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第27章 ひとつだけの嘘~夏の旅行・後編
133 食べて歩いて、また食べて
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俺は完全に寝不足だった。
夜中過ぎまで部屋で盛り上がった挙句、風遊美さんと詩織ちゃん2人で俺のベッドで寝てしまったのだ。
コンパクトサイズの2人だから、シングルベッドでも充分2人で寝られる。
でも当然俺が寝るスペースなど残っていない。
しかしこの状態の2人を残して他の部屋にいくのも何かひっかかる。
結局俺は部屋の椅子で仮眠を取るだけとなってしまった。
まあ2人共騒ぎはしなかったので、他の客に迷惑がかからなかっただけいいという事にしよう。
でも今朝は何気に出発が早い。
おかげでホテルの朝食も、あまり喉に通らない。
「修兄、大丈夫ですか」
「大丈夫、単なる寝不足」
朝食の食堂で香緒里ちゃんに心配される始末。
そして勘がいいと言えば、この人だ。
「ひょっとして修、昨晩ハオ楽シミデシタネ」
「それはもう、風遊美先輩と私の3人でしっぽりと、なのです」
「まあ何てイヤラシイ。私、嫉妬シチャイマスワヨ」
「そういう事態じゃないですから」
「すみません、昨日は」
「大丈夫ですよ」
恐縮している風遊美さんに、出来るだけ寝不足を見せないように返す。
今日も予定は実はそこそこにハードだ。
朝8時発という早い出発の電車で高山に向かう。
ディーゼル特急だが見た目は電車と全く変わらない。
快適な振動に揺られてうとうとしていると、もう目的地の高山だ。
なお朝食のバイキングを人一倍食べた癖に、弁当2種類を持ち込んで食べていた奴がいたようだ。
気のせい……ではない。
実は俺も一口いただいたが、ますのすしは確かに美味かった。
それで俺の寝床を奪った罪を帳消しにするつもりはないけれど。
◇◇◇
さて、こんな早い電車に乗った理由は簡単、高山の朝市を見たかったから。
駅から歩いてすぐの今日の宿に荷物を預ける。
「これから観光です。朝市もお昼まではやっているらしいです。ただ、あんまり変な物は買わないように。あとは宿のチェックイン時刻は4時ですが、5時頃までには戻って来て下さい。以上解散」
そういう訳で、別れて観光になる。
今回も回転寿司の席と同様、攻撃魔法科組、北米連合、俺を含む残り4人の組み合わせだ。
早速一番の問題児が食べ物を発見する。
ダッシュで走って買ってきたのは、みたらし団子※。
しかし良く見つけるなと思う。
俺が店に気づく前にダッシュしているし。
「う、これ甘くない。でも何か美味しいのです」
てっきりよくあるみたらし団子かと思ったが、どうも違うようだ。
「どんな味なんだ」
「うーん、1個だけ許すのですよ」
串を渡してくれたので食べてみる。
あ、甘くないというか醤油味だ。
違和感はあるけれど、確かに美味しいかも。
◇◇◇
しばらく歩いた結果、俺以外の3人の傾向が大体わかってきた。
風遊美さんは、外国人旅行者が好きなそうな『いかにも日本風』というのがお好みのようだ。
香緒里ちゃんもほぼ同じ傾向。
そして詩織ちゃんは食欲優先。
だから4人一緒だと、食べて歩いては旧家を鑑賞し、また食べてという感じになる。
詩織ちゃんがそこここで食べ物を発見しては買ってくる。
つられて俺達も飼い食いしているうちに腹一杯になってしまった、
美味しい食べ歩き物が、この街は多い。
牛串焼きとか飛騨牛コロッケとか、テイクアウトの牛握り寿司とか。
他に飛騨牛の肉まんも食べたし、みたらし団子もう1串食べたし、他にもアイスソフトを……
そんな感じで歩いて食べ、歩いて旧家を鑑賞しとしていると、いつの間にか時間が経っていた。
時計は午後3時40分を回っている。
幸い集合地点の旅館は街中だから、簡単に戻れる。
旅館についてチェックイン手続きをしていると、他の2組もやって来た。
「パスタファリアンとしては、高山ラーメンは外せないれす」
