機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

文字の大きさ
199 / 202
第37章 夢の続き

198 計画は始動する

しおりを挟む
「新しいマンションの抽選は通りそうですか」

 先生は頷く。

「うちのはエレベーターを待ちたくない、家庭菜園をしたいと言っていてな。1階の個別専有庭付き3LDKの部屋にする予定だ。おそらく抽選すら必要無いだろう。低層階は人気無いしな」

「あと機械類とか空飛ぶ機械コレクションはどうするんですか」

「空飛ぶ機械コレクションは、学校ここの屋上に置かせてもらうことになった。今と同じ状態で雨風を防ぐ魔法もかける予定だ。本当は手元にずっと置いておきたかったのだが、仕方ない。それに学校に置いておいた方が学生の勉強にもなるだろう。機械類はまあ、頑張って考えるさ。詩織とも相談しないとならんしな」

 何なら当分は、そのまま置いておいても問題はない。
 俺としてはそうも思うのだが、その辺は香緒里ちゃんとも相談する必要があるだろう。

「でも本当にうちの部屋を買う気か。こっちとしてはありがたい話ではあるんだが」

「私達としてもありがたいです。今の場所を引っ越さずに済みますし、今の部屋の施設もそのまま使えますから」

 田奈先生は頷く。

「なら助かる。だとするとスケジュールだが、結構かかるな。手続きとしては不動産鑑定士を入れて私の部屋を査定してもらい、銀行で司法書士を呼んで売買契約を結ぶ形になる。不動産屋に仲介させると手数料が馬鹿にならないからな。
 2月12日に私が新しいマンションを買えるかどうかが決定する。だが学校の方が2月18日まで期末考査だな。その後も入試だの再試験だの単位評価だので私の方がおそらく時間を取れないだろう。
 だから鑑定や取引は3月の春休み直前位になると思う。上手く行けば3月入ってすぐに引っ越しは出来る筈だ。詩織にボーナスを出せば島内の移動なんて1日かからんだろう」

「不動産取引は直接相対でいいですか」

「手数料がもったいない。税務署が怖いから鑑定士に鑑定させるが、それだけで充分だし安上がりだ。鑑定士も司法書士も知っているのがいるから任せておけ」

 この辺は、田奈先生に任せておけば大丈夫なようだ。

「あと、私の方は特に急ぐ必要は無いからな。もし購入出来ないとなったら素直にそう連絡してくれ。どうせあの場所はなかなか売れないと思っていたんだ。何せ前例があるからな」

 そう言えば由香里姉がマンションのあの部屋を買ったのって、『買い手がいなくてどんどん値下げして半額以下になったから』が理由だった。

「ありがとうございます。では利害関係者にだけこっそり了解をとっておきます。先生も詩織ちゃんにはまだ言わないでおいて下さい」

「わかった。言わないでおこう」

 俺達は田奈先生に頭を下げる。
 何やかんやいっても、田奈先生は話が早いし親切だし助かるのだ。

 ◇◇◇
 
 ハツネスーパーの建物内のバネ工場。密談をするにはちょうどいい場所だ。
 ソファーセットもあるし、皆バイトの時くらいしか来ないから。

「部屋はどうする。今住んでいる方を学生会用にする?」

 香緒里ちゃんの質問に頷く。

「その方がいいだろう。間取りもそうなっているし。引っ越しそのものは隣だし、多分ウォークインクローゼット先の物置奥の壁が抜けるだろう。それに大物は詩織ちゃんに頼めば簡単だしさ」

「ジェニーと由香里姉には、話しておいた方がいいですね」

「今夜は皆が集まるから日曜夜あたり、詩織ちゃんが帰って由香里姉とジェニーだけになったら話そう。他は決まってからの方がいい」

「部屋の名目は会社の福祉施設って事でいいんですよね」

「実際にそうだろ、休みに働いてくれる方々へのサービスという事で。学生会名目にしたらどの世代で切るかとか面倒だし、あくまで会社の名目で」

「旅行も同じでいいんですよね」

「ああ、勤務員の皆様へのサービスって事で」

 元々香緒里ちゃんとある程度話し合っているので話は早い。

「それにしても修兄と2人だけで話す機会、最近ちょっと多くなりましたよね」

 確かにそうかもしれない。
 この関係以外にも会社の関係、旅行の関係、研究室所属の関係等色々あって、今年度は結構2人だけで話し合っている気がする。

「マンションの部屋は賑やかだから。2人きりで話すには適していないし」

「修兄の部屋は大体誰かお邪魔してますからね。ルイスか詩織ちゃんか世田谷さんか」

 確かにそれもある。

「部屋が増えたら、少しは静かになるかな」

「どうでしょうか。修兄はもてますからね」

「そう思った事は無いけどな。単に立場上話しやすいだけだと思うぞ」

 香緒里ちゃんは少し首を傾げる。

「風遊美さんや詩織ちゃんはともかく、世田谷さんはどうなんでしょうか」

「あいつの好みは良くも悪くも尖った人間だ。うちの学内だと、強いて言えばオスカーちゃんだとさ、あいつの好きなタイプ。自分で言っていた」

 香緒里ちゃんは吹き出した。

「それは……確かに尖った個性ですね」

「良い奴なんだけどな、上野毛は」

 頭もいいし性格も悪くない。
 ただ女装が好きで、性愛の対象が人造人間アンドロイドであるだけだ。

「どっちにしろ由香里姉やジェニーと同居だし、香緒里ちゃんと2人だけでというのは難しいよな。部屋のレイアウトも結局東西逆になるだけで同じだしさ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

才能は流星魔法

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。 そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。 流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。 ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。 井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。 山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。 井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。 二日に一度、18時に更新します。 カクヨムにも同時投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...