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しおりを挟む翌日、授与式が行われた。
国王の前で、わたしは治癒師のローブと徽章を受け取った。
金色の徽章が、胸の上で輝く。
民衆たちが、祝福の言葉を送ってくれた。拍手と歓声が、広間に満ちる。
式の後、ミレイユが駆け寄ってきた。
「セシリア! すごいわ! 王家専属だなんて!」
ミレイユは両手を広げ、飛びつくように抱きついてきた。
「ミレイユ」
わたしたちは抱き合った。温かさが、体に伝わる。
「信じてたのよ。セシリアには、絶対才能があるって」
「ありがとう。貴女が支えてくれたから、ここまで来れた」
「これからも、友達よ」
ミレイユは涙を拭い、笑顔を見せた。そばかすの顔が、喜びで輝いている。
「ええ、ずっと」
数日後、わたしは新しい薬草園で働き始めた。
宮廷の東側にある、広大な庭園だ。
様々な薬草が育てられていて、わたしの研究に必要なものは全て揃っていた。
ラベンダー、カモミール、セージ、ローズマリー。
色とりどりの花が咲き、様々な香りが混じり合う。
ラベンダーの株を丁寧に手入れしていると、足音が聞こえた。草を踏む、柔らかい音だった。
「また、ラベンダーか」
アルヴィンだった。白いシャツの袖をまくり上げている。
「はい。この香りが、好きなので」
わたしは笑顔で答えた。
アルヴィンは隣に膝をついた。土に膝をつき、ラベンダーの株を見つめる。
「手伝おう」
「殿下が、ですか?」
「構わん」
二人で作業をする。沈黙は、心地よかった。小鳥のさえずりと、風が葉を揺らす音だけが聞こえる。
「セシリア」
「はい」
わたしは顔を上げた。
「今後、医療改革を進めたい。貴女の意見を聞かせてほしい」
わたしは顔を上げた。アルヴィンの横顔を見つめる。
「民衆が、もっと簡単に治療を受けられるようにしたいです」
「具体的には」
「各地に治療院を作り、薬師を配置する。そして、治療費を抑えて、貧しい人々も利用できるように」
アルヴィンが頷いた。銀色の髪が、朝日を反射して輝く。
「いい案だ。実現させよう」
「本当ですか?」
わたしは顔を輝かせた。
「貴女となら、できる」
その言葉に、胸が温かくなった。
ラベンダーの花が、朝風に揺れている。
紫の小さな花から、甘い香りが立ち上る。
わたしは微笑み、また作業に戻った。
隣では、アルヴィンも黙々とラベンダーの手入れをしている。
二人の影が、朝日に照らされて地面に伸びていた。
影は、重なり合い、一つになっていた。
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