真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?

わらびもち

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元夫が来ました②

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「ど、どうして嫌なんだ? あ、そうか……前回は白い結婚だったからな。安心してくれ、今回はきちんと君を妻として扱うし、閨も共にするから!」

「気持ち悪いこと言わないでくださいます? 貴方と閨を共にするなどごめんですわ」

 ハッキリと拒否の姿勢を示すと元夫は阿呆みたいな顔を晒しましたね。
 
 何で自分が受け入れてもらって当然と考えているんですか?

「え……気持ち悪い? な、なんで、そんな……」

「逆にどうして私が受け入れてくれると思うのですか? 見ての通り、もう私は夫がいる身です。人妻に結婚を迫るなんて非常識にも程がありますわよ」

 この方、本当にそういうところなんですよね……。
 
 鈍いというか、気が回らないというか……どうやって育てたらこうなるんでしょうか?

「いや……別に離婚すればいいじゃないか? 平民の夫よりも次期公爵の夫の方が君も幸せになれるだろう?」

「なれませんし、離婚もしません。第一、貴方が仰ったんじゃありませんか? 『愛し合う者同士が夫婦になるのは当然のこと』と。私達は愛し合っておりますので、この場合部外者は貴方ですわよ? 愛に勝るものなどない、と言っておきながら、愛し合う者同士の仲を割くおつもりで?」

 散々『愛』について聞いてもないのに演説した貴方ですもの。
 まさか今更それを否定したりしませんわよね?

「う……それは……。だが、このままでは廃嫡されてしまうんだ……! 私を助けると思ってどうか……」

「それは当たり前です。愛より利益を選ぶアルシア公爵の後継者に、利益より愛を選んだ貴方が相応しいわけありません。いいですか、を選択したのは過去の貴方なのです。私は貴方の元に戻りませんし、王命まで出てしまってはリリアーヌ王女以外を娶ることも許されません。いいかげん諦めて現実を受け入れなさいませ」

 唖然とした顔をしておりますが、どこかまだ縋るような眼をしてますね。
 
 押し通せば私が折れるとでも? 私はそんなに甘くありませんわ。

「頼む……ならせめて父上に口添えを……」

「致しません。さあ、もうお帰り下さい。ジェニー! お客様がお帰りですよ!」

 私に呼ばれたジェニーはすぐに応接間に入り、元夫の腕を掴んで玄関まで引きずっていってくれました。
 
 彼女は昔、港で荷運びの仕事に就いておりましたからその辺の男性より力持ちなんですよね。実に頼もしいです。


「…………中々強烈な人だったね、君の元夫は。君が全て言い返していたから僕が口を挟む隙がなかったよ……」

「あんな脳内お花畑男と話しては頭がおかしくなりますよ? 私は慣れておりますから大丈夫ですわ。それにレヴィアス様が傍にいてくれるだけで頼もしいです」

 夫に寄り添い、脳内お花畑男と話すことでくたびれた心を癒してもらいましょう。
 それにしても相変わらず自己中心的なお人ですこと。
 夫の前で私に結婚を迫るとか考えられませんわ。

「奥様―! あの気持ち悪いおっさんを門の外まで捨ててきましたー!」

「まあ、ありがとうジェニー」

 門の外まで? ジェニーは本当に力持ちで頼りになりますね。
 後で褒美に銀貨を与えましょう。

「あのおっさん、引きずってる間ずっと奥様の名前呼んでましたよ? 未練がましくて女々しいですね!」

 あらあら、離婚した妻の名前を呼ぶなんて失礼だと申しましたのに……。
 相変わらず人の話を聞かない方ですね。

「あの方が女々しくて未練がましくて気持ち悪いのは元からよ。今度また来たら追い返していいわ」

「分かりました! 門番にもそう伝えておきますね!」

 本来ならば公爵家の方を追い返すなど不敬ですが、もうアルシア公爵家の人間ではなくなるのですから構いませんね。

 今回は興味本位で会いましたけど、次からはもういいでしょう。

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