為にそうしただけだろう。
しかしテーブルを挟んででなく、ベンチに並んで座ってそういうことをすると、距離が一気に近くなる。
日本時代ですら男子とそう付き合いがなかった私としては、もうどきどきものだ。
もちろん態度には出さない。
そういった経験のなさなんて、見せるつもりはないから。
私なりのプライドというか見栄というやつで。
「今考えているのは、この辺り。ヒリナ観劇で次の第6曜日からやっている……」
◇◇◇
アキトと別れライル商業施設を確認。
こちらは明らかに物価高めだなと確認した後、トイレをお借りして着替えて、結果的に何も買わずに出て。
11時過ぎに施設へ帰ったらあとは日常。
いつも通り学習をすすめて、代わり映えのしない昼食を食べて、また学習をすすめて、夕食を取りに行って、また学習をすすめて。
そして現在は自然科学Ⅱを1単位時間進めて、ダンスに行く為に着替え、時間調整をかねた休憩中。
今日の私は調子がいい。
暗記すべきことが多くて基本的には苦手な自然科学の生物関係の学習も、割と気分よく重要事項をまとめられたくらいに。
理由はわかっている。
アキトと来週の第1曜日、12時開演の演劇を見に行く約束をした。
それが今から楽しみだからだ。
知識魔法で劇団の過去の評判や、今回の演目について、更には劇場詳細や観劇についてを調べてしまうほどには。
もちろんこれは、
○ いつもの机にかじりついてやる学習ではなく、外へ出ること
○ 演劇鑑賞という知らない体験をすること
○ 演劇そのものの内容が面白そうなこと
が楽しみなのだ。
アキトと会うことが楽しみなのではない。
確かにアキトは話しやすいし、話していて楽しい。
それは間違いなく事実だ。
ただそれは元日本人で、似たような文化出身だから。
日本時代に自他共に認める可愛げない系女子に、それ以上の理由はない。
ただそれでも、今日はいい日だったなと思う。
何せ普段は、食堂まで自室を2往復、運動場で1往復以外は寮の外に出ずにひたすら机に向かって学習するだけ。
食堂や運動場でニナ達に会わなければ、誰とも会話をしない日なんてのも普通にある。
そう考えると、アキトと情報交換が出来るというのは、やっぱりイベントとしてはなかなかいい部類なのだ。
まあ今日はダンスがあるから、ニナやフインと少しくらいは話すと思うけれど。
タブレットの時刻表示を確認する。
18時50分。
行ってニナ達と少し話すと考えれば、ちょうどいい時刻だろう。
廊下に出て階段を降りて、渡り廊下を通って室内運動場へ。
ニナとフインはもう来ていた。
まいどのことながら上級の4人が派手に動いているのは、もう気にしない方針で。
「こんばんは」
「こんばんは。チアキにちょっと話があるのですが、いいでしょうか」
おっと、何だろう。
「大丈夫だけれど、何かあった?」
「来週の4月9日第2曜日、また女子会をやろうという話が出ています。ヒナリからケイト経由で私とフインに話がありました。あとはチアキのほか、カタリナを誘う予定です。場所は特に希望がなければまた自然公園で、同じように60Cで一品持ち寄ろうと思っています」
「実際はケイトによれば、ヒナリが勉強に飽きて息抜きをしたいからだそうです。ただケイトは『ヒナリの認識は甘いので、皆で現実を教えてやれ』と言っていました」
なるほど。
でも現実を教えてやるのはともかくとして、楽しそうだ。
自然公園に行って、フンテト君に会いたい気もする。
せいぜい3時間くらいしかかからないから、学習進度が遅れるなんてことも考えなくていい。
第1曜日でなくて良かったと思いつつ、私は返答する。
「わかった。私も参加でいい?」
特にない。
というか、意見を言えるほど演劇事情に詳しくない。
あ、でも、強いて言うなら……
「前にリラノ商業施設でやっていた不条理系統のものは、どちらかというと苦手かも」
「ひょっとして見に行った?」
「情報紙の評価を読んだだけ。斬新すぎて、仮に日本語でやったとしても理解出来ない内容って気がしたから」
アキトが苦笑という感じの笑みを浮かべる。
「確かに。リラノ商業施設は色々な意味で最先端すぎる場所みたいだからさ。演劇も売っている服も一般的ではない感じだし。今も理解しにくいのをやっているみたいだ。これ」
アキトが情報紙を収納から出して、中を開いて私に渡す。
指さされた部分を見ると……
『ペルリアの演劇界に革命を起こした劇団パタフイツの不条理劇『超女性』、ポアノン公演開始』
何か微妙に似たような感じの評価を読んだような……
