やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち

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似ている話(キアラ視点)

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「魔女が夫に放った呪いの言葉って結構ゾッとするわよね。子供の頃にこれを聞いて、夜中に一人で厠に行けなくなったもの」

「ああ、しばらく私が一緒に行きましたものね。確かに子供心にはゾワッとする台詞ですよね。確か……『貴方が愛したこの娘。妾から愛する貴方を奪った憎いこの娘。妻の姿を模した像に変えられた、哀れで愛しい娘を抱いて、永遠にこの世界を彷徨い続けるがいいわ!』でしたっけ?」

「そうそう、それ。ノーラ、貴女よく覚えているわね?」

「昔から繰り返し聞かされた話ですもの。忘れようにも忘れられません」

 魔女の姿をした像に変えられた浮気相手を抱え、若さを奪われ老いた姿のまま彷徨うことを定められた魔女の夫。彼はその像を使って魔女に“若さ”を与え続ける為に生かされているらしい。

「その“若さ”を奪う方法がまた回りくどいのよね。その像に触れた人間は自分の若さを吸われる、とかならまだ分かるんだけど」

 魔女は己のための“若さ”を、彼女の夫のように献身的な妻を蔑ろにするから奪うと決めた。
 尽くした自分をアッサリ捨てた夫が憎くてたまらず、彼と同じような男も憎くてたまらない。

 その方法とは、ローレン嬢とデイビットとの間に起こった出来事と全く同じ。

 が、献身的に尽くしたにも関わらず裏切られた人間の女の元へ行き、魔女の姿を模した像を渡す。そしてこう言うのだ。

 “これに願え。そうすれば人生をやり直せる”

 魔女の呪いが込められているその像は、願いを聞き時間を巻き戻す。
 
 その代償に己の“若さ”……つまりは残りの寿命を差し出して。

「普通は願った方の寿命が代償になると思うじゃない? だけど違うのよね。魔女は願いの代償に、その女性を裏切った寿を持っていくの。子供の頃は何とも思わなかったけど、今考えると不思議よね? 何でなのかしら?」

「それはやっぱり自分の夫と同じようなクズ男が憎くてたまらないからじゃないですか? もしくは女性の方に代償を求めたら可哀想とか?」

「あー……なるほど。……ねえ、過去のローレン嬢の前に現れたのって……もしかして魔女の夫、なのかしら……?」

 この話は単なるお伽噺だと思っていた。
 だが偶然で片づけるには難しいほど状況が酷似している。
 
 それに、もしそうなら……デイビットの寿命は……。
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