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第17章 来週の予定
97 デートではないお誘い?
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「そういえば買い物で回ってきたと言っていたけれど、どうだった? 僕が回った限りでは、公設市場と近くの商業施設以外、あえて行く必要はないだろうって感じたんだけれどさ」
なるほど、アキトもそう感じたのか。
「同じかな。今できる程度の買い物なら、南島中心部を離れる必要はなさそう」
「やっぱりそうか。知識魔法も使って確認したんだけれどさ。食品や日用品なら基本的に公設市場で取り扱っているし、扱っているものなら公設市場の方が安い。服もポアノンでは南島中心部の幾つかの商業施設が基準になっていて、他はいまいち。中古で家財道具を揃えたり、特殊な何かを買おうとしない限り、ポアノンではそこまであちこち回る必要はない。
強いて言えば米もどきと醤油、味噌、あと日本風っぽい弁当を売っている店を見つけたけれどさ。値段が高いし今ひとつ美味しくなかったから、あまりお勧めはしない」
あんまり美味しくないか……
でも一応、参考に聞いておこう。
「そのお店って、どの辺にあるの?」
「ペラウ商業施設の場所ってわかるか?」
そこなら問題ない。
「さっき行ってきた」
「なら店より1ブロック南の通りをずっと東に行くと、突き当たりからひとつ手前、南側のブロックに小さな店が集まった場所がある。カリナタ市場街って言うらしいけれど、そこの北西角から2軒目。ウエンヤン食料品店と看板が出ている」
カリナタ市場街は出る前に調べたから、ある程度は知っている。
「カリナタ市場街は比較的排他的な場所だって、知識魔法ではなっていたけれど」
「確かに若干そんな感じはしたかな。日本とはちょっと違った感じがするしさ。中央の広場で集まって、標準語ではない言葉で話している集団もいたし」
なるほど。
そう思いつつ、知識魔法で確認する。
場所さえわかれば、ネットの便利地図のように風景を確認することが可能だ。
知識魔法の場合は、偵察魔法のようにリアルタイムという訳ではないけれど。
脳内に、上空から見ている視点の風景が表示された。
市場街とは、幅8mくらいの広場のような場所の両側に、長屋形式の建物があって、その長屋に店が並んでいるという形式だ。
赤い土壁と同じ色の舗装というのは、他の場所と同じ。
店もすぐわかった。
そこそこ広そうな店内に、食材や惣菜が並んでいる。
知識魔法の視点を動かして、店の中を見てみる。
陳列してある物から見て、日本的というより東アジア的な感じだ。
瓶に入った赤っぽい調味料とか、ケースに入った餃子やシュウマイの親戚っぽいもの各種とか、大きな瓶に入ったよくわからない乾物っぽいの各種とか。
惣菜の方を確認。
中華料理っぽいのとおかずが並んでいる中、ご飯も確かにある。
ただ見た限りでは、おかゆに近い感じだ。
しかもお値段が、1杯40Cとかなりお高め。
基本的には肉まんやあんまん、麺が主食の模様。
「確かにごはんというよりおかゆだし、高いよね」
「米のかわりになっているアローカは、ペルリアではあまり栽培していないらしい。いわゆる精米状態でも値段が高いしさ」
知識魔法で値段を確認。
『ウエンヤン食料品店では、100グラムあたり30Cです。ポアノン公設市場では取り扱いはありません』
5kgに換算すると、何と1,500C。
私の感覚で日本円になおすと、1万5千円。
「確かに高いね。ところでこの辺りまで行って、大丈夫だった? 治安的に」
「南島側は割と大丈夫だと思う。ペラウ商業施設の辺りは北島や北岸から人が来るから注意した方がいいようだけどさ。そうまでして回る価値があるかどうかは別だけれど」
なるほど。
「ペラウ商業施設で不安な感じがしたからそのままこっちへ戻ったけれど、もう少し回ってみても良かったかな」
「いや、それが正解だと思う。用心はした方がいいし、歩き回っても成果はなかっただろうから」
