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第3章 帝都潜入作戦
閑話22 クロエ・ハミニス(オムカ王国ジャンヌ隊副隊長)
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気づくと室内にいた。
灯りひとつないものの、窓から差し込む月光によって視界は確保されている。
高い天井。多くの椅子。何かの壇。
奥には大きな扉があり、そこが出入口なのだろう。
「皆……いる?」
隊長殿は私にしがみつくようにしている。
一方的に殴られていたせいか、体に力がない。それを止められなかった自分が悔しいし、あの男には憎しみしかない。
けど今は密着してその暖かさを感じられている。それを幸福と感じつつも、他の皆が気になった。
「一応、無事かなー」
ルックはいる。けど怪我をしていて、呼吸が荒い。
「う……ここ、どこです?」
リンドーが気づいた。声の調子から大丈夫みたい。
「……ここは、教会?」
イッガーも無事だ。この建物を知っているのだろうか。
「…………ザインは?」
マールが呟くように言う。
それに、すぐには答えられなかった。
「ねぇ、ザインは!? どこ!? あいつは……」
まさかマールがこれほど取り乱すとは思わず、絶句してその姿を見るしかなかった。
「マールさん……」
「あーうー……マール、ザインは……」
「どこ行ったの!? みんな一緒なんでしょ! だから――」
「マール」
呼び止める。このままどこか行ってしまいそうな、そんな不吉な予感がして。
そして、現実を直視させる。それが彼女のためと思って言った。
「ザインは死んだ」
「…………嘘、よ」
「嘘じゃない。私が見た。ザインは……死んだの」
「…………嘘、よ。だって……あいつ……殺しても、死なないような奴でしょ……」
「マール……」
「あいつに、何もしてやれなかった! 知ってたよ。私に好意もってかもって。でも自意識過剰かもしれないと思ってたし、そんなことしてる場合じゃなかったし、何より――どうしていいか、分かんなかったし……だから、気にしないふりして……冷たく当たって……」
止まらない。
涙と共に、吐き出される懺悔の叫び。
「ホント馬鹿だ、私。あいつ……なんでこんな私を……もう、嫌。死んじゃいたい……」
絶望に身を沈めてうなだれたマール。
自分だって仲間が死んだ。悲しい。
けど、それを言ってられない。状況が許さない。だからマールを立たせなくちゃ。
そう思って、声をかける。
「マール。ザインは満足して逝ったよ。好きな人を守れた、そう言って」
伝えるなって言われたと思うけど、ここで伝えなきゃ彼女がダメになる。
きっと彼なら分かってくれるだろう。
そう思ってザインの言葉を伝えた。
「だからマールは立たなきゃ。泣くのはいい、悲しんでもいい。けど、それはしっかり生き切った後にして。正直、今は危険な状態なの。しっかり者のマールがいなきゃ、ここで皆死んじゃう。だからお願い、立って……」
しばらくマールの嗚咽だけが聞こえる。
けどそれも収まったらしく、ひとつ大きく鼻をすすると、
「……分かった。ありがとう、クロエ」
涙と鼻水で酷い顔だったけど、マールの表情からどこか悲壮感は鳴りを潜めていた。
「行こう。あいつの遺志に応えるために」
「うん……」
「とりあえずここを出ようか。場所が分かればいいんだけど……」
「きっと、教会。パルルカ教の」
タイミングをはかったように、イッガーが会話に入ってきた。
「知ってるの、イッガー?」
「帝都の地図は、大体……入ってる。ここからなら……いつもの宿舎、そんなに遠くない」
「いや、それはダメ」
敵は私たちの住処を知っていた。だから今宿舎に戻れば、今度は敵に囲まれることになる。今は一刻も早く帝都から離れる必要があるのだ。
「そうね。敵に知られた場所に戻るのは危険。一刻も早く帝都を脱出した方がいいけど……」
憔悴しきった様子のマールがちらっとルックを見る。
ルックの肩と足は、千切った服で止血はしているけど無理に動かせば傷口が開くだろう。
「自分は、大丈夫。だからすぐ逃げよう」
強がりを言っているのが分かる。
けど、今はそうするしかない。
「そういえば隊長は? 隊長の意見も聞きたいわ」
マールがこちらに視線を投げてくる。
けど、私はどう答えたらいいのか。
「隊長殿は……」
「…………」
さっきから一言も発しないし、視点も定まっていない。
顔も腫れて、口元から血も見える。そんな魂の抜け殻みたいになっている隊長を見て、皆がごくりと唾を飲み込む。
「とりあえず隊長殿は私が背負っていく。ルックは……イッガー、肩をお願い。とにかくここを出て、馬があったら奪って逃げる」
一応の方針は決まったものの、正直計画も何もない。
出たとこ勝負といったところで、不安しかない。
けど今は一秒でも早く、一歩でも遠く、帝都から離れるべきだ。
建物の外に出る。
季節は夏。生暖かい風が頬をなでる。
そのまま私たちは宿舎とは逆の方向に向かった。
少しでも追手をかく乱するためだ。
けど、歩いて十数分が経ったころからルックの様子がおかしくなった。
「う……」
「酷い熱……これは危ないかもしれない」
そうイッガーが判断を下す。
とはいえこの街でどこに医者がいるかもわからないし、そこで治療していたら追手に捕まる。
どうする……どうする……考える。
考える、けど……何も浮かばない。
すみません。やっぱりクロエはここまでです。
だからお願いします。
私たちに、道を示してください!
