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不法侵入①(レヴィアス視点)
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「……旦那様、このことは奥様にもお伝えしますか?」
「いや、妊娠中の妻にいらぬ負担を与えたくない。僕が対処するよ」
昼間に会った妻の元夫、カミーユ・アルシア公爵子息を捕縛したとの知らせを受けた僕は寝ている妻を起こさぬようそっと寝台から出た。
どうやら門番が追い返そうとした途端に激高し、そのまま無理矢理侵入しようとしたらしい。
従僕に案内され向かった先には縄で体を縛られたアルシア公爵子息が地面に転がっていた。
そしてその傍らには物凄い目でその男を睨むジェニーがいる。
「あ、旦那様! このキモいおっさん海に捨ててきていいですか!? こんな夜中に他人の家を訪ねるとか正気とは思えません! というか近所迷惑です!」
ジェニーの物言いは公爵家の人間に対してだいぶ不敬だが、言っていることは正論だ。
こんな夜中に馬で人の邸に来るなんて非常識だし、周囲にも迷惑でしかない。
「ジェニー、気持ちは分かるが貴族にそれをやったらマズい。それより街の警備兵に不法侵入者として引き渡してしまった方が早いな」
「えー……そうですか……「おい、お前! 早くこの縄を解け!」」
無様に転がっている男が僕を見るなり居丈高に叫ぶ。
すると発言を遮られたジェニーが射殺すような視線を男に向けた。
「なんです? 人の邸に不法侵入しようとして偉そうに!」
あれだけ偉そうな態度をとっていた男はジェニーのやけに迫力のある視線に硬直した。
温室育ちの貴族にとっては彼女の暗殺者もかくやという目力は恐怖でしかないだろうな。
「き、貴様……不敬だぞ……」
「あぁん!? お前自分の立場分かってんのかよ……? 今すぐ岩抱かせて海に投げたっていいんだぞ?」
どこの破落戸かと言わんばかりのジェニーの凄みに男は小さく「ヒッ」と悲鳴を上げた。
うん、怖いだろうよ。蝶よ花よと育てられた貴族がこんな凄まれることはないからな。
「ジェニー、貴族の子息を始末することは色々マズい。さっさと警備兵経由で家に連絡を入れてもらった方がいい」
「ええ……? はあ……旦那様がそう仰るなら……」
渋々といった様子でジェニーは門番の一人に警備兵の詰め所へ行くよう指示を出す。
気持ちとしては僕だって妻を傷つけたこの男に制裁を与えたい。
だが平民が貴族に手を出すのは色々と面倒だ。
縛って転がす分には正当防衛になるだろうが、始末してしまっては罪に問われる。
「くっ……お前達、この私を誰だと……」
「誰って、人の妻に言い寄ってくる未練がましい元夫ですよね?」
僕がそう言うと彼は悔しそうにこちらを睨みつけてきた。
「……ちょっとした行き違いで離婚しただけだ!」
「行き違い、ね……。王女を妻に迎えたいからビアンカを追い出したことの何が行き違いなんだか……」
「なっ……! 貴様、どうしてそれを……!?」
「妻から全部聞いておりますよ。それに貴方が王女一筋で結婚を拒否していたことは社交界で有名でしたからね。世代が違う僕ですら知っておりましたよ」
「社交界だと……? お前、貴族なのか?」
「ええ、元、ね。ビアンカがまさかある意味有名な貴方に嫁いでいたとは……。それはそうとビアンカのような才色兼備を捨ててまで欲した王女と結ばれるんだから、もっと喜んだらいかがです?」
「廃嫡されるのに喜べるわけないだろう!? リリアーヌだって廃嫡された私と貧乏暮らしをするくらいならそのまま王宮で暮らしてもらった方が幸せなはずだ!」
「んん……? 王女との結婚は諦めたということですか?」
なんだかこの男の言っていることは支離滅裂だな。
そもそも結婚は王命で決められてしまったのだから、お前が嫌でも止めることなんて出来ないだろうよ。
「……仕方ないだろう。まさか廃嫡されるなんて思ってなかった……。それにリリアーヌは変わってしまった! もう私の愛する彼女じゃない……!」
当主の決めた結婚相手を勝手に追い出しておいて、どうして廃嫡されないと思ったんだ?
