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常軌を逸した発想
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「くっ……何故だ! 何故、誰も私を助けてくれないんだ……!」
一人執務室に残されたダニエルは頭を抱えて悲嘆に暮れていた。
誰一人として自分とアニーの真実の愛を応援してくれない。
ずっと味方でいてくれた使用人達にさえ見限られた絶望が心に重くのしかかる。
「こんなことになったのも叔父上が余計な口出しばかりしてくるせいだ! 一族の者達から当主である私よりも慕われて……腹立たしい」
叔父だけがダニエルに期待を寄せていてくれたからこそ、盆暗でも当主の座にいられることを理解していない。そうでなければとっくの昔に当主として相応しくないと罷免されていた。それを理解していないどころか、見当違いの怒りを抱くダニエルは叔父の悪口ばかりを言い募る。
「父上の弟というだけで説教ばかりしてきてうんざりだ! 叔母上だって身分がどうの礼儀がどうのと煩い! これだから身分が高い女は嫌なんだ……可愛げがない。父上はどうしてあんな頭でっかちな女のことばかり追いかけていたのか理解しがたい」
ダニエルの亡き父親は元々の婚約者だったラティーシャばかり追いかけていたせいで自分の妻子には目もくれなかった。それが原因でダニエルは叔母のような身分が高く賢しい女性を嫌うようになる。
「……アニーと離れるなんて冗談じゃない。アニーは私が人生で初めて愛しいと、守ってやりたいと思えた女性なのに……。どうしてあんなお高くとまった王女の為にアニーを手放さなければいけないんだ……!」
王女に求婚したのは自分だという事実を都合よく忘れたダニエルは、何故か恨みの矛先をジュリアーナへと向けた。そもそも彼女に求婚さえしなければこんな事態にはならなかったという至極当然な発想には全く至らない。
常に誰かのせいにして生きるのが他責志向の人間の性質だから。
「とにかくどうにかしてアニーを何処かに預けねば……」
そうは言っても誰も思いつかない。
最も信用していた乳母と家令には断られてしまった。側近のシーザーはこちらが何も言っていないうちから「無理ですからね?」と念を押されてしまう有様だ。
他の使用人に金を握らせてどうにかしようとも考えたが、邸内ではラティーシャ夫人の連れてきた使用人が目を光らせているのですぐに告げ口されかねない。
どうしたら……と思い悩むうちにダニエルの頭にとある考えが浮かんだ。
「そうだ……。いっそ邪魔な叔父夫妻と王女を始末してしまえばいいんだ……!」
名案だ、とばかりに目を輝かせるダニエル。
彼の発想は常軌を逸していた。
「そのついでに邪魔なクリストファーも、一族の者も一緒に始末してしまえばいい。そうと決まれば……」
そんなにも大勢を始末することなど容易ではない。
いくらダニエルの剣の腕が良いとはいえ味方もいない状態で何人もの人間を始末するなど実質的に不可能だ。
しかし、どうやらダニエルには自分にとっての邪魔者を始末するアテがあるらしく、執務を放り出して足早に外へと向かうのだった。
一人執務室に残されたダニエルは頭を抱えて悲嘆に暮れていた。
誰一人として自分とアニーの真実の愛を応援してくれない。
ずっと味方でいてくれた使用人達にさえ見限られた絶望が心に重くのしかかる。
「こんなことになったのも叔父上が余計な口出しばかりしてくるせいだ! 一族の者達から当主である私よりも慕われて……腹立たしい」
叔父だけがダニエルに期待を寄せていてくれたからこそ、盆暗でも当主の座にいられることを理解していない。そうでなければとっくの昔に当主として相応しくないと罷免されていた。それを理解していないどころか、見当違いの怒りを抱くダニエルは叔父の悪口ばかりを言い募る。
「父上の弟というだけで説教ばかりしてきてうんざりだ! 叔母上だって身分がどうの礼儀がどうのと煩い! これだから身分が高い女は嫌なんだ……可愛げがない。父上はどうしてあんな頭でっかちな女のことばかり追いかけていたのか理解しがたい」
ダニエルの亡き父親は元々の婚約者だったラティーシャばかり追いかけていたせいで自分の妻子には目もくれなかった。それが原因でダニエルは叔母のような身分が高く賢しい女性を嫌うようになる。
「……アニーと離れるなんて冗談じゃない。アニーは私が人生で初めて愛しいと、守ってやりたいと思えた女性なのに……。どうしてあんなお高くとまった王女の為にアニーを手放さなければいけないんだ……!」
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常に誰かのせいにして生きるのが他責志向の人間の性質だから。
「とにかくどうにかしてアニーを何処かに預けねば……」
そうは言っても誰も思いつかない。
最も信用していた乳母と家令には断られてしまった。側近のシーザーはこちらが何も言っていないうちから「無理ですからね?」と念を押されてしまう有様だ。
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どうしたら……と思い悩むうちにダニエルの頭にとある考えが浮かんだ。
「そうだ……。いっそ邪魔な叔父夫妻と王女を始末してしまえばいいんだ……!」
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彼の発想は常軌を逸していた。
「そのついでに邪魔なクリストファーも、一族の者も一緒に始末してしまえばいい。そうと決まれば……」
そんなにも大勢を始末することなど容易ではない。
いくらダニエルの剣の腕が良いとはいえ味方もいない状態で何人もの人間を始末するなど実質的に不可能だ。
しかし、どうやらダニエルには自分にとっての邪魔者を始末するアテがあるらしく、執務を放り出して足早に外へと向かうのだった。
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