57 / 163
領都を造る準備
しおりを挟む
海側の村の開発が順調に進んでいる。
塩の生産量も増え、王国への出荷量も順調に伸び、塩を他国に頼らずに済む日も近いだろう。
村への移住者も増え、追加で住居をもう100戸建てられ、商店用の建物も多数建てられた。
住民も、麦や野菜を育てる農業従事者、村近くで獲物を狩る猟師、沿岸漁業をする漁師、商人、鍛治職人、製塩業に付いている人達、小さな子供から成人するまでの子供までを教える教師と、様々な住民が増え、村から町へと様変わりした。
次の開発に向けて話し合う為、俺達はリビングに集まっていた。
「この村もこの短期間で、既に町と呼べる規模まで拡大出来た。開発に掛かった資金も数年で元が取れるだろう。
そこでだ、そろそろ領都となる都市の開発に向けて準備を始めようと思うんだ」
この近くの丘に城を造って、領都にする積りだったけど、領地真ん中辺りに拡張性に富んだ街を造るべきだと思った。
「そうね、お金は王国からの分は大分少なくなったけど、塩の売り上げと海産物の加工品の販売も順調だし、人頭税を入れれば資金的には問題ないわね」
少し早いかと思った領都建設を、エルも賛成してくれた。
「そうなると、領都を建設する場所を何処にするかなんだけど」
「毒蛇王の森を抜けた場所が良いのではないですか。綺麗な湖も近くに有りますし」
「そうだな、川も何本か流れているから、農業にも困らないだろうな」
ランカスとバルデスが、森の側を勧める。
「じゃあ森をもう少し切り開かないといけないニャ。魔物が溢れた時の為に、少し距離を置いておく必要があるニャ」
「……森の側だと、王都やバスターク辺境伯領へ素早く駆け付ける事が出来る」
ユーファンとボーデンもそれぞれに、意見を言う。
そう、未開地の開発に成功したとなると、帝国がバスターク辺境伯領経由で攻めよせる可能性がある。森の側に城郭都市を建設するのは悪くない。
「森が近い方が狩りに行きやすいしな」
「魔石の確保もし易いのです」
サンクとスーラも賛成みたいだ。
「私もあの湖が近いのは嬉しいです。何故かあの湖の近くは、精霊達が喜ぶのです」
ルシエルもあの湖の側は望ましいらしい。
しかし、精霊が喜ぶ湖か……、まさかね。
「じゃあ、またお父様や陛下にお願いに行かなきゃね。貴族家で家を継げなくて、仕事に就けない者も多いから」
騎士団や王都の守備隊も、人員が余り気味なんだそうだ。
騎士団や王都守備隊には、貴族家の子弟の他、平民からも、農地を継げない次男三男が職を求めて来る為だ。際限なく人員を増やす訳にもいかず、ドラーク男爵領の立ち上げで、職に有り付けると、守備隊や騎士団への入隊を希望する者が、あとを絶たない。
それは文官も同じで、優秀な人材でも職につけない者が多いらしい。
武官も文官も、就職するのに重要なのは、コネがあるという事らしい。
ただ、それはドラーク男爵家には当てはまらない。新興の男爵家で、他の貴族家との付き合いは皆無に等しい。唯一繋がりがあるのが、バスターク辺境伯と王家だ。中央の法衣貴族家や領地持ちの貴族とは、顔を合わせた事もない。
領地を接するのも、バスターク辺境伯と王家の直轄地だけなので、隣のよしみでとはいかない。
ドラーク男爵家は、良くも悪くも実力主義なのだ。ただそれは、ただ優秀である必要はない。仕事に誠実であれば、仕事が出来る悪人よりも勝る。
「とにかく全員と面接して選ぶしかないな」
俺とエル、武官はランカスが、文官はルシエルが中心となって面接して決めるか。
「それに、そろそろ王家から召喚状が来る頃よ」
「あゝ、そんな段取りだったな」
エルからの言葉で思い出した。確か、未開地の開発に成功したと判断すれば、子爵に陞爵するって言ってたな。
「カイト・ビスコント・フォン・ドラークね」
「長いよ、カイトで良い」
貴族の名前は、長くてかなわない。