「隊長殿! 起きてください! 今、ピンチなんです。だから、助けて!」
「クロ……エ?」
反応があった。
けど、これはいつもの隊長殿じゃない。
「違う……里奈……俺は……」
里奈。
確かあの女の名前。
ザインを殺した。
その言葉で、ふつふつと胸の奥からある感情が湧いてきた。
これまで隊長殿に抱いたことのない感情。
抱くはずのなかった感情。
ふざけるな。
ザインが死んで、ルックが死にそうで、私たちも絶体絶命の危地にいるっていうのに。
私たち以外のことを考えるなんて!
「起きて! 起きてよ!」
隊長殿を揺り動かす。
それでも反応はない。
だから不敬だと、許されないことだと思っても私はそれをやめない。
「いや、起きろよ! ふざけるな! いつまで呆けてるんだ! あなたは……あなたは私たちの光なんだよ! オムカを守る星なんだよ!」
いつか誰かが言った言葉。
そうだ、サリナだ。
彼女の死に際の言葉。
隊長殿はオムカの光。
そしてその時誓った。
隊長殿は、オムカの国を守ると。
だから――
「だから起きろ、ジャンヌ・ダルク!」
大きく手を振りかぶり、平手打ちした。
闇夜に響く、張り手の音。
この一撃にあらゆる想いを込めた。願いを入れた。
これでダメなら、もう……。
「いっ……つ……なんだよ、クロエ」
焦点が合った。
瞬きをしてこちらを見返す。いつもの隊長殿。
「隊長殿……」
「ん……あぁ」
ゆっくり体を起こす。
そしてマール、ルック、イッガー、リンドーと視線を動かしていく。
「……ザイン」
「隊長殿」
「ああ。分かってる。分かってるさ、クロエ。正直、まだ納得できてない。けど今は別だな。状況は大体理解できてる」
そう言うと隊長殿はどこかからか一冊の本を取り出して、まじまじとそれを読む。
月夜に照らされ、その御姿はとても美しい。
あぁ、自分はなんてことをしてしまったのだろう。
隊長殿に平手打ちなど……。これは万死に値する愚行。いやいや、まずはお仕置きからだ。隊長殿直々に鞭を振るって……あ! そういえばジャンヌとダルク! うぅー、帰ったら新調しないと。やっぱりその時はこないだ約束してもらった隊長殿に――
「クロエ!」
「あ、はい!」
急に呼ばれてびっくりした。
けど隊長殿は眉をひそめていて、
「ルックを運ぶ。手伝ってくれ」
「え、え?」
「病院が見つかった。そこで応急手当てする。マール、竜胆は馬を用意。病院の場所はここだから、この出口あたりにつけて。イッガー。お前はかく乱。各地に馬小屋があるはず。地図で言うとこの4箇所。マールたちはここで馬を奪うから、イッガーはこっちの3箇所にいる馬を刺激して暴れさせて。それに乗じて逃げる」
「了解!」
方針が決まると皆の動きは速かった。
すぐに自分とルック、そして隊長殿の3人だけになった。
「あ、あのー、隊長殿……」
「クロエ、手伝ってくれ。俺だけじゃ、運べないから……」
隊長殿がルックを持ち上げようとするけど、さすがに無理だ。
とりあえずルックの左腕の下に肩を入れて無理やり歩かせる。
「ううーすみませんー」
「いいんだ。俺を助けに来てくれたんだから。捕まった、俺が悪いんだ。ザインのことも……」
「隊長殿……」
「それからクロエ。お前もよくやってくれた。見てたよ。お前がみんなを連れてきたんだよな」
「え、見てたって……え!?」
「考えたり統率するのが苦手なお前が、率先してそういうことやってくれるの。なんか、とても嬉しかった。それに……マールだけじゃなく、俺も、立ち直らせてくれたから」
「そ、それは……その……すみません、ぶっちゃって」
「あぁ、効いたよ。すげー効いた。まだ目がちかちかする」
「……ごめんなさい」
「いや、いい。俺はまた判断を誤るところだった。確かに里奈は俺たちを逃がすために残った。それに……きっと辛い思いをしてる。でも生きてる。絶対。だから今だ。今は俺が生きなきゃ。それと、お前たち皆を。もう、誰も死なせたくない」
「隊長殿……」
「だからありがとう。クロエ。お前がいてくれてよかった。成長したな」
「隊長殿ぉ……」
ヤバ、こんなこと言われて、泣きそう。
「今は行くぞ。まずは帝都から脱出だ」
「……はい!」
なんだろう。
ここまで生き生きとしている隊長殿は初めてだ。
それ以上に今、自分は舞い上がってる。
隊長殿に褒められた。
それが嬉しくて嬉しくて。
もっと生きたいって思っちゃう。
よーし、頑張るぞ!
