師匠の嫉妬で才能を奪われた薬師見習いの私、牢獄で本物の力を取り戻す

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王子の離宮は、宮廷の北側にあった。
白い石造りの建物で、薔薇の庭に囲まれている。
赤、白、ピンクの薔薇が咲き誇り、甘い香りが漂っていた。

「ここで療養しろ。すぐに治療の準備をする」
「治療、ですか?」
「疫病だ。貴女の力が必要だ」

アルヴィン王子は、わたしの目をまっすぐ見つめた。
部屋に案内され、わたしは初めて鏡で自分を見た。
銀の縁取りがされた大きな鏡に、見知らぬ女性が映っている。
顔色が良くなっている。
目に、生気が宿っている。頬には血の気が戻り、唇も赤みを帯びていた。
これが、本当のわたし。


翌朝、アルヴィン王子が部屋を訪れた。
扉を三回ノックする音が響き、侍女が扉を開けた。

「準備はいいか」
「はい」

わたしは白い治癒師のローブを身につけた。
新しい服は、まだ糊がきいていた。

王子の護衛に守られ、わたしたちは疫病患者が収容されている施設に向かった。
馬車が石畳の上を走り、車輪の音が規則正しく響く。
大きな建物の中に、何十ものベッドが並んでいる。そこには、苦しむ人々が横たわっていた。咳の音、うめき声、荒い息遣いが、施設全体に満ちている。

「この方々を......」
「貴女にしかできない」

アルヴィン王子の声が、背中を押した。
わたしは最初のベッドに近づいた。白いシーツが汗で湿っている。
若い女性が、激しく咳き込んでいる。痩せた体が、咳のたびに跳ね上がる。
手を伸ばし、額に触れた。灼熱の熱が、手のひらに伝わる。

どうすればいいのか、わからない。でも、体が自然に動いた。
心の中で、願った。

この人を、助けたい。

手のひらが温かくなった。そして、光が溢れた。
金色の光が女性の体を包み、額の熱が引いていく。咳が収まり、呼吸が整う。荒かった息が、穏やかになっていく。

「あ、ありが、とう......」

女性が微笑んだ。乾いた唇が、かすかに動く。
わたしは次のベッドへ、そしてその次へと向かった。一歩、また一歩と、ベッドの間を歩く。
一人、また一人と、患者たちが回復していく。
涙が止まらなかった。頬を伝う涙を拭う暇もなく、次の患者へと向かう。
これだ。これが、わたしが本当にやりたかったこと。
人々を救うこと。
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