「じゃあ、領都を建設する為の、縄張りを描く必要があるな」
「手分けして、街の規模や農地の位置と規模を決める為の探索に出ましょう。その情報を持ち寄り、縄張りを決めれば良いと思います」
「そうだな、森をどの位後退させるのかも決めないといけないしな」
ランカスの提案に、早速動き出す事を決めた。
町を出て、北に向かう。
「この辺かな」
領都建設地付近に立ってみる。
北西部に毒蛇王の森が広がり、その真ん中を広い街道が突き抜けている。
北東部に、大きな湖が神秘的な姿を見せている。湖に流れ込む川が何本か見え、湖から南の海へ流れ出る大きめの川がある。
東部は、川の手前に草原が広がり、川の向こうが湿地帯になっている。
西部は、草原が広がり、帝国との間を遮る大河手前に、魔物の領域である森が縦に広がる。
海側の町から馬車なら2日の距離か、北に森の中の街道を抜けて、王都までは馬車なら4日かかるくらいか。車なら一日掛からないけどね。
「ここに、一辺が1キロ四方、総延長4キロの城壁に囲まれた街を造る」
「1キロ四方ですか、王都に継ぐ規模になりそうですね」
俺の計画案に、ランカスも驚いている。
城壁で囲まれた街には、将来的には、5,000人~6,000人規模の人口になるだろう。
そうなると、この世界では、サーメイヤ王国の王都ソレイユ、ゴンドワナ帝国の帝都マイエラ、ローラシア王国の王都アビラに継ぐ規模の街になるとランカスが教えてくれた。
「ランカス、縄張りに合わせて、杭打ちしてくれるか。それが終われば、森の伐採する際の護衛に着いてくれ」
「かしこまりました」
俺達は、下準備を始める。
1キロ四方の角に杭打ちでマークする。
森を伐採して、森と街との距離を離す。
今はまだ何もない場所で、各自が作業をしていると、王都からの使者が訪れ、召喚状を渡して帰って行った。
この場をランカスに任せ、俺とエルは王都へ向かう事にする。
塩の生産量も増え、王国への出荷量も順調に伸び、塩を他国に頼らずに済む日も近いだろう。
村への移住者も増え、追加で住居をもう100戸建てられ、商店用の建物も多数建てられた。
住民も、麦や野菜を育てる農業従事者、村近くで獲物を狩る猟師、沿岸漁業をする漁師、商人、鍛治職人、製塩業に付いている人達、小さな子供から成人するまでの子供までを教える教師と、様々な住民が増え、村から町へと様変わりした。
次の開発に向けて話し合う為、俺達はリビングに集まっていた。
「この村もこの短期間で、既に町と呼べる規模まで拡大出来た。開発に掛かった資金も数年で元が取れるだろう。
そこでだ、そろそろ領都となる都市の開発に向けて準備を始めようと思うんだ」
この近くの丘に城を造って、領都にする積りだったけど、領地真ん中辺りに拡張性に富んだ街を造るべきだと思った。
「そうね、お金は王国からの分は大分少なくなったけど、塩の売り上げと海産物の加工品の販売も順調だし、人頭税を入れれば資金的には問題ないわね」
少し早いかと思った領都建設を、エルも賛成してくれた。
「そうなると、領都を建設する場所を何処にするかなんだけど」
「毒蛇王の森を抜けた場所が良いのではないですか。綺麗な湖も近くに有りますし」
「そうだな、川も何本か流れているから、農業にも困らないだろうな」
ランカスとバルデスが、森の側を勧める。
「じゃあ森をもう少し切り開かないといけないニャ。魔物が溢れた時の為に、少し距離を置いておく必要があるニャ」
「……森の側だと、王都やバスターク辺境伯領へ素早く駆け付ける事が出来る」
ユーファンとボーデンもそれぞれに、意見を言う。
そう、未開地の開発に成功したとなると、帝国がバスターク辺境伯領経由で攻めよせる可能性がある。森の側に城郭都市を建設するのは悪くない。
「森が近い方が狩りに行きやすいしな」
「魔石の確保もし易いのです」
サンクとスーラも賛成みたいだ。