そんな風に帝都の月に誓ってみるのだった。
灯りひとつないものの、窓から差し込む月光によって視界は確保されている。
高い天井。多くの椅子。何かの壇。
奥には大きな扉があり、そこが出入口なのだろう。
「皆……いる?」
隊長殿は私にしがみつくようにしている。
一方的に殴られていたせいか、体に力がない。それを止められなかった自分が悔しいし、あの男には憎しみしかない。
けど今は密着してその暖かさを感じられている。それを幸福と感じつつも、他の皆が気になった。
「一応、無事かなー」
ルックはいる。けど怪我をしていて、呼吸が荒い。
「う……ここ、どこです?」
リンドーが気づいた。声の調子から大丈夫みたい。
「……ここは、教会?」
イッガーも無事だ。この建物を知っているのだろうか。
「…………ザインは?」
マールが呟くように言う。
それに、すぐには答えられなかった。
「ねぇ、ザインは!? どこ!? あいつは……」
まさかマールがこれほど取り乱すとは思わず、絶句してその姿を見るしかなかった。
「マールさん……」
「あーうー……マール、ザインは……」
「どこ行ったの!? みんな一緒なんでしょ! だから――」
「マール」
呼び止める。このままどこか行ってしまいそうな、そんな不吉な予感がして。
そして、現実を直視させる。それが彼女のためと思って言った。
「ザインは死んだ」
「…………嘘、よ」
「嘘じゃない。私が見た。ザインは……死んだの」
「…………嘘、よ。だって……あいつ……殺しても、死なないような奴でしょ……」
「マール……」
「あいつに、何もしてやれなかった! 知ってたよ。私に好意もってかもって。でも自意識過剰かもしれないと思ってたし、そんなことしてる場合じゃなかったし、何より――どうしていいか、分かんなかったし……だから、気にしないふりして……冷たく当たって……」
止まらない。
涙と共に、吐き出される懺悔の叫び。
「ホント馬鹿だ、私。あいつ……なんでこんな私を……もう、嫌。死んじゃいたい……」
絶望に身を沈めてうなだれたマール。
自分だって仲間が死んだ。悲しい。
けど、それを言ってられない。状況が許さない。だからマールを立たせなくちゃ。
そう思って、声をかける。
「マール。ザインは満足して逝ったよ。好きな人を守れた、そう言って」
伝えるなって言われたと思うけど、ここで伝えなきゃ彼女がダメになる。
きっと彼なら分かってくれるだろう。
そう思ってザインの言葉を伝えた。
「だからマールは立たなきゃ。泣くのはいい、悲しんでもいい。けど、それはしっかり生き切った後にして。正直、今は危険な状態なの。しっかり者のマールがいなきゃ、ここで皆死んじゃう。だからお願い、立って……」
しばらくマールの嗚咽だけが聞こえる。
けどそれも収まったらしく、ひとつ大きく鼻をすすると、
「……分かった。ありがとう、クロエ」
涙と鼻水で酷い顔だったけど、マールの表情からどこか悲壮感は鳴りを潜めていた。
「行こう。あいつの遺志に応えるために」
「うん……」
「とりあえずここを出ようか。場所が分かればいいんだけど……」
「きっと、教会。パルルカ教の」
タイミングをはかったように、イッガーが会話に入ってきた。
「知ってるの、イッガー?」
「帝都の地図は、大体……入ってる。ここからなら……いつもの宿舎、そんなに遠くない」
「いや、それはダメ」
敵は私たちの住処を知っていた。だから今宿舎に戻れば、今度は敵に囲まれることになる。今は一刻も早く帝都から離れる必要があるのだ。
「そうね。敵に知られた場所に戻るのは危険。一刻も早く帝都を脱出した方がいいけど……」
憔悴しきった様子のマールがちらっとルックを見る。
ルックの肩と足は、千切った服で止血はしているけど無理に動かせば傷口が開くだろう。
「自分は、大丈夫。だからすぐ逃げよう」
強がりを言っているのが分かる。
けど、今はそうするしかない。
「そういえば隊長は? 隊長の意見も聞きたいわ」
マールがこちらに視線を投げてくる。
けど、私はどう答えたらいいのか。
「隊長殿は……」
「…………」
さっきから一言も発しないし、視点も定まっていない。
顔も腫れて、口元から血も見える。そんな魂の抜け殻みたいになっている隊長を見て、皆がごくりと唾を飲み込む。
「とりあえず隊長殿は私が背負っていく。ルックは……イッガー、肩をお願い。とにかくここを出て、馬があったら奪って逃げる」
一応の方針は決まったものの、正直計画も何もない。
出たとこ勝負といったところで、不安しかない。
けど今は一秒でも早く、一歩でも遠く、帝都から離れるべきだ。
建物の外に出る。
季節は夏。生暖かい風が頬をなでる。
そのまま私たちは宿舎とは逆の方向に向かった。
少しでも追手をかく乱するためだ。
けど、歩いて十数分が経ったころからルックの様子がおかしくなった。
「う……」
「酷い熱……これは危ないかもしれない」
そうイッガーが判断を下す。
とはいえこの街でどこに医者がいるかもわからないし、そこで治療していたら追手に捕まる。
どうする……どうする……考える。
考える、けど……何も浮かばない。
すみません。やっぱりクロエはここまでです。
だからお願いします。
私たちに、道を示してください!
「隊長殿! 起きてください! 今、ピンチなんです。だから、助けて!」
「クロ……エ?」
反応があった。
けど、これはいつもの隊長殿じゃない。
「違う……里奈……俺は……」
里奈。
確かあの女の名前。
ザインを殺した。
その言葉で、ふつふつと胸の奥からある感情が湧いてきた。
これまで隊長殿に抱いたことのない感情。
抱くはずのなかった感情。
ふざけるな。
ザインが死んで、ルックが死にそうで、私たちも絶体絶命の危地にいるっていうのに。
私たち以外のことを考えるなんて!
「起きて! 起きてよ!」
隊長殿を揺り動かす。
それでも反応はない。
だから不敬だと、許されないことだと思っても私はそれをやめない。
「いや、起きろよ! ふざけるな! いつまで呆けてるんだ! あなたは……あなたは私たちの光なんだよ! オムカを守る星なんだよ!」
いつか誰かが言った言葉。
そうだ、サリナだ。
彼女の死に際の言葉。
隊長殿はオムカの光。
そしてその時誓った。
隊長殿は、オムカの国を守ると。
だから――
「だから起きろ、ジャンヌ・ダルク!」
大きく手を振りかぶり、平手打ちした。
闇夜に響く、張り手の音。
この一撃にあらゆる想いを込めた。願いを入れた。
これでダメなら、もう……。
「いっ……つ……なんだよ、クロエ」
焦点が合った。
瞬きをしてこちらを見返す。いつもの隊長殿。
「隊長殿……」
「ん……あぁ」
ゆっくり体を起こす。
そしてマール、ルック、イッガー、リンドーと視線を動かしていく。
「……ザイン」
「隊長殿」
「ああ。分かってる。分かってるさ、クロエ。正直、まだ納得できてない。けど今は別だな。状況は大体理解できてる」
そう言うと隊長殿はどこかからか一冊の本を取り出して、まじまじとそれを読む。
月夜に照らされ、その御姿はとても美しい。
あぁ、自分はなんてことをしてしまったのだろう。
隊長殿に平手打ちなど……。これは万死に値する愚行。いやいや、まずはお仕置きからだ。隊長殿直々に鞭を振るって……あ! そういえばジャンヌとダルク! うぅー、帰ったら新調しないと。やっぱりその時はこないだ約束してもらった隊長殿に――
「クロエ!」
「あ、はい!」
急に呼ばれてびっくりした。
けど隊長殿は眉をひそめていて、
「ルックを運ぶ。手伝ってくれ」
「え、え?」
「病院が見つかった。そこで応急手当てする。マール、竜胆は馬を用意。病院の場所はここだから、この出口あたりにつけて。イッガー。お前はかく乱。各地に馬小屋があるはず。地図で言うとこの4箇所。マールたちはここで馬を奪うