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お腹の子(キアラ視点)
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「確証はありませんが、その可能性は高いですよね……。ですが、旦那様は普通に生きてらっしゃいますし、代償に寿命をとられたようには見えませんね?」
「それなのだけど……魔女が代償に寿命を奪うのって、どの瞬間なのかしら?」
「え? それは……願いが叶った瞬間じゃないですか?」
「うん。私もそう思ってたわ。だけどもしかしたら違うのかもしれない……。ねえ、ノーラは最近の旦那様の姿を見たかしら?」
「旦那様の姿ですか? いえ……お部屋に引きこもっていらっしゃるので、しばらく拝見しておりませんね。世話係のメイド達なら見ているでしょうけど……」
「そうなのね。私は一応毎日部屋に入って健康状態を確認しているんだけど……。最近、なんだかお顔に皺が増えてきたようなの……」
「え!? 皺ですか? え、旦那様はまだ20にもなっておりませんよね? そんなお若いのにもう皺が……?」
「ええ……。最初に気付いた時には気のせいだと思ったのよ。だけど毎日お顔を確認していると、ああやっぱり気のせいじゃなかったのかって……。お酒のせいでそうなったのかしらと思ったんだけど、ローレン嬢の話を聞いたら……もしかしてこれって魔女に願った代償なのかもと……」
若さという名の寿命を奪う行為が、一瞬ではなくジワジワとくるものだとしたら?
今のデイビットの状態がまさしくそう。日増しに加齢が急速に進んでいるように見える。
「奥様、その予想が当たっているとすれば、旦那様の寿命はそのうち……」
「ええ、予想が当たっているならば、旦那様は近いうちに寿命が尽きることでしょう。でも……その方が好都合だわ」
私はそっと自分の腹に手を当てた。
まだ膨らんですらいない腹。
ここに、次代のブルーギル伯爵となる子が宿っている。
「そうですね……。大奥様公認といえど、これを知れば旦那様は騒ぎそうですもの。おそらくは『自分の子じゃない!』と言いふらして回りそうですものね」
「ええ。だからどう言い含めようかと悩んでいたけど、これで解決するわ。この子が産まれる前に旦那様が儚くなってくれるなら、誰も騒がないもの」
義母に薦められ、ブルーギル伯爵家の血を引く親類の子息に種を貰った。
それがめでたく実を結び、後は産まれるのを待つのみだ。
跡継ぎを孕み、これで私の伯爵夫人としての地位は確かなものとなった。
だが問題は夫であるデイビットへの説明。
いくら自分が子作りという夫の義務を果たしてなくとも、妻がよその男の種で孕んだとなれば怒り狂うのは目に見えている。
なのでいつ妊娠を打ち明けようかと頭を悩ませた。
だが、もし……この予想が当たっているのなら全て解決する。
「仮にそうじゃないとしても、旦那様ならいつでも始末できますよ?」
「あら、ダメよノーラ。いくら出来の悪い息子だとしても、流石に始末なんてしたらお義母様に恨まれるわ。お義母様を敵に回すのは悪手よ。それは止めておきましょう」
平民である私から産まれるこの子が当主となるには義母の協力があった方がいい。
この子の出自への疑念も、平民出の伯爵夫人である私への風当たりも、全て握り潰せる力が義母にはあるのだから。
「それなのだけど……魔女が代償に寿命を奪うのって、どの瞬間なのかしら?」
「え? それは……願いが叶った瞬間じゃないですか?」
「うん。私もそう思ってたわ。だけどもしかしたら違うのかもしれない……。ねえ、ノーラは最近の旦那様の姿を見たかしら?」
「旦那様の姿ですか? いえ……お部屋に引きこもっていらっしゃるので、しばらく拝見しておりませんね。世話係のメイド達なら見ているでしょうけど……」
「そうなのね。私は一応毎日部屋に入って健康状態を確認しているんだけど……。最近、なんだかお顔に皺が増えてきたようなの……」
「え!? 皺ですか? え、旦那様はまだ20にもなっておりませんよね? そんなお若いのにもう皺が……?」
「ええ……。最初に気付いた時には気のせいだと思ったのよ。だけど毎日お顔を確認していると、ああやっぱり気のせいじゃなかったのかって……。お酒のせいでそうなったのかしらと思ったんだけど、ローレン嬢の話を聞いたら……もしかしてこれって魔女に願った代償なのかもと……」
若さという名の寿命を奪う行為が、一瞬ではなくジワジワとくるものだとしたら?
今のデイビットの状態がまさしくそう。日増しに加齢が急速に進んでいるように見える。
「奥様、その予想が当たっているとすれば、旦那様の寿命はそのうち……」
「ええ、予想が当たっているならば、旦那様は近いうちに寿命が尽きることでしょう。でも……その方が好都合だわ」
私はそっと自分の腹に手を当てた。
まだ膨らんですらいない腹。
ここに、次代のブルーギル伯爵となる子が宿っている。
「そうですね……。大奥様公認といえど、これを知れば旦那様は騒ぎそうですもの。おそらくは『自分の子じゃない!』と言いふらして回りそうですものね」
「ええ。だからどう言い含めようかと悩んでいたけど、これで解決するわ。この子が産まれる前に旦那様が儚くなってくれるなら、誰も騒がないもの」
義母に薦められ、ブルーギル伯爵家の血を引く親類の子息に種を貰った。
それがめでたく実を結び、後は産まれるのを待つのみだ。
跡継ぎを孕み、これで私の伯爵夫人としての地位は確かなものとなった。
だが問題は夫であるデイビットへの説明。
いくら自分が子作りという夫の義務を果たしてなくとも、妻がよその男の種で孕んだとなれば怒り狂うのは目に見えている。
なのでいつ妊娠を打ち明けようかと頭を悩ませた。
だが、もし……この予想が当たっているのなら全て解決する。
「仮にそうじゃないとしても、旦那様ならいつでも始末できますよ?」
「あら、ダメよノーラ。いくら出来の悪い息子だとしても、流石に始末なんてしたらお義母様に恨まれるわ。お義母様を敵に回すのは悪手よ。それは止めておきましょう」
平民である私から産まれるこの子が当主となるには義母の協力があった方がいい。
この子の出自への疑念も、平民出の伯爵夫人である私への風当たりも、全て握り潰せる力が義母にはあるのだから。
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