婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける

「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」

 王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。

 クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。

 せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。
 キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。

 クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。


 卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。
 目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。


 淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。

 そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。


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