異世界立志伝

小狐丸

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突出する力

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 ドワーフの国、ガウン王国で騎士団や街や領内の守備を勤める守備隊の装備が出来上がって来た。

 騎士団の鎧と言えば、白銀に輝く物らしいが、ドラーク子爵領の騎士団用に用意した鎧は、漆黒だった。
 漆黒ベースの鎧に、銀色で縁取られ、紋章も銀色で浮き彫りにされている。ランカスなどの団長や隊長格は、金色のラインを入れている。

 守備隊の鎧は、騎士団とはデザインを変えて、ショルダーアーマーを銀色にしている。
 守備隊の隊長の鎧には、ショルダーアーマーの色を紅い色にした。

 移民や難民の流入が止まらない。
 人口増加は嬉しいが、犯罪者や犯罪者予備軍の流入は嬉しくないので、フーガ達が選別に四苦八苦している。

 騎士団や守備隊の人数が増えたので、ガウン王国へ鎧の追加発注をしている。

 今だに獣人族が大半を占めるが、それ故に身体能力の高い者が多く、守備隊の隊員も騎士団の団員も、厳しい訓練を経て、精強な軍団になっていった。





 領内の開発と領軍の編成を進めながら、過ごす日々が半年過ぎた。

 領内には村や町が増え、各村や町を繋ぐ街道網や橋梁も整備され、領内は急速に発展していった。

 騎士団の人員も800人に増え、守備隊も1,000人にまで増えた。
 守備隊は、領都に400人、各町に400人、残りの200人は、領内を巡回警護している。

 領地の広さに比べれば、兵士の数はまだまだ少ないが、支給される装備の性能と、高ランクの魔物が徘徊する場所での訓練もあって、その兵士の実力は、他領や他国の軍を凌駕し始めていた。



 サーメイヤ王国から北へ国境を出て進むと、ランクS推奨の魔物の領域、深淵の森がある。

 その森の手前に、200名の漆黒の鎧に身を包んだ騎士団が整列していた。

 彼らはドラーク子爵領を守る騎士団の一部、200人が遠征訓練と戦闘訓練の為に、深淵の森外縁部へ来ていた。

「第一班、準備!」

 ランカスのかけ声で、200人の騎士団のうち50人が、5人一組になり森へ入る準備をする。

「第一班、出撃!」

 騎士団の団員達が、森へと入って行く。

 その周りには、バルデス、ボーデン、サンク、ユーファンが、サポートする為に目を光らせている。
 さらに回復役にコレットが従軍して、怪我人への対応をする。

 彼等は騎士団なので、魔物相手が専門ではないが、推奨ランクAの魔物の領域を領内に持つドラーク子爵領の騎士団は、対魔物の戦闘訓練も必須だった。

 彼等は毒蛇王の森で訓練し、一定以上のレベルや身体能力を手に入れると、次は深淵の森外縁部でのレベルアップに励む。

 深淵の森外縁部での訓練を経て、ドラーク子爵領の騎士団は、他に類を見ない精強な軍団になっていく。



 サーメイヤ王国の中でも、その存在感を増しつつあるドラーク子爵領を、当然面白く思わない国内貴族も多い。
 外国からの防衛の要である、バスターク辺境伯の婿であり、領地も接しているドラーク子爵へ、表立って敵対する貴族家はいないが、バージェス王や宰相のメルコムに対して、ドラーク子爵は危険だと諫言する者も少なくない。

 王国騎士団団長のゴドウィンにしてみれば、今さら何を言ってるのかと、鼻で笑うだろう。
 何故なら、ドラーク子爵領の戦闘力は、ドラーク家設立以前から王国一なのだから。

 逆に、バージェス王は自分の代で、長年争って来た、ゴンドワナ帝国とローラシア王国を併合する大望が叶うかもしれない。
 その切り札となる、ドラーク子爵の足を引っ張る国内貴族こそが、現在のサーメイヤ王国の害悪であった。

 彼等は、コネと賄賂だけで生きている。
 領地を持つ貴族家も、領地を持たない法衣貴族家も、自分の懐を温める事にしか興味がない。
 バスターク辺境伯の様な、質実剛健で清廉な貴族家は珍しい。
 法衣の貴族の中にも、真面な貴族家も多いが、碌でもない貴族が多いのも事実だ。

「頭が痛いわ……」

「お察しします陛下」

 しかめっ面のバージェスに、メルコムが同じく不快そうな顔で同意する。

「またオース伯爵ですか?」

 ゴドウィンが、バージェス王のしかめっ面の理由を推測する。

「あのオーク野郎、ドラーク子爵領軍の規模が大きい。国家転覆を狙っていると五月蝿くてかなわん」

「陛下、さすがにオーク野郎は不味いかと」

 バージェス王が思わず漏らした毒を、メルコムが諌める。

「ドラーク子爵領の広さや、魔物の領域を内包する事を考えれば、現状でも人数は少ないと思いますが」

「そうであろう。本来なら、現状の三倍が妥当な人数であろう」

 ゴドウィンの指摘にバージェス王も頷く。

「今はドラーク子爵本人の圧倒的な武力で、数の少なさをカバーしていますが、領内の守備を考えるなら、ドラーク子爵以外なら三倍の兵士が必要でしょう」

「奴等は王家とドラーク子爵の間に亀裂を入れたいのであろう」

 害にしかならない貴族家を纏めて潰す方法を考え始めるバージェスだった。

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