だがそれを言っても無駄な気がするし黙っておくか。
それよりも阿呆みたいに愛していた王女に対して心変わりか?
いったい何があった?
「いや、妊娠中の妻にいらぬ負担を与えたくない。僕が対処するよ」
昼間に会った妻の元夫、カミーユ・アルシア公爵子息を捕縛したとの知らせを受けた僕は寝ている妻を起こさぬようそっと寝台から出た。
どうやら門番が追い返そうとした途端に激高し、そのまま無理矢理侵入しようとしたらしい。
従僕に案内され向かった先には縄で体を縛られたアルシア公爵子息が地面に転がっていた。
そしてその傍らには物凄い目でその男を睨むジェニーがいる。
「あ、旦那様! このキモいおっさん海に捨ててきていいですか!? こんな夜中に他人の家を訪ねるとか正気とは思えません! というか近所迷惑です!」
ジェニーの物言いは公爵家の人間に対してだいぶ不敬だが、言っていることは正論だ。
こんな夜中に馬で人の邸に来るなんて非常識だし、周囲にも迷惑でしかない。
「ジェニー、気持ちは分かるが貴族にそれをやったらマズい。それより街の警備兵に不法侵入者として引き渡してしまった方が早いな」
「えー……そうですか……「おい、お前! 早くこの縄を解け!」」
無様に転がっている男が僕を見るなり居丈高に叫ぶ。
すると発言を遮られたジェニーが射殺すような視線を男に向けた。
「なんです? 人の邸に不法侵入しようとして偉そうに!」
あれだけ偉そうな態度をとっていた男はジェニーのやけに迫力のある視線に硬直した。
温室育ちの貴族にとっては彼女の暗殺者もかくやという目力は恐怖でしかないだろうな。
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「あぁん!? お前自分の立場分かってんのかよ……? 今すぐ岩抱かせて海に投げたっていいんだぞ?」
どこの破落戸かと言わんばかりのジェニーの凄みに男は小さく「ヒッ」と悲鳴を上げた。
うん、怖いだろうよ。蝶よ花よと育てられた貴族がこんな凄まれることはないからな。
「ジェニー、貴族の子息を始末することは色々マズい。さっさと警備兵経由で家に連絡を入れてもらった方がいい」
「ええ……? はあ……旦那様がそう仰るなら……」
渋々といった様子でジェニーは門番の一人に警備兵の詰め所へ行くよう指示を出す。
気持ちとしては僕だって妻を傷つけたこの男に制裁を与えたい。
だが平民が貴族に手を出すのは色々と面倒だ。
縛って転がす分には正当防衛になるだろうが、始末してしまっては罪に問われる。
「くっ……お前達、この私を誰だと……」
「誰って、人の妻に言い寄ってくる未練がましい元夫ですよね?」
僕がそう言うと彼は悔しそうにこちらを睨みつけてきた。
「……ちょっとした行き違いで離婚しただけだ!」
「行き違い、ね……。王女を妻に迎えたいからビアンカを追い出したことの何が行き違いなんだか……」
「なっ……! 貴様、どうしてそれを……!?」
「妻から全部聞いておりますよ。それに貴方が王女一筋で結婚を拒否していたことは社交界で有名でしたからね。世代が違う僕ですら知っておりましたよ」
「社交界だと……? お前、貴族なのか?」
「ええ、元、ね。ビアンカがまさかある意味有名な貴方に嫁いでいたとは……。それはそうとビアンカのような才色兼備を捨ててまで欲した王女と結ばれるんだから、もっと喜んだらいかがです?」
「廃嫡されるのに喜べるわけないだろう!? リリアーヌだって廃嫡された私と貧乏暮らしをするくらいならそのまま王宮で暮らしてもらった方が幸せなはずだ!」
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そもそも結婚は王命で決められてしまったのだから、お前が嫌でも止めることなんて出来ないだろうよ。
「……仕方ないだろう。まさか廃嫡されるなんて思ってなかった……。それにリリアーヌは変わってしまった! もう私の愛する彼女じゃない……!」
当主の決めた結婚相手を勝手に追い出しておいて、どうして廃嫡されないと思ったんだ?
だがそれを言っても無駄な気がするし黙っておくか。
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いったい何があった?
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