「私もあの湖が近いのは嬉しいです。何故かあの湖の近くは、精霊達が喜ぶのです」
ルシエルもあの湖の側は望ましいらしい。
しかし、精霊が喜ぶ湖か……、まさかね。
「じゃあ、またお父様や陛下にお願いに行かなきゃね。貴族家で家を継げなくて、仕事に就けない者も多いから」
騎士団や王都の守備隊も、人員が余り気味なんだそうだ。
騎士団や王都守備隊には、貴族家の子弟の他、平民からも、農地を継げない次男三男が職を求めて来る為だ。際限なく人員を増やす訳にもいかず、ドラーク男爵領の立ち上げで、職に有り付けると、守備隊や騎士団への入隊を希望する者が、あとを絶たない。
それは文官も同じで、優秀な人材でも職につけない者が多いらしい。
武官も文官も、就職するのに重要なのは、コネがあるという事らしい。
ただ、それはドラーク男爵家には当てはまらない。新興の男爵家で、他の貴族家との付き合いは皆無に等しい。唯一繋がりがあるのが、バスターク辺境伯と王家だ。中央の法衣貴族家や領地持ちの貴族とは、顔を合わせた事もない。
領地を接するのも、バスターク辺境伯と王家の直轄地だけなので、隣のよしみでとはいかない。
ドラーク男爵家は、良くも悪くも実力主義なのだ。ただそれは、ただ優秀である必要はない。仕事に誠実であれば、仕事が出来る悪人よりも勝る。
「とにかく全員と面接して選ぶしかないな」
俺とエル、武官はランカスが、文官はルシエルが中心となって面接して決めるか。
「それに、そろそろ王家から召喚状が来る頃よ」
「あゝ、そんな段取りだったな」
エルからの言葉で思い出した。確か、未開地の開発に成功したと判断すれば、子爵に陞爵するって言ってたな。
「カイト・ビスコント・フォン・ドラークね」
「長いよ、カイトで良い」
貴族の名前は、長くてかなわない。
「じゃあ、領都を建設する為の、縄張りを描く必要があるな」
「手分けして、街の規模や農地の位置と規模を決める為の探索に出ましょう。その情報を持ち寄り、縄張りを決めれば良いと思います」
「そうだな、森をどの位後退させるのかも決めないといけないしな」
ランカスの提案に、早速動き出す事を決めた。
町を出て、北に向かう。
「この辺かな」
領都建設地付近に立ってみる。
北西部に毒蛇王の森が広がり、その真ん中を広い街道が突き抜けている。
北東部に、大きな湖が神秘的な姿を見せている。湖に流れ込む川が何本か見え、湖から南の海へ流れ出る大きめの川がある。
東部は、川の手前に草原が広がり、川の向こうが湿地帯になっている。
西部は、草原が広がり、帝国との間を遮る大河手前に、魔物の領域である森が縦に広がる。
海側の町から馬車なら2日の距離か、北に森の中の街道を抜けて、王都までは馬車なら4日かかるくらいか。車なら一日掛からないけどね。
「ここに、一辺が1キロ四方、総延長4キロの城壁に囲まれた街を造る」
「1キロ四方ですか、王都に継ぐ規模になりそうですね」
俺の計画案に、ランカスも驚いている。
城壁で囲まれた街には、将来的には、5,000人~6,000人規模の人口になるだろう。
そうなると、この世界では、サーメイヤ王国の王都ソレイユ、ゴンドワナ帝国の帝都マイエラ、ローラシア王国の王都アビラに継ぐ規模の街になるとランカスが教えてくれた。
「ランカス、縄張りに合わせて、杭打ちしてくれるか。それが終われば、森の伐採する際の護衛に着いてくれ」
「かしこまりました」
俺達は、下準備を始める。
1キロ四方の角に杭打ちでマークする。
森を伐採して、森と街との距離を離す。
今はまだ何もない場所で、各自が作業をしていると、王都からの使者が訪れ、召喚状を渡して帰って行った。
この場をランカスに任せ、俺とエルは王都へ向かう事にする。
78
あなたにおすすめの小説
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる