異世界立志伝

小狐丸

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新米兵士の訓練の日々

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 僕は誇りある狼人族のガープ。
 ドラーク子爵領の新兵だ。

 ドラーク子爵領には、騎士団と守備隊がある。
 僕はまだ新兵だから配属は決まっていない。
 出来れば、ランカス団長率いる騎士団に入りたいと思っている。

 サーメイヤ王国の騎士団は白銀の鎧だが、ドラーク子爵領の騎士団は漆黒の鎧だ。

 この漆黒の鎧に、一般兵は銀の飾り線、隊長や騎士団長は金の飾り線で縁取られている。

 僕もあの鎧を着る為に、厳しい訓練に励んでいる。

 ドラーク子爵領は、もの凄いスピードで発展している。
 移民も他国からの流民や、獣人族が集落毎移民して来るのも珍しくない。

 そんな住民の中で、若い年代に圧倒的に人気なのが、騎士団と守備隊だ。

 当然僕も目指すは騎士団だ。
 他の国では、獣人の騎士なんて考えられない。
 それどころか、普通に暮らす事さえ出来ないのが実情だ。

 でも、サーメイヤ王国では種族間差別が余りない。さらにこのドラーク子爵領は、さらに種族に寛容で、領内に暮らす領民も獣人、エルフ、ドワーフと、人族以外の方が多いくらいだ。



 僕達新兵は、騎士団や守備隊の精鋭達との訓練が始まる。

 隔絶された実力差がある先輩達との訓練は、スキルやジョブレベルが上がりやすいらしい。

 当然、新兵の僕達は、ボロボロにされるのだけど、これは精鋭と言われている先輩達も通った道らしい。むしろもっと厳しかったそうだ。

 何せ、ランカス団長やバルデス隊長、ボーデン隊長達が相手だったらしい。しかも時折領主様まで現れたらしい。

 大陸中探してもこの領だけだと思うけど、この領の最高戦力は領主様だ。これは嘘のような本当の話だ。

 あの聖騎士ランカス様でも領主様とは、比べるのも馬鹿らしくなる程の隔絶した差があると、ランカス団長自身がおっしゃっていた。




 そして今日は、ドラーク子爵領にある魔物の領域での訓練だ。
 ここで新兵全員が、戦士ジョブを極めるまで続けられると聞いた。

 引率の先輩騎士や守備隊兵士の後ろをついて行く。その引率の兵士の先頭に、何故か小さな子供が歩いている。
 白いウサギ耳をユラユラ揺らしながら、同じウサギ耳の姉か母親らしき女性と手を繋いでいる。

 先輩兵士に聞くと、あの兎人族の親子は領主様と暮らしており、母親は領主様の妾なのだそうだ。
 彼女達は、今回の訓練を手伝うらしい。
 戦闘に向かない兎人族が?と思ったけど、先輩の話では、母親のイリアさんは虎人族のバルデス隊長や熊人族のボーデン隊長と変わらない位に強いらしい。
 それを聞いて、僕の常識が砕け散る。
 もしかして、あの小さな女の子まで強いのか聞くと、普通の騎士団員と同等かそれ以上の実力らしい。


 そしてそれは魔物の領域で行われた訓練で分かる事になったんだ。
 その森は、毒蛇王の森と呼ばれていた魔物の領域。冒険者ギルドの探索推奨ランクAの危険な森。
 その森の主である毒蛇王を、領主様が討伐したらしい。それでも最高ランクAの魔物が生息する危険な森である事には間違いないのです。

 森に分け入って、まだ浅い場所で兎人族の親子が無双してるであります。
 もう意味がわからないです。

 僕ら新兵達は、トドメを刺す簡単な作業を続けるだけです。



 ブゥモォーー!!

 叫び声にそちらを見ると、オークの群れが僕達を見つけて襲いかかる。
 先頭を走っていたオークがいきなりの倒れる。
 不思議に思っているうちにどんどんオークが倒れていく。

「ルキナ!そっち行ったわよ!」

「うん!えい!」

 そしてオークを倒しているのは、小さな女の子だった。魔導具を構えた女の子が、その魔導具を撃つと、ある者は片足を飛ばされ、両腕を貫かれて無力化されていく。

「よし!お前達!トドメをさせ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

 先輩騎士の号令で、僕等新兵が倒れるオークに駆け寄り、一匹づつトドメをさして行く。

 僕等は取り敢えず、基本ステータスの上昇の為に、ひたすらレベルアップを重ねて行く。


 先輩騎士や守備隊兵士との訓練と、毒蛇王の森での魔物討伐を繰り返し、全員が初級職を上げきり、中級職へクラスアップすると、新兵達だけで魔物を討伐する。
 当然、一人ではなく、五人一チームで魔物を狩って行く。

 僕等は、自分に足りないと感じるモノがあると、それを補う初級職へとジョブチェンジして、毒蛇王の森の浅い場所なら一人で魔物を狩れる様になるまで新兵訓練は続けられた。

 そして僕等は知る事になる。

 やっとスタートラインに立っただけだという事に。

 ドラーク子爵領の兵士が畏怖される理由が分かった気がした。
 いずれ僕もその一員になるんだ。

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