なら安全に済んで、無駄なことをしなくて済んだと思うことにしよう。
ついでにアキトと情報交換も出来たから、むしろ良かったし。
あくまでこれは情報交換で、それ以上の意味はないけれど。
ついでにこっちも聞いてみよう。
「そういえばアキトは今日、演劇だけ?」
「あとは情報紙をそこの本屋で買った。総合紙と演劇の情報が載っている紙と2種類。施設から来て、この公園で着替えて、本屋で情報紙を買って、演劇を見て、またこの公園で着替えて帰るという流れ。と言っても先週からだけれどさ」
なるほど。
以前買った時には読むのに時間がかかってしまったけれど、今の私なら情報紙を読むのは問題ない気がする。
それに演劇を見るのは言葉の勉強になるし、ここの文化を知るという意味で役に立つかもしれない。
これは言い訳ではない。
あくまで私の合理的な判断だ。
あ、でも一応その前に、アキトに聞いておこう。
「他に一緒に来る人とかはいないの?」
「施設に服を買うほど余裕がある生徒は、そうはいない気がする。外出可能な特別授業をとって300C、独自魔法はⅠで100C、Ⅱで200C。これくらいまでやらないと余裕は無いと思う。
あと女子の方はわからないけれど、男子の方では5月の水浴場開きまでに水着を買って参加しようという話があってさ。イベントに参加するとなると、上着付きの水着で1,000C以上はする。
それに1回200Cかかるとなると、気軽に誘うってのはやめた方がいいだろう、きっと」
よしよし、なら問題はない。
200Cくらいの出費なら大丈夫だ。
菓子材料をあまり買うとマイナスになりそうだけれど、表計算を2週間で頑張って終わらせて収入を増やせば問題ない。
これはデートのお誘いではない。
語学や文化の勉強のため、先達に案内をお願いするだけだ。
そう自分に言い聞かせつつ、私は言葉を組み立てて、アキトに尋ねる。
「なら来週に面白そうなのがあったら、案内してもらっていい? 言葉や文化の勉強にもなりそうだし、行ってみたいけれど、1人では不安だから」
なるほど、アキトもそう感じたのか。
「同じかな。今できる程度の買い物なら、南島中心部を離れる必要はなさそう」
「やっぱりそうか。知識魔法も使って確認したんだけれどさ。食品や日用品なら基本的に公設市場で取り扱っているし、扱っているものなら公設市場の方が安い。服もポアノンでは南島中心部の幾つかの商業施設が基準になっていて、他はいまいち。中古で家財道具を揃えたり、特殊な何かを買おうとしない限り、ポアノンではそこまであちこち回る必要はない。
強いて言えば米もどきと醤油、味噌、あと日本風っぽい弁当を売っている店を見つけたけれどさ。値段が高いし今ひとつ美味しくなかったから、あまりお勧めはしない」
あんまり美味しくないか……
でも一応、参考に聞いておこう。
「そのお店って、どの辺にあるの?」
「ペラウ商業施設の場所ってわかるか?」
そこなら問題ない。
「さっき行ってきた」
「なら店より1ブロック南の通りをずっと東に行くと、突き当たりからひとつ手前、南側のブロックに小さな店が集まった場所がある。カリナタ市場街って言うらしいけれど、そこの北西角から2軒目。ウエンヤン食料品店と看板が出ている」
カリナタ市場街は出る前に調べたから、ある程度は知っている。
「カリナタ市場街は比較的排他的な場所だって、知識魔法ではなっていたけれど」
「確かに若干そんな感じはしたかな。日本とはちょっと違った感じがするしさ。中央の広場で集まって、標準語ではない言葉で話している集団もいたし」
なるほど。
そう思いつつ、知識魔法で確認する。
場所さえわかれば、ネットの便利地図のように風景を確認することが可能だ。
知識魔法の場合は、偵察魔法のようにリアルタイムという訳ではないけれど。
脳内に、上空から見ている視点の風景が表示された。
市場街とは、幅8mくらいの広場のような場所の両側に、長屋形式の建物があって、その長屋に店が並んでいるという形式だ。