うん、やっぱり前例がなく、難解なようだ。
今度は演出家で主宰である某氏の政治的信念が込められているところが、前に読んだものとの相違点。
こういったものが好きな人は、きっといるだろう。
でも今の私には必要ない気がする。
「やっぱり評論を見ても、惑星オーフ初心者が楽しめそうな感じはしないよね」
そこまで言って、ついでに聞いておくと自然かなという質問を思いついた。
「今度は何を見に行くつもりか、もう決めた?」
「まだ詳しくないからさ。取りあえず評価が高くてわかりやすそうなのを探して、行こうと思っている。来週だと……」
アキトが私の持っている情報紙に手を伸ばした。
本人としては、特に何か企図しているわけではなく、単に説明の為にそうしただけだろう。
しかしテーブルを挟んででなく、ベンチに並んで座ってそういうことをすると、距離が一気に近くなる。
日本時代ですら男子とそう付き合いがなかった私としては、もうどきどきものだ。
もちろん態度には出さない。
そういった経験のなさなんて、見せるつもりはないから。
私なりのプライドというか見栄というやつで。
「今考えているのは、この辺り。ヒリナ観劇で次の第6曜日からやっている……」
◇◇◇
アキトと別れライル商業施設を確認。
こちらは明らかに物価高めだなと確認した後、トイレをお借りして着替えて、結果的に何も買わずに出て。
11時過ぎに施設へ帰ったらあとは日常。
いつも通り学習をすすめて、代わり映えのしない昼食を食べて、また学習をすすめて、夕食を取りに行って、また学習をすすめて。
そして現在は自然科学Ⅱを1単位時間進めて、ダンスに行く為に着替え、時間調整をかねた休憩中。
今日の私は調子がいい。
暗記すべきことが多くて基本的には苦手な自然科学の生物関係の学習も、割と気分よく重要事項をまとめられたくらいに。
理由はわかっている。
アキトと来週の第1曜日、12時開演の演劇を見に行く約束をした。
それが今から楽しみだからだ。
知識魔法で劇団の過去の評判や、今回の演目について、更には劇場詳細や観劇についてを調べてしまうほどには。
もちろんこれは、
○ いつもの机にかじりついてやる学習ではなく、外へ出ること
○ 演劇鑑賞という知らない体験をすること
○ 演劇そのものの内容が面白そうなこと
が楽しみなのだ。
アキトと会うことが楽しみなのではない。
確かにアキトは話しやすいし、話していて楽しい。
それは間違いなく事実だ。
ただそれは元日本人で、似たような文化出身だから。
日本時代に自他共に認める可愛げない系女子に、それ以上の理由はない。
ただそれでも、今日はいい日だったなと思う。
何せ普段は、食堂まで自室を2往復、運動場で1往復以外は寮の外に出ずにひたすら机に向かって学習するだけ。
食堂や運動場でニナ達に会わなければ、誰とも会話をしない日なんてのも普通にある。
そう考えると、アキトと情報交換が出来るというのは、やっぱりイベントとしてはなかなかいい部類なのだ。
まあ今日はダンスがあるから、ニナやフインと少しくらいは話すと思うけれど。
タブレットの時刻表示を確認する。
18時50分。
行ってニナ達と少し話すと考えれば、ちょうどいい時刻だろう。
廊下に出て階段を降りて、渡り廊下を通って室内運動場へ。
ニナとフインはもう来ていた。
まいどのことながら上級の4人が派手に動いているのは、もう気にしない方針で。
「こんばんは」
「こんばんは。チアキにちょっと話があるのですが、いいでしょうか」
おっと、何だろう。
「大丈夫だけれど、何かあった?」
「来週の4月9日第2曜日、また女子会をやろうという話が出ています。ヒナリからケイト経由で私とフインに話がありました。あとはチアキのほか、カタリナを誘う予定です。場所は特に希望がなければまた自然公園で、同じように60Cで一品持ち寄ろうと思っています」
「実際はケイトによれば、ヒナリが勉強に飽きて息抜きをしたいからだそうです。ただケイトは『ヒナリの認識は甘いので、皆で現実を教えてやれ』と言っていました」
なるほど。
でも現実を教えてやるのはともかくとして、楽しそうだ。
自然公園に行って、フンテト君に会いたい気もする。
せいぜい3時間くらいしかかからないから、学習進度が遅れるなんてことも考えなくていい。
第1曜日でなくて良かったと思いつつ、私は返答する。
「わかった。私も参加でいい?」
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