異世界立志伝

小狐丸

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黒豹のフーガ

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 最初入った奴隷商で、俺は斥候系の冒険者として使えるという条件をリクエストする。

 ただ、あいにくその奴隷商には、鉱山労働者や力仕事に向く、熊人族や牛人族が多く、ネコ科の獣人は一人しか居なかった。


 NAME フーガ 黒豹人族

 AGE 28
 JOB アサシンLv.5
 HP  260/260
 MP  180/180

 JOB
 戦士Lv.10 狩人Lv.5 盗賊Lv.20
 アサシンLv.10

 ほとんどの奴隷達がジョブレベルもスキルレベルも低いなか、このフーガだけは中級職に就いていた。年齢も30前って事は、きっと訳ありなんだろう。

 ほぼ買うつもりだったが、一応面接することにした。一度の面接で人となりが分かる訳がないけど、話してみて感じる事もあるだろう。
 店主が出て行った部屋の中で、二人で話をする。

「あなたはどうして奴隷に、元から奴隷だった訳じゃないでしょう」

「…………国に仕えていた」

 フーガがボソリと答える。

「それはゴンドワナ帝国?それともローラシア王国?」

「……ローラシア王国だ」

 成る程、何となく分かったかな。

「ローラシア王国の諜報組織で働いていたんだな」

「……ふぅ~、貴方にはごまかせませんか。鑑定スキルですか、珍しいですね。
 そうです、私はローラシア王国の諜報組織に属していましたが、仕事中に同僚に裏切られて、ゴンドワナ帝国に売られたのです。同僚は、獣人族が小隊長に就いているのが赦せなかったのでしょう」

 どこか諦めた様に言うフーガだが、他の奴隷に比べれば、フーガの瞳には力があった。

「それで他の奴隷と違い、中級職に就いているんだな。でもそのステータスじゃ俺の所じゃ通用しないかな。だいぶ鍛える事になるけど、俺の所に来るか?」

「……貴方は?」

 そう言えば自己紹介していなかった。

「あゝ、ちょっと待って」

 部屋に遮音結界を張る。

「俺の名前はカイト。サーメイヤ王国では、カイト・ビスコント・フォン・ドラークと呼ばれる事もある」

「!!」

 さすがに諜報組織で働いていただけに、俺のことは知っていたみたいだ。

「サーメイヤの厄災!」

 なんか厨二病臭い二つ名がついてるの?

「その呼ばれ方は初めて聞いたけど、俺のことは知っているみたいだな」

「ゴンドワナ帝国とローラシア王国の諜報組織で、『サーメイヤの厄災』を知らぬ者はいません。
 我等もゴンドワナ帝国のチラーノス辺境伯領内で情報収集致しましたから、ほぼ正確に何が起こったのか把握しています」

「それで俺の所へ来るのに問題は無いか?」

 俺がそう聞くと、フーガは少し言いづらそうに、ローラシア王国に残してきた、妻と子供の身の安全を心配している事を俺に言った。

「……一月は長いか、10日でフーガを鍛えてローラシア王国に忍び込んで、フーガの家族を確保する。時間がないから、厳しい訓練になるけど、家族の為なら耐えれるだろう」

「お願いします!私を購入して下さい。妻と子供を助けてください!お願いします!」

「10日あれば、斥候系に絞って鍛えれば、何とかなるだろう」

 俺はフーガを買うと、ドラーク領に転移して戻り、ユーファンとサンクにフーガを預け、毒蛇王の森で、5日間の訓練をさせるよう頼んだ。

 俺は帝国に戻り、大きな街の奴隷商を巡り、斥候に向く種族の確保をした。
 結局、年若い猫人族が3人、狐人族が2人、豹人族が2人の7人を購入した。
 全員、ジョブレベルもスキルレベルも低いので、ランカスとバルデスに預けて、先ずは基礎訓練を受けて貰っている。



 そして5日後、ユーファンとサンクに預けていたフーガをピックアップして、深淵の森での訓練を始める。

「……深淵の森で訓練をするのですか」

 フーガが森に転移したところで、少し怯えたように俺に聞いて来た。

「大丈夫だよ。奥に行かないとS級の魔物は出て来ないから。それにルキナやエルもこの森で鍛錬して強くなったんだから」

 ルキナの名前を聞いて、フーガはドン引きしている。

「大丈夫ですよ。カイト様も私もいますから」

 今日は、コレットが一緒に来ている。
 一日交代で、明日はエル、その次はイリアとルキナ、その次の日はルシエルとローテーションを組んでいる。
 フーガは、エルを筆頭に、俺の妻達全員が戦う事に驚いていたが、ルキナまでも戦えるとは思わなかったようだ。
 それとルシエルは、何時の間にか側室の仲間入りをしていた。ローテーションを組んで一緒に寝る順番を決めていたらしいが、気付いたらルシエルも混じっていた。

「じゃあ5日で、初級職を幾つか鍛えて、ステータスの底上げと、出来ればアサシンマスターまでいければ安心してローラシアに潜入出来るだろう」

 俺がそう言うと、フーガも真剣な表情になる。

「では行きましょうか」

 コレットが先頭で森に入って行く。フーガを真ん中にして、最後尾に俺が続き背後の警戒をする。

 森を進むと直ぐにオークの群れが見つかる。

「エアカッター!」

「プギィーー!!」

 コレットがオークの手足を切り裂く。
 俺も走りながら手足を落としていく。

「フーガ!トドメを!」

 俺とコレットが手足を落として、行動不能に陥ったオークのトドメをフーガがさしていく。

「……何か、複雑な気分ですね」

 ボソリとフーガが呟くのを気にせず、出来るだけフーガの経験になるようにしながら、森を歩き回り、5日の訓練を終える。

 フーガは、元々諜報組織で小隊長だっただけあり、途中から今回帝国から連れて来たメンバーと合流しても、上手くチームで動けていた。




 夜空に青く輝く3つの月の明かりが、黒い装束に身を包んだ2つの影を照らしていた。

 気配を消して、ローラシア王国の王都に潜入するのは、カイトとフーガの2人。

 2人は、誰にも気付かれる事なく、王都への潜入に成功する。

 王都に潜入を果たした2人は、街の中へ溶けるように消えていった。

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