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城郭都市
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王都で子爵に陞爵された俺は、新たに人員の確保を陛下にお願いして王城を退出した。
「物凄く簡単に終わったな」
「そんなものじゃない、陞爵なんて」
子爵となった俺だけど、領地の開発が進めば、伯爵に陞爵する事が決まっている。領地の面積としては、辺境伯領並みに広いのだから当然かもしれない。
王都の大通りを、エルとルシエルを連れて歩いていると、男達から面白くないという視線が突き刺さる。エルは嫁だけど、ルシエルは違うんだけどな。
「どうしたの?」
俺が嫉妬のこもった視線を気にしていると、エルが気付いて聞いて来た。
「いや……、エルとルシエルを連れて歩いていると、街の男どもから嫉妬の視線が痛いんだよ」
俺が正直に言うと、エルとルシエルが顔を見合わせてクスクスと笑う。
「カイト、自分の事は気付いてないのね」
「自分のこと?」
エルの言う事の意味が分からない。
「ふふふっ、カイト様を街の女性がどの様な目で見ているか気付いてないのですね」
俺が首を傾げるとエルが教えてくれた。
「カイトの容姿は普通に女の目を引くわよ。綺麗な銀髪に整った顔してるし」
「そうですね、エルフの血が入っていると言われても信じてしまう位には、カイト様の容姿は女性の目を引きますよ」
前世でもブサイクではなかったが、飛び切りの男前ではなかったと思う。この世界でも、長くドレファレス師匠と二人暮らしで、容姿を気にする事もなかったから、自分がどう見られているなんて、考えた事もなかったよ。
「冒険者ギルドで、魔物素材を売却して帰りましょう」
領地開発中に魔物を狩って、俺のアイテムボックスに収納されていた大量の魔物を、ギルドで換金して行こうとエルが言う。
「そうだな、お金は幾ら有っても邪魔にならないもんな」
ギルドの素材買い取り所で、大量の魔物を買い取りに出して、査定に時間が掛かる為、また後日王都に出向くハメになる。
一度エルを家に送ってから、領都予定地に戻った俺は、早速杭打ちしてマークした通りに城壁を造る作業に入る。
手を地面につき、大量の魔力を込めて土魔法を発動する。イメージするのは、高さ12メートル、幅3メートル、中は部屋として使えるよう空洞とするが、強度をもたせる為に小部屋に別ける。
3メートル幅の城壁の上は、狭間になるよう外側を立ち上げ、矢狭間として使えるようにした。
城壁に使った土や石の分は、濠を張り巡らせる事で、より魔物や外敵にそなえる。
強固な城壁になるよう、魔力を大量に込める。
ゴゴゴゴゴッーーーーー!!
「ふぅ、一日頑張って一辺が精一杯だな」
昔作って、アイテムボックスの肥やしになっていたMPポーションを、魔力が枯渇する度に飲み干し、作業を続けること一日、さすがに疲れた。
家まで転移する魔力が回復するまで休憩すると、一日目の作業を終え屋敷に戻る。
家に戻り全身に浄化をかけて汚れを落とす。ドアを開けると、何時ものようにルキナが跳びついて来る。甘えるルキナを抱きながら中に入り、皆んなが待つダイニングへと向かった。
ダイニングテーブルに料理が並べられ、皆んなが俺の帰りを待っていてくれたようだ。
「ただいま。取り敢えず食事にしよう」
ルキナが、食事をしながら今日の出来事を、一生懸命俺に説明する。
「ルキナ、ママと狩に行って、大きな獲物を獲ったの!」
「へぇ~、凄いなルキナは。狩場まで遠くなかったかい?」
「ルフトに乗せてもらったから大丈夫だったの」
「あと、明日はランカスが領都予定地付近の探索と魔物の掃討をするって言ってたわ」
エルレインがランカスからの伝言を伝える。
「騎士団の人員は今どの位になってるの?」
「それはカイトが把握してよ。
もう、仕方ないわね。確か、訓練中の者を含めて300人を超えたくらいらしいわよ」
「300人か、最低でも領都に1,000人は欲しいな。この町にも100人は必要だろうし。湿地帯の側に村を造るとなると、そこにも100人はいるな」
「ねえ、バドックへ行ってみる?」
エルが提案するのは、ランカス達を買った奴隷商で人員の確保を行うという事だろう。
「あの店主なら、先を見越して人を集めていそうだな。でも悪くない案だな」
城壁を四方囲んだら、バドックへ行ってみるか。
「パパー!今日はお風呂一緒に入るの!」
ルキナが夕食を食べ終えて、お風呂を一緒に入りたいとねだる。
「よし、一緒に入るか」
「うん!」
ルキナをお風呂に入れて、その日は一緒のベッドで寝たいと甘えるので、俺が使う大きなベッドに、エル、イリア、ルキナと四人が一緒に寝る事になった。
ルキナは大きなベッドで、皆んなと一緒に寝れる事に少し興奮気味で、中々寝つきが悪かったが、はしゃぎ過ぎたのか、疲れて寝てしまった。
次の日から、城壁造りを頑張り、何とか予定通り4日で城壁を完成させた。
東西南北に門を作る為の穴を開ける。
「跳ね橋と門は職人達任せで良いかな」
「その辺りはお任せ下さい。訓練がてら、作業する職人達の護衛を行います」
領都予定地付近で、騎士団の訓練をしていたランカスが後を引き継いでくれた。
俺は一旦領都開発から離れ、人集めに奔走する事になる。
「物凄く簡単に終わったな」
「そんなものじゃない、陞爵なんて」
子爵となった俺だけど、領地の開発が進めば、伯爵に陞爵する事が決まっている。領地の面積としては、辺境伯領並みに広いのだから当然かもしれない。
王都の大通りを、エルとルシエルを連れて歩いていると、男達から面白くないという視線が突き刺さる。エルは嫁だけど、ルシエルは違うんだけどな。
「どうしたの?」
俺が嫉妬のこもった視線を気にしていると、エルが気付いて聞いて来た。
「いや……、エルとルシエルを連れて歩いていると、街の男どもから嫉妬の視線が痛いんだよ」
俺が正直に言うと、エルとルシエルが顔を見合わせてクスクスと笑う。
「カイト、自分の事は気付いてないのね」
「自分のこと?」
エルの言う事の意味が分からない。
「ふふふっ、カイト様を街の女性がどの様な目で見ているか気付いてないのですね」
俺が首を傾げるとエルが教えてくれた。
「カイトの容姿は普通に女の目を引くわよ。綺麗な銀髪に整った顔してるし」
「そうですね、エルフの血が入っていると言われても信じてしまう位には、カイト様の容姿は女性の目を引きますよ」
前世でもブサイクではなかったが、飛び切りの男前ではなかったと思う。この世界でも、長くドレファレス師匠と二人暮らしで、容姿を気にする事もなかったから、自分がどう見られているなんて、考えた事もなかったよ。
「冒険者ギルドで、魔物素材を売却して帰りましょう」
領地開発中に魔物を狩って、俺のアイテムボックスに収納されていた大量の魔物を、ギルドで換金して行こうとエルが言う。
「そうだな、お金は幾ら有っても邪魔にならないもんな」
ギルドの素材買い取り所で、大量の魔物を買い取りに出して、査定に時間が掛かる為、また後日王都に出向くハメになる。
一度エルを家に送ってから、領都予定地に戻った俺は、早速杭打ちしてマークした通りに城壁を造る作業に入る。
手を地面につき、大量の魔力を込めて土魔法を発動する。イメージするのは、高さ12メートル、幅3メートル、中は部屋として使えるよう空洞とするが、強度をもたせる為に小部屋に別ける。
3メートル幅の城壁の上は、狭間になるよう外側を立ち上げ、矢狭間として使えるようにした。
城壁に使った土や石の分は、濠を張り巡らせる事で、より魔物や外敵にそなえる。
強固な城壁になるよう、魔力を大量に込める。
ゴゴゴゴゴッーーーーー!!
「ふぅ、一日頑張って一辺が精一杯だな」
昔作って、アイテムボックスの肥やしになっていたMPポーションを、魔力が枯渇する度に飲み干し、作業を続けること一日、さすがに疲れた。
家まで転移する魔力が回復するまで休憩すると、一日目の作業を終え屋敷に戻る。
家に戻り全身に浄化をかけて汚れを落とす。ドアを開けると、何時ものようにルキナが跳びついて来る。甘えるルキナを抱きながら中に入り、皆んなが待つダイニングへと向かった。
ダイニングテーブルに料理が並べられ、皆んなが俺の帰りを待っていてくれたようだ。
「ただいま。取り敢えず食事にしよう」
ルキナが、食事をしながら今日の出来事を、一生懸命俺に説明する。
「ルキナ、ママと狩に行って、大きな獲物を獲ったの!」
「へぇ~、凄いなルキナは。狩場まで遠くなかったかい?」
「ルフトに乗せてもらったから大丈夫だったの」
「あと、明日はランカスが領都予定地付近の探索と魔物の掃討をするって言ってたわ」
エルレインがランカスからの伝言を伝える。
「騎士団の人員は今どの位になってるの?」
「それはカイトが把握してよ。
もう、仕方ないわね。確か、訓練中の者を含めて300人を超えたくらいらしいわよ」
「300人か、最低でも領都に1,000人は欲しいな。この町にも100人は必要だろうし。湿地帯の側に村を造るとなると、そこにも100人はいるな」
「ねえ、バドックへ行ってみる?」
エルが提案するのは、ランカス達を買った奴隷商で人員の確保を行うという事だろう。
「あの店主なら、先を見越して人を集めていそうだな。でも悪くない案だな」
城壁を四方囲んだら、バドックへ行ってみるか。
「パパー!今日はお風呂一緒に入るの!」
ルキナが夕食を食べ終えて、お風呂を一緒に入りたいとねだる。
「よし、一緒に入るか」
「うん!」
ルキナをお風呂に入れて、その日は一緒のベッドで寝たいと甘えるので、俺が使う大きなベッドに、エル、イリア、ルキナと四人が一緒に寝る事になった。
ルキナは大きなベッドで、皆んなと一緒に寝れる事に少し興奮気味で、中々寝つきが悪かったが、はしゃぎ過ぎたのか、疲れて寝てしまった。
次の日から、城壁造りを頑張り、何とか予定通り4日で城壁を完成させた。
東西南北に門を作る為の穴を開ける。
「跳ね橋と門は職人達任せで良いかな」
「その辺りはお任せ下さい。訓練がてら、作業する職人達の護衛を行います」
領都予定地付近で、騎士団の訓練をしていたランカスが後を引き継いでくれた。
俺は一旦領都開発から離れ、人集めに奔走する事になる。
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