異世界立志伝

小狐丸

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発展するドラーク領

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 かつてゴンドワナ帝国とドラーク子爵領を隔てていた大河に橋が架けられた。これによるドラーク領は大きく飛躍する事になる。
 旧チラーノス辺境伯領だった土地と、ドラーク子爵領が直接橋で繋がった事により、商人の移動が活発化し経済が活性化する。

 移民や流民の流入による治安悪化も懸念されたが、ランカス達の頑張りのおかげで大きな混乱もなく、ドラーク子爵領の未開地開拓も急ピッチで進んでいる。

 俺や工兵、魔法師部隊が魔法などを使って、開発を進めるだけじゃなくて、領民に日当を払って公共工事として街道整備、砦の建設、新規開墾をする。日当が入った領民がお金を使う事で、領内にお金の流れを生むようにしている。

 もともと未開地を開拓したドラーク子爵領は、土地だけは幾らでもある。一から開拓しないといけない場所も多いが、大規模な開墾などは魔法師部隊が土魔法の訓練がてら進めているので、各地からの移住者の受け皿になっている。新規開墾は重労働で時間がかかる事業だが、それが魔法で下準備が出来ているのだから、移住者が後を絶たないのも仕方のない事かもしれない。

 旧チラーノス辺境伯領でも新規開墾を積極的に進めている。駐屯する兵士も増え、その兵士達が落とすお金で景気も上向いている。

 もともと未開地を開拓したドラーク領は、エルフであるルシエルのお陰もあり、農産物の生産量も右肩上がりだ。新しく領地となった旧チラーノス辺境伯領も農政改革が進み、来年度の収穫量は期待出来るだろう。




「それで、ウチが統治する事になった旧チラーノス辺境伯領だけど、産業としてはどうなの?」

 橋梁建設を終え、新領を含めて一先ず落ち着いた頃、俺達はドラーク子爵領の方針について会議を行っていた。
 会議と言っても身内が集まって相談しているように見えるだろうけど、実際にドラーク領を運営しているのは家族と初期の仲間達だから、こうなるのも仕方ない。

「旧チラーノス辺境伯領は肥沃な穀倉地帯ですから、帝国でも有数の小麦の産地です。
 ここの所の戦争で、食糧の備蓄は少なかったようですが、領民が飢える事はないでしょう」

 スーパーメイドのアンナさんが、旧チラーノス辺境伯領の特長を教えてくれた。

「と言う事は、それ以外は目立った産業はないってこと?」

「そうなりますね」

「チラーノス辺境伯は、長年にわたりバスターク辺境伯と戦ってきましたから、兵士を確保するには食糧が第一ですからね。
 兵士を多く抱えていた関係で、武器や防具を扱う鍛治師も多いと聞きますが、カイト様やガウン王国のドワーフ達が造る装備のレベルには至っていないようです」

 元バスターク辺境伯家に在籍していたアンナさんとランカスからの情報だから確かな情報だろう。

「うーん、何か目玉になるモノが欲しいな……」

「未開地側の領地は、塩の生産が軌道に乗って、サーメイヤ王国中の需要を満たすには至っていませんが順調です」

「騎士団や守備隊が魔物の領域で訓練するので、魔物素材や魔石の売り上げは好調です」

 ルシエルが製塩事業の現状を、ランカスが魔物素材や魔石の売り上げを報告する。

「魔導具の工房はまだまだ人手不足なのです」

 スーラから魔導具工房の人員増を要求された。俺とスーラが魔導具を開発するのだけど、量産する魔導具職人の数が少ない。育てるにしても時間がかかるので、ある程度の実力がある職人の募集と、新人の育成を平行して行っている。
 トイレや下水を浄化する魔導具や、誰でも気軽にお風呂へ入れるようにと温水を出す魔導具など、開発した魔導具は多いのだけど、工房がフル回転しても追いつかないのが現状だ。

「魔導具工房の人員増は直ぐ解決する問題でもないからな。気長にやろう」

「製塩事業の拡充と、魔導具工房も人員増、新規開墾を含めた食糧増産、騎士団や守備隊の増員、こんな所かしらね」

 大きくなり始めたお腹を撫でながら、エルが当面の方針をまとめる。

「資金的には今のところ潤沢だから、これと思った新規事業を思いついたら教えて欲しい。
 食糧に備蓄は必ず必要になりそうだからな」

「ローラシア王国ですね」

「弱り目に祟り目の帝国への侵攻準備をしているようです」

 ランカスの指摘を、諜報部隊の隊長であるフーガが肯定する。

「あゝ、そうなると大量の難民が流れ込むだろう。義父にも、それに備えて治安維持と食糧備蓄の準備をするように連絡しておいてくれ」

「お父様には連絡しておくわ」

 領民達が心安らかに暮らせるように、ドラーク子爵領のさらなる発展の為の話し合いは続く……。

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