知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第3章 帝都潜入作戦

第25話 方針決定

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「宮殿に忍び込みました」

「…………はぁ!?」

 イッガーの言葉に思わず声をあげてしまった。

「あ、えっと、宮殿に忍び込みました」

「いや、聞こえてないわけじゃなく! 宮殿って、ここの? 皇帝が住んでるってあの!?」

「あ……はい」

 おいおいおいおい。
 いきなり国の中心部に突っ込んだってことか!?
 ほんとこいつ、無表情で淡々としているみたいに見えて、とんでもないことしでかすよな。

「いや……でもあれ、ホント警備が……ザルです。誰でも、とは言いませんが、少しでも心得があれば……忍び、込めます。皇帝はまだしも、暗殺とか楽勝じゃないですか……」

「む、暗殺とは正義ジャスティスではない言葉が聞こえました!」

「あー、イッガー。これは無視して続きを」

 てか皇帝を暗殺して何かが変わるなら選択肢の1つだけど、前に『古の魔導書エンシェントマジックブック』で見た感じ、ぶっちゃけお飾りの皇帝と言っても良い。
 でもきっとマツナガならそれをちらつかせて譲歩させるとか、嬉々として手を打つんだろうなぁ……。

「あ、はい……えっと……あ、ただ1か所。異様に警備が……厳重なところが」

「なに、どこだ?」

「地図、書いてきました。えっと……ここです」

 イッガーが自作らしい地図を広げた。
 宮殿付近、それがおおざっぱではあるがびっしり書き込まれている。こういうこともできるのかよ……イッガーすげぇな。あとで『古の魔導書エンシェントマジックブック』とすり合わせてみるか。

「宮殿のはずれだな……って、なんだ、この建物」

「さぁ……離宮みたいなもんじゃ、ないですかね。にしてはちょっと小さいですが。1階部分しか……ないですし」

「離宮、ね」

「でもあそこだけはちょっと厳しいかもです。見張りがうろうろいて、犬も放し飼いになってます。自分の……えっと、スキル。さすがに犬には弱い、みたいで……見つかりますね」

 なるほど、イッガーのスキルにも弱点があったのか。仕方ない。

「うーん、確かに怪しい」

 こんなところを警備する必要は全くない。
 宝物庫というなら別だが、それをわざわざこんな離れたところに作る必要もない。
 となると何かを隠している?
 では何を?

 いや、予断は禁物だ。
 そこに先王がいるという確証はない。
 敵国のど真ん中もど真ん中。そんなところで皆に命をかけさせるわけにいかないのだ。

 だから判断は保留。
 探るべき場所ができたものの、やはりまだ情報不足というのが正しい判断だろう。

「とりあえずそこを探りつつ、あとは噂についてだな。皆が聞いた限りだと、誰も知らないってことだが。……うん、やはりこれは恣意しい的すぎるな」

「自分ももう少し、探ります」

「あぁ、だけど近づきすぎるな……いや、ここには近づくなイッガー。お前に何かあったら、本当に俺が困る」

「……っす」

 少し照れたように小さく頷くイッガー。

「あぁ、あと一応俺の調査も共有しておこうか」

 そこで俺が見た、特に教会での出来事を語った。

「パルルカ教?」

「なんか可愛らしい名前ですね。正義ジャスティスな匂いがします」

「確か、戴冠式の進行をした人もパルルカ教の司祭でしたよね、隊長?」

「そうだ、ウィット。けどオムカにはほとんど影響ないんだろう?」

「そうですね。あまり聞いたことないですが、それがどうしました?」

「……いや、ちょっと気になるんだ」

 歴史上で宗教が絡まない時代はない。
 特に軍事においてもそうだ。十字軍、黄巾党、本願寺などなど。
 宗教の名のもとに軍として機能することになると、それはまた厄介なことになる。

「イッガー。できればそっちを探ってみてくれないか?」

「分かりました……それも、探ります」

「あぁ、頼む」

 里奈については話さなかった。
 皆に里奈を知られるのが困るから、じゃない。
 俺自身がまだ半信半疑で、もしかしたら他人の空似ということも十分あるからだ。

 というわけで情報をすり合わせて、大まかなことが見えてきた。
 方針決定だ。

「調査については引き続き行っていくこととする。とはいえ、毎日何をするわけでもなくぶらつくと怪しまれるから、外出時には買い物とか食事とかのついでで調べるように」

 とりあえずそこまでは問題ない。
 難しいのはこの後だ。

「問題は敵の戦力輸送問題だ。これ以上、ビンゴ王国とシータ王国に負担をかけるわけにはいかない。一刻も早く、オムカ軍に北上してもらう必要がある。といってもここを攻めるわけじゃない。敵をけん制しつつ、これ以上兵力を輸送させないようにらみ合いに持っていく形が最上だろう。だから誰か戻ってこのことをサカキたちに伝えて、さらに俺の隊を率いてもらいたいんだが……」

 そこで言葉を切って一同を見回す。
 クロエ、ウィット、ザイン、マール、ルック。
 誰もが俺から視線を逸らす。
 こいつらのことだから、ここにいたいとか思ってるんだろうな。

 ったく、しょうがない。

「ウィット、行ってくれるか」

「やはり、ですか」

「っしゃー、ウィットざまぁ!」

 がっかりと肩を落とすウィットと、ガッツポーズして歓喜するクロエ。

「うるさい! 貴様が行け!」

「残念でしたー、これは隊長殿の命令ですからねー。やったー、隊長殿と一緒だ――あだっ!」

 俺以上に子供の反応をして浮かれるクロエにデコピンを見舞った。

「あのなぁ、クロエ、そういうとこだぞ」

「な、なにがですか……」

「あんま言う事じゃないけど、お前のために言っておくぞ。軍事的能力からすれば俺はお前よりウィットの方を信頼してるからな」

「がーん!」

「ウィットには隊を任せても問題ないと思ったから今回行かせる。お前じゃ無理だろうと思ったからだ。だからウィットが下とか嫌いとかそういうことじゃないから」

「うぅ……」

「適材適所ってやつだ。ウィットならできるから行ってもらう。一応お前にも期待してるからな。クロエにしかできないこともちゃんとあるって」

 正直、ウィットにはここに残ってもらいたいのもある。
 戦力的にももちろんだが、どちらかといえば数少ない常識派として、増えてきた非常識な奴らを取り締まってほしいのだ。
 とはいえ、今言ったことを実行できるとしたらやはり彼だろう。

「隊長! 俺は! 俺は……やってやります! 隊長の期待に応えてみせます!」

「うわーん、ごめんなさい隊長殿! だから私を嫌いにならないでー! でもウィットに謝りませんけど!」

 男泣きするウィットに、抱き着いてくるクロエ。
 ええい、こいつら! うっとおしい!

 おい、ちょっとこいつらどうにかしてくれ!
 そういう願いを込めて他のメンツに視線を移したのだが……。

「隊長! 俺じゃダメなんですかー!?」

「隊長……2人だけずるいです」

「あー……なんか楽しそうでいいなぁー」

 ザイン、マール、ルック。
 こいつらもこいつらだったー!
 もう嫌。

「はは……賑やか、ですね」

「イッガー! 傍観してないで助けろ!」

 結局、この日はそれ以上の相談はできず、なし崩しで解散となった。
 あーあ、本当にこのメンツで大丈夫かなぁ。
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