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夢の中
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オーガスタ家が揉めている間もジュリアーナは未だ目覚めずにいた。
ラティーシャ夫人が手配した医師に診察してもらうが、特に身体に不調は見られないとのこと。疲労と精神的な衝撃によるものではないかと。
「お労しや姫様……。こんな危険な場所にはいられません、早々に王都に戻った方がよろしいのでは?」
「そうしたいのはやまやまですが、姫様は昏睡状態で水も飲めていない状況にあります。このような状態で長時間馬車に揺られては姫様のお体に障りがあってはいけません。もう少し様子を見た方がよろしいかと」
「しかし、このまま何日も目覚めないようではお命の危険が……」
目覚めない主人を案じた侍女達の意見が飛び交う。
そんな中、当のジュリアーナは夢の世界を漂っていた。
*
「ここは……オーガスタ邸の中? どうして誰もいないのかしら……」
夢の中でジュリアーナは人気のないオーガスタ邸を歩いていた。
歩いても歩いても誰にも会わない。使用人も、ラティーシャ夫人も、ダニエルにさえも。
気味の悪い状況だが、不思議とジュリアーナは恐怖を感じなかった。
それに闇雲に歩き回っているのではなく、自然と足が目的地を理解しているように動く。
そこが何処かまでは分からないが……。
「まあ! あれは……」
玄関を抜け、外に出て少し歩いたあたりで件の別邸が目に入った。
時戻り前、ジュリアーナがマーサを失った場所。あの忌々しい場所に向かい足が進んでいることで目的地がそこだと分かる。
庭をぐるりと迂回し、細い小道をしばらく歩くと別邸の門前へと到着した。
「ここ、こんなにも入りづらい場所にあったのね……」
あの時は無理やり連行されたショックで気づいていなかった。
この別邸は本邸の窓から外観が見える位置にありながら簡単にたどり着けない場所にある。多分、ここは多分歴代の当主が愛人を住まわせるための場所だったのではないだろうか。王宮にも国王が愛妾を住まわせる宮殿があるのだが、そこもやはり入り組んでいて中々たどり着けないようになっていた。
そんなことを考えながら別邸の入り口の扉を開ける。
古びた扉はギギッと嫌な音を立てて開く。こうしてみると手入れが全くされていない。
こんなところに閉じ込められたのかと思うと腹立たしい。
中に足を踏み入れるとツンと黴臭い香りが鼻につく。
時戻り前もここに押し込められた際にこの香りがしたことを思い出した。
ここは監禁された挙句にマーサを失った嫌な思い出の積もる場所。
自然と心臓が早鐘を打ち、額からは嫌な汗が滲む。呼吸も苦しい。
早くここから出ればいいのに何故か足は邸の中へと進んでいく。
まるで何かに導かれているように……。
「……っ!!? マーサ……?」
邸内にある一部屋、そこは時戻り前にジュリアーナが泣き続けていた場所だ。
来る日も来る日も己が身の不幸を嘆き続けていた部屋。
視界に入れたくもないその部屋の中央にマーサの姿があった。
まるでジュリアーナを待っていたかのように佇んでいる。
これは夢だ。都合の良い夢。だってマーサがいるわけがないのだから。
ラティーシャ夫人が手配した医師に診察してもらうが、特に身体に不調は見られないとのこと。疲労と精神的な衝撃によるものではないかと。
「お労しや姫様……。こんな危険な場所にはいられません、早々に王都に戻った方がよろしいのでは?」
「そうしたいのはやまやまですが、姫様は昏睡状態で水も飲めていない状況にあります。このような状態で長時間馬車に揺られては姫様のお体に障りがあってはいけません。もう少し様子を見た方がよろしいかと」
「しかし、このまま何日も目覚めないようではお命の危険が……」
目覚めない主人を案じた侍女達の意見が飛び交う。
そんな中、当のジュリアーナは夢の世界を漂っていた。
*
「ここは……オーガスタ邸の中? どうして誰もいないのかしら……」
夢の中でジュリアーナは人気のないオーガスタ邸を歩いていた。
歩いても歩いても誰にも会わない。使用人も、ラティーシャ夫人も、ダニエルにさえも。
気味の悪い状況だが、不思議とジュリアーナは恐怖を感じなかった。
それに闇雲に歩き回っているのではなく、自然と足が目的地を理解しているように動く。
そこが何処かまでは分からないが……。
「まあ! あれは……」
玄関を抜け、外に出て少し歩いたあたりで件の別邸が目に入った。
時戻り前、ジュリアーナがマーサを失った場所。あの忌々しい場所に向かい足が進んでいることで目的地がそこだと分かる。
庭をぐるりと迂回し、細い小道をしばらく歩くと別邸の門前へと到着した。
「ここ、こんなにも入りづらい場所にあったのね……」
あの時は無理やり連行されたショックで気づいていなかった。
この別邸は本邸の窓から外観が見える位置にありながら簡単にたどり着けない場所にある。多分、ここは多分歴代の当主が愛人を住まわせるための場所だったのではないだろうか。王宮にも国王が愛妾を住まわせる宮殿があるのだが、そこもやはり入り組んでいて中々たどり着けないようになっていた。
そんなことを考えながら別邸の入り口の扉を開ける。
古びた扉はギギッと嫌な音を立てて開く。こうしてみると手入れが全くされていない。
こんなところに閉じ込められたのかと思うと腹立たしい。
中に足を踏み入れるとツンと黴臭い香りが鼻につく。
時戻り前もここに押し込められた際にこの香りがしたことを思い出した。
ここは監禁された挙句にマーサを失った嫌な思い出の積もる場所。
自然と心臓が早鐘を打ち、額からは嫌な汗が滲む。呼吸も苦しい。
早くここから出ればいいのに何故か足は邸の中へと進んでいく。
まるで何かに導かれているように……。
「……っ!!? マーサ……?」
邸内にある一部屋、そこは時戻り前にジュリアーナが泣き続けていた場所だ。
来る日も来る日も己が身の不幸を嘆き続けていた部屋。
視界に入れたくもないその部屋の中央にマーサの姿があった。
まるでジュリアーナを待っていたかのように佇んでいる。
これは夢だ。都合の良い夢。だってマーサがいるわけがないのだから。
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