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第37章 夢の続き
198 計画は始動する
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「新しいマンションの抽選は通りそうですか」
先生は頷く。
「うちのはエレベーターを待ちたくない、家庭菜園をしたいと言っていてな。1階の個別専有庭付き3LDKの部屋にする予定だ。おそらく抽選すら必要無いだろう。低層階は人気無いしな」
「あと機械類とか空飛ぶ機械コレクションはどうするんですか」
「空飛ぶ機械コレクションは、学校の屋上に置かせてもらうことになった。今と同じ状態で雨風を防ぐ魔法もかける予定だ。本当は手元にずっと置いておきたかったのだが、仕方ない。それに学校に置いておいた方が学生の勉強にもなるだろう。機械類はまあ、頑張って考えるさ。詩織とも相談しないとならんしな」
何なら当分は、そのまま置いておいても問題はない。
俺としてはそうも思うのだが、その辺は香緒里ちゃんとも相談する必要があるだろう。
「でも本当にうちの部屋を買う気か。こっちとしてはありがたい話ではあるんだが」
「私達としてもありがたいです。今の場所を引っ越さずに済みますし、今の部屋の施設もそのまま使えますから」
田奈先生は頷く。
「なら助かる。だとするとスケジュールだが、結構かかるな。手続きとしては不動産鑑定士を入れて私の部屋を査定してもらい、銀行で司法書士を呼んで売買契約を結ぶ形になる。不動産屋に仲介させると手数料が馬鹿にならないからな。
2月12日に私が新しいマンションを買えるかどうかが決定する。だが学校の方が2月18日まで期末考査だな。その後も入試だの再試験だの単位評価だので私の方がおそらく時間を取れないだろう。
だから鑑定や取引は3月の春休み直前位になると思う。上手く行けば3月入ってすぐに引っ越しは出来る筈だ。詩織にボーナスを出せば島内の移動なんて1日かからんだろう」
「不動産取引は直接相対でいいですか」
「手数料がもったいない。税務署が怖いから鑑定士に鑑定させるが、それだけで充分だし安上がりだ。鑑定士も司法書士も知っているのがいるから任せておけ」
この辺は、田奈先生に任せておけば大丈夫なようだ。
「あと、私の方は特に急ぐ必要は無いからな。もし購入出来ないとなったら素直にそう連絡してくれ。どうせあの場所はなかなか売れないと思っていたんだ。何せ前例があるからな」
そう言えば由香里姉がマンションのあの部屋を買ったのって、『買い手がいなくてどんどん値下げして半額以下になったから』が理由だった。
「ありがとうございます。では利害関係者にだけこっそり了解をとっておきます。先生も詩織ちゃんにはまだ言わないでおいて下さい」
「わかった。言わないでおこう」
俺達は田奈先生に頭を下げる。
何やかんやいっても、田奈先生は話が早いし親切だし助かるのだ。
◇◇◇
ハツネスーパーの建物内のバネ工場。密談をするにはちょうどいい場所だ。
ソファーセットもあるし、皆バイトの時くらいしか来ないから。
「部屋はどうする。今住んでいる方を学生会用にする?」
香緒里ちゃんの質問に頷く。
「その方がいいだろう。間取りもそうなっているし。引っ越しそのものは隣だし、多分ウォークインクローゼット先の物置奥の壁が抜けるだろう。それに大物は詩織ちゃんに頼めば簡単だしさ」
「ジェニーと由香里姉には、話しておいた方がいいですね」
「今夜は皆が集まるから日曜夜あたり、詩織ちゃんが帰って由香里姉とジェニーだけになったら話そう。他は決まってからの方がいい」
「部屋の名目は会社の福祉施設って事でいいんですよね」
「実際にそうだろ、休みに働いてくれる方々へのサービスという事で。学生会名目にしたらどの世代で切るかとか面倒だし、あくまで会社の名目で」
「旅行も同じでいいんですよね」
「ああ、勤務員の皆様へのサービスって事で」
元々香緒里ちゃんとある程度話し合っているので話は早い。
「それにしても修兄と2人だけで話す機会、最近ちょっと多くなりましたよね」
確かにそうかもしれない。
この関係以外にも会社の関係、旅行の関係、研究室所属の関係等色々あって、今年度は結構2人だけで話し合っている気がする。
「マンションの部屋は賑やかだから。2人きりで話すには適していないし」
「修兄の部屋は大体誰かお邪魔してますからね。ルイスか詩織ちゃんか世田谷さんか」
確かにそれもある。
「部屋が増えたら、少しは静かになるかな」
「どうでしょうか。修兄はもてますからね」
「そう思った事は無いけどな。単に立場上話しやすいだけだと思うぞ」
香緒里ちゃんは少し首を傾げる。
「風遊美さんや詩織ちゃんはともかく、世田谷さんはどうなんでしょうか」
「あいつの好みは良くも悪くも尖った人間だ。うちの学内だと、強いて言えばオスカーちゃんだとさ、あいつの好きなタイプ。自分で言っていた」
香緒里ちゃんは吹き出した。
「それは……確かに尖った個性ですね」
「良い奴なんだけどな、上野毛は」
頭もいいし性格も悪くない。
ただ女装が好きで、性愛の対象が人造人間であるだけだ。
「どっちにしろ由香里姉やジェニーと同居だし、香緒里ちゃんと2人だけでというのは難しいよな。部屋のレイアウトも結局東西逆になるだけで同じだしさ」
先生は頷く。
「うちのはエレベーターを待ちたくない、家庭菜園をしたいと言っていてな。1階の個別専有庭付き3LDKの部屋にする予定だ。おそらく抽選すら必要無いだろう。低層階は人気無いしな」
「あと機械類とか空飛ぶ機械コレクションはどうするんですか」
「空飛ぶ機械コレクションは、学校の屋上に置かせてもらうことになった。今と同じ状態で雨風を防ぐ魔法もかける予定だ。本当は手元にずっと置いておきたかったのだが、仕方ない。それに学校に置いておいた方が学生の勉強にもなるだろう。機械類はまあ、頑張って考えるさ。詩織とも相談しないとならんしな」
何なら当分は、そのまま置いておいても問題はない。
俺としてはそうも思うのだが、その辺は香緒里ちゃんとも相談する必要があるだろう。
「でも本当にうちの部屋を買う気か。こっちとしてはありがたい話ではあるんだが」
「私達としてもありがたいです。今の場所を引っ越さずに済みますし、今の部屋の施設もそのまま使えますから」
田奈先生は頷く。
「なら助かる。だとするとスケジュールだが、結構かかるな。手続きとしては不動産鑑定士を入れて私の部屋を査定してもらい、銀行で司法書士を呼んで売買契約を結ぶ形になる。不動産屋に仲介させると手数料が馬鹿にならないからな。
2月12日に私が新しいマンションを買えるかどうかが決定する。だが学校の方が2月18日まで期末考査だな。その後も入試だの再試験だの単位評価だので私の方がおそらく時間を取れないだろう。
だから鑑定や取引は3月の春休み直前位になると思う。上手く行けば3月入ってすぐに引っ越しは出来る筈だ。詩織にボーナスを出せば島内の移動なんて1日かからんだろう」
「不動産取引は直接相対でいいですか」
「手数料がもったいない。税務署が怖いから鑑定士に鑑定させるが、それだけで充分だし安上がりだ。鑑定士も司法書士も知っているのがいるから任せておけ」
この辺は、田奈先生に任せておけば大丈夫なようだ。
「あと、私の方は特に急ぐ必要は無いからな。もし購入出来ないとなったら素直にそう連絡してくれ。どうせあの場所はなかなか売れないと思っていたんだ。何せ前例があるからな」
そう言えば由香里姉がマンションのあの部屋を買ったのって、『買い手がいなくてどんどん値下げして半額以下になったから』が理由だった。
「ありがとうございます。では利害関係者にだけこっそり了解をとっておきます。先生も詩織ちゃんにはまだ言わないでおいて下さい」
「わかった。言わないでおこう」
俺達は田奈先生に頭を下げる。
何やかんやいっても、田奈先生は話が早いし親切だし助かるのだ。
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ハツネスーパーの建物内のバネ工場。密談をするにはちょうどいい場所だ。
ソファーセットもあるし、皆バイトの時くらいしか来ないから。
「部屋はどうする。今住んでいる方を学生会用にする?」
香緒里ちゃんの質問に頷く。
「その方がいいだろう。間取りもそうなっているし。引っ越しそのものは隣だし、多分ウォークインクローゼット先の物置奥の壁が抜けるだろう。それに大物は詩織ちゃんに頼めば簡単だしさ」
「ジェニーと由香里姉には、話しておいた方がいいですね」
「今夜は皆が集まるから日曜夜あたり、詩織ちゃんが帰って由香里姉とジェニーだけになったら話そう。他は決まってからの方がいい」
「部屋の名目は会社の福祉施設って事でいいんですよね」
「実際にそうだろ、休みに働いてくれる方々へのサービスという事で。学生会名目にしたらどの世代で切るかとか面倒だし、あくまで会社の名目で」
「旅行も同じでいいんですよね」
「ああ、勤務員の皆様へのサービスって事で」
元々香緒里ちゃんとある程度話し合っているので話は早い。
「それにしても修兄と2人だけで話す機会、最近ちょっと多くなりましたよね」
確かにそうかもしれない。
この関係以外にも会社の関係、旅行の関係、研究室所属の関係等色々あって、今年度は結構2人だけで話し合っている気がする。
「マンションの部屋は賑やかだから。2人きりで話すには適していないし」
「修兄の部屋は大体誰かお邪魔してますからね。ルイスか詩織ちゃんか世田谷さんか」
確かにそれもある。
「部屋が増えたら、少しは静かになるかな」
「どうでしょうか。修兄はもてますからね」
「そう思った事は無いけどな。単に立場上話しやすいだけだと思うぞ」
香緒里ちゃんは少し首を傾げる。
「風遊美さんや詩織ちゃんはともかく、世田谷さんはどうなんでしょうか」
「あいつの好みは良くも悪くも尖った人間だ。うちの学内だと、強いて言えばオスカーちゃんだとさ、あいつの好きなタイプ。自分で言っていた」
香緒里ちゃんは吹き出した。
「それは……確かに尖った個性ですね」
「良い奴なんだけどな、上野毛は」
頭もいいし性格も悪くない。
ただ女装が好きで、性愛の対象が人造人間であるだけだ。
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