見た目と匂いで、ラーメン食べて民芸品屋で色々買い込んで来たのがわかる北米組。
背負ったディパックにさるぼぼが下がっているあたりが、もろ外国人観光客。
「こういう古い街は初めてだけど楽しいな」
そう言った奈津季さん所属の攻撃魔法組は、飛騨牛を食べてきたらしい。
焼肉の匂いが服に残っている。
まあ、それぞれ楽しんだようで何よりだ。
今回の宿は街中で、場所的に便利だ。
その代わり、館内のアメニティは期待出来ない。
一応男女別の風呂はあるけれど、それ位だ。
なお予約した部屋は6畳の和室4部屋。
どの部屋で誰が寝るかはいい加減になるだろうけれど。
今は歩いた班と同じ組み合わせで3部屋使っていて、1部屋はまだ使っていない。
「いかにも昔ながらという感じで楽しいですね」
「本当ですね。いかにも古い街に来たという感じです」
コテコテな古い宿なのだけれど、風遊美さんと香緒里ちゃんは気に入ったらしい。
確かに風情があると言えばあるのだろう。
古臭いと言えない事もないけれど。
「晩御飯はどうする。どこかへ食べに行くか」
今日は宿の夕食は頼んでいない。
勝手に行け、もしくは買ってこいという事にしている。
「そうですね。食べるところは結構ありましたし」
「私は買い出ししたいのですよ」
詩織ちゃんは買い出し派のようだ。
「せっかくいつも行かない所に来たのですから、そこの土地の人が普段食べていそうなものを食べてみたいのです。レストランなんかは所詮よそ者や特別な日対象なのです。地元スーパーで買い出しする事こそ王道なのです」
あ、いかん。
何となく真っ当な意見に聞こえる。
本人はただ食欲のままに、色々買いたいだけなのだろうけれど。
「そうですね、それも楽しいかも」
香緒里ちゃんが騙された。
「そうですね、昨日みたいに買い出しも楽しいです」
風遊美さんまで。
仕方ない。
「じゃあ行くか」
一応近くのスーパーマーケットについても調べてある。
線路を渡って300m位と案外近い。
※ この櫛団子、正しくは『みたらし』ではなく『みだらし』と濁るそうです。ただし長津田君達は気づいていないので、本文中ではあえてにごらずに記載しています。
夜中過ぎまで部屋で盛り上がった挙句、風遊美さんと詩織ちゃん2人で俺のベッドで寝てしまったのだ。
コンパクトサイズの2人だから、シングルベッドでも充分2人で寝られる。
でも当然俺が寝るスペースなど残っていない。
しかしこの状態の2人を残して他の部屋にいくのも何かひっかかる。
結局俺は部屋の椅子で仮眠を取るだけとなってしまった。
まあ2人共騒ぎはしなかったので、他の客に迷惑がかからなかっただけいいという事にしよう。
でも今朝は何気に出発が早い。
おかげでホテルの朝食も、あまり喉に通らない。
「修兄、大丈夫ですか」
「大丈夫、単なる寝不足」
朝食の食堂で香緒里ちゃんに心配される始末。
そして勘がいいと言えば、この人だ。
「ひょっとして修、昨晩ハオ楽シミデシタネ」
「それはもう、風遊美先輩と私の3人でしっぽりと、なのです」
「まあ何てイヤラシイ。私、嫉妬シチャイマスワヨ」
「そういう事態じゃないですから」
「すみません、昨日は」
「大丈夫ですよ」
恐縮している風遊美さんに、出来るだけ寝不足を見せないように返す。
今日も予定は実はそこそこにハードだ。
朝8時発という早い出発の電車で高山に向かう。
ディーゼル特急だが見た目は電車と全く変わらない。
快適な振動に揺られてうとうとしていると、もう目的地の高山だ。
なお朝食のバイキングを人一倍食べた癖に、弁当2種類を持ち込んで食べていた奴がいたようだ。
気のせい……ではない。
実は俺も一口いただいたが、ますのすしは確かに美味かった。
それで俺の寝床を奪った罪を帳消しにするつもりはないけれど。
◇◇◇
さて、こんな早い電車に乗った理由は簡単、高山の朝市を見たかったから。
駅から歩いてすぐの今日の宿に荷物を預ける。
「これから観光です。朝市もお昼まではやっているらしいです。ただ、あんまり変な物は買わないように。あとは宿のチェックイン時刻は4時ですが、5時頃までには戻って来て下さい。以上解散」
そういう訳で、別れて観光になる。
今回も回転寿司の席と同様、攻撃魔法科組、北米連合、俺を含む残り4人の組み合わせだ。
早速一番の問題児が食べ物を発見する。
ダッシュで走って買ってきたのは、みたらし団子※。
しかし良く見つけるなと思う。
俺が店に気づく前にダッシュしているし。
「う、これ甘くない。でも何か美味しいのです」
てっきりよくあるみたらし団子かと思ったが、どうも違うようだ。
「どんな味なんだ」
「うーん、1個だけ許すのですよ」
串を渡してくれたので食べてみる。
あ、甘くないというか醤油味だ。
違和感はあるけれど、確かに美味しいかも。
◇◇◇
しばらく歩いた結果、俺以外の3人の傾向が大体わかってきた。
風遊美さんは、外国人旅行者が好きなそうな『いかにも日本風』というのがお好みのようだ。
香緒里ちゃんもほぼ同じ傾向。
そして詩織ちゃんは食欲優先。
だから4人一緒だと、食べて歩いては旧家を鑑賞し、また食べてという感じになる。
詩織ちゃんがそこここで食べ物を発見しては買ってくる。
つられて俺達も飼い食いしているうちに腹一杯になってしまった、
美味しい食べ歩き物が、この街は多い。
牛串焼きとか飛騨牛コロッケとか、テイクアウトの牛握り寿司とか。
他に飛騨牛の肉まんも食べたし、みたらし団子もう1串食べたし、他にもアイスソフトを……
そんな感じで歩いて食べ、歩いて旧家を鑑賞しとしていると、いつの間にか時間が経っていた。
時計は午後3時40分を回っている。
幸い集合地点の旅館は街中だから、簡単に戻れる。
旅館についてチェックイン手続きをしていると、他の2組もやって来た。
「パスタファリアンとしては、高山ラーメンは外せないれす」
見た目と匂いで、ラーメン食べて民芸品屋で色々買い込んで来たのがわかる北米組。
背負ったディパックにさるぼぼが下がっているあたりが、もろ外国人観光客。
「こういう古い街は初めてだけど楽しいな」
そう言った奈津季さん所属の攻撃魔法組は、飛騨牛を食べてきたらしい。
焼肉の匂いが服に残っている。
まあ、それぞれ楽しんだようで何よりだ。
今回の宿は街中で、場所的に便利だ。
その代わり、館内のアメニティは期待出来ない。
一応男女別の風呂はあるけれど、それ位だ。
なお予約した部屋は6畳の和室4部屋。
どの部屋で誰が寝るかはいい加減になるだろうけれど。
今は歩いた班と同じ組み合わせで3部屋使っていて、1部屋はまだ使っていない。
「いかにも昔ながらという感じで楽しいですね」
「本当ですね。いかにも古い街に来たという感じです」
コテコテな古い宿なのだけれど、風遊美さんと香緒里ちゃんは気に入ったらしい。
確かに風情があると言えばあるのだろう。
古臭いと言えない事もないけれど。
「晩御飯はどうする。どこかへ食べに行くか」
今日は宿の夕食は頼んでいない。
勝手に行け、もしくは買ってこいという事にしている。
「そうですね。食べるところは結構ありましたし」
「私は買い出ししたいのですよ」
詩織ちゃんは買い出し派のようだ。
「せっかくいつも行かない所に来たのですから、そこの土地の人が普段食べていそうなものを食べてみたいのです。レストランなんかは所詮よそ者や特別な日対象なのです。地元スーパーで買い出しする事こそ王道なのです」
あ、いかん。
何となく真っ当な意見に聞こえる。
本人はただ食欲のままに、色々買いたいだけなのだろうけれど。
「そうですね、それも楽しいかも」
香緒里ちゃんが騙された。
「そうですね、昨日みたいに買い出しも楽しいです」
風遊美さんまで。
仕方ない。
「じゃあ行くか」
一応近くのスーパーマーケットについても調べてある。
線路を渡って300m位と案外近い。
※ この櫛団子、正しくは『みたらし』ではなく『みだらし』と濁るそうです。ただし長津田君達は気づいていないので、本文中ではあえてにごらずに記載しています。
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