赤い土壁と同じ色の舗装というのは、他の場所と同じ。
店もすぐわかった。
そこそこ広そうな店内に、食材や惣菜が並んでいる。
知識魔法の視点を動かして、店の中を見てみる。
陳列してある物から見て、日本的というより東アジア的な感じだ。
瓶に入った赤っぽい調味料とか、ケースに入った餃子やシュウマイの親戚っぽいもの各種とか、大きな瓶に入ったよくわからない乾物っぽいの各種とか。
惣菜の方を確認。
中華料理っぽいのとおかずが並んでいる中、ご飯も確かにある。
ただ見た限りでは、おかゆに近い感じだ。
しかもお値段が、1杯40Cとかなりお高め。
基本的には肉まんやあんまん、麺が主食の模様。
「確かにごはんというよりおかゆだし、高いよね」
「米のかわりになっているアローカは、ペルリアではあまり栽培していないらしい。いわゆる精米状態でも値段が高いしさ」
知識魔法で値段を確認。
『ウエンヤン食料品店では、100グラムあたり30Cです。ポアノン公設市場では取り扱いはありません』
5kgに換算すると、何と1,500C。
私の感覚で日本円になおすと、1万5千円。
「確かに高いね。ところでこの辺りまで行って、大丈夫だった? 治安的に」
「南島側は割と大丈夫だと思う。ペラウ商業施設の辺りは北島や北岸から人が来るから注意した方がいいようだけどさ。そうまでして回る価値があるかどうかは別だけれど」
なるほど。
「ペラウ商業施設で不安な感じがしたからそのままこっちへ戻ったけれど、もう少し回ってみても良かったかな」
「いや、それが正解だと思う。用心はした方がいいし、歩き回っても成果はなかっただろうから」
なら安全に済んで、無駄なことをしなくて済んだと思うことにしよう。
ついでにアキトと情報交換も出来たから、むしろ良かったし。
あくまでこれは情報交換で、それ以上の意味はないけれど。
ついでにこっちも聞いてみよう。
「そういえばアキトは今日、演劇だけ?」
「あとは情報紙をそこの本屋で買った。総合紙と演劇の情報が載っている紙と2種類。施設から来て、この公園で着替えて、本屋で情報紙を買って、演劇を見て、またこの公園で着替えて帰るという流れ。と言っても先週からだけれどさ」
なるほど。
以前買った時には読むのに時間がかかってしまったけれど、今の私なら情報紙を読むのは問題ない気がする。
それに演劇を見るのは言葉の勉強になるし、ここの文化を知るという意味で役に立つかもしれない。
これは言い訳ではない。
あくまで私の合理的な判断だ。
あ、でも一応その前に、アキトに聞いておこう。
「他に一緒に来る人とかはいないの?」
「施設に服を買うほど余裕がある生徒は、そうはいない気がする。外出可能な特別授業をとって300C、独自魔法はⅠで100C、Ⅱで200C。これくらいまでやらないと余裕は無いと思う。
あと女子の方はわからないけれど、男子の方では5月の水浴場開きまでに水着を買って参加しようという話があってさ。イベントに参加するとなると、上着付きの水着で1,000C以上はする。
それに1回200Cかかるとなると、気軽に誘うってのはやめた方がいいだろう、きっと」
よしよし、なら問題はない。
200Cくらいの出費なら大丈夫だ。
菓子材料をあまり買うとマイナスになりそうだけれど、表計算を2週間で頑張って終わらせて収入を増やせば問題ない。
これはデートのお誘いではない。
語学や文化の勉強のため、先達に案内をお願いするだけだ。
そう自分に言い聞かせつつ、私は言葉を組み立てて、アキトに尋ねる。
「なら来週に面白そうなのがあったら、案内してもらっていい? 言葉や文化の勉強にもなりそうだし、行ってみたいけれど、1人では不安だから」
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※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
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