真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?

わらびもち

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今、会いに行く(元夫視点)

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「カミーユ、お前は今日ビアンカに会いに行ったらしいな? 半年前に自ら追い出した元妻によく恥ずかし気もなく会いにいけたものだな……?」

 ビアンカの家にいた怪力のメイドによって力づくで追い出された私は仕方なく邸へと帰った。
 そして待ち構えていた父上によって床に直接座らされ、説教を受けている。
 父上の声は穏やかだが圧力がすごい。これは相当怒っているな……。

「……仕方ないではありませんか! 父上が私を廃嫡するなどと仰るから……。それに伯爵家にいると思ったビアンカがすでにそこにはいなくて……。居場所を探るのに半年もかかったんです!」

 ビアンカに会うためオードリー伯爵家へ向かったら伯爵に「ここにはいない」と冷たくあしらわれた。
 彼女の居場所を聞いても伯爵一家も使用人達も蔑む視線を送るだけ。
 
 仕方なく金で人を雇い、半年経ってやっと居場所が分かったんだ。
  
 私だってもっと早く会いに行きたかったさ!

「お前が廃嫡されることとビアンカは関係ない! 全てお前の愚かな選択の結果だ!」

「関係ないなんてことありません! ビアンカと離婚したから廃嫡されるのでしょう!? なら再婚すれば全て元通りになるはずだ! そうだ……父上が公爵としてビアンカに再婚を命じれば、彼女も……」

「そんな非常識な真似ができるか! だいたい、ビアンカはもう人妻で腹に子までいるんだぞ!? お前流に言えば“愛する者同士”を引き裂くつもりなのか?」

「ビアンカが子を!? そんな……裏切りじゃないか!」

「何に対しての裏切りかは知りたくもないが、妻が夫の子を孕むことに罪などない。それに彼女はすでに貴族籍を抜け平民となっている。平民は貴族家に嫁げぬから、仮に再婚したとしても公爵夫人にはなれぬよ」

 ビアンカが平民……? そういえば会いに行ったとき、ビアンカもそう言ってたな。
 
 だけど別にまた籍を戻せばいいだけじゃないか?

「また籍を伯爵家に戻せばいい、なんて馬鹿げた考えをするなよ? 一度抜けた籍を戻す真似は我が国の貴族にとってひどく恥知らずな行為だ。やむを得ない事情が無い限り、籍を戻すことは陛下も了承せん」

「あ……なら、別の家に養女として迎えてもらえば……」

「どの家が了承するというんだ? それにビアンカ本人はお前と再婚したいと望んでいないだろう? 散々ビアンカに迷惑をかけておいて、また縋ろうなんざ図々しいと思わないのか!」

「で、ですが……ビアンカも平民よりは公爵夫人になった方が幸せかと……」

「くどい! お前が何と言おうが廃嫡は決定事項だ! お前は出戻り王女リリアーヌを迎える準備でもしておけ!」

「はあ!? 領地の小さな邸で暮らすことに準備なんていらないでしょう!?」 

 リリアーヌと私は結婚後、領地にある小さい邸に住まうことが決まっている。
 そこは邸とは名ばかりの狭く古い家だ。ビアンカが住んでいた場所の方がよほど広くて豪華だった。

「何を言う? そこでは通いの老夫婦しか使用人がいないから、お前も王女も自分のことは自分でせねばならんのだぞ? 今からでも使用人達に身の回りのことを習っておいた方がいいと思うぞ」

 この私が使用人に教えを請うだと!?
 
 公爵家嫡男として生まれ育った高貴な私が……?
 
 そんな恥ずかしい真似ができるか!

「とにかく結婚までは大人しくしておれ! おい、誰かこいつを部屋に閉じ込めておけ!」

 父上の命令を受けた従僕達が私の両肩を掴み無理矢理部屋に閉じ込めた。
 扉の前には騎士を配置され、そこから出ようとすると問答無用で部屋に戻される。

 くっ……このままここにいてはいずれ貧相な家で平民並の暮らしを生涯送ることになってしまう! 
 
 平民だが大きな邸に使用人もいるビアンカとは大きな違いだ!
 あっちの方が余程いい暮らしをしているじゃないか!

 そうだ、どうせ廃嫡されるなら、私もビアンカの邸で暮らせばいいんじゃないか?
 
 そうだ、それがいい。あの贅沢な暮らしは私が支払った慰謝料のおかげだろうし、ならば私もがあるはずだ!

 いい考えだ。やはり私は冴えているな!
 平民の夫よりも、高貴な私の方があの豪華な邸に相応しい。
 ビアンカとは元々夫婦だったのだし、すぐにあんな男よりも私の方がいいと気付くだろう!

 よし、そうと決まればさっそく会いに行こう。
 夜になったらこっそり窓から出て……馬車は使えないから馬で行くか。
 
 そうだ、せっかくだし白馬で向かうのはどうだろう?
 
 人妻とはいえビアンカはまだ10代の乙女、白馬の王子に憧れる年齢だ。
 白馬に乗る私を見て惚れ直すはず。

 待っていてくれビアンカ! 今君のが会いに行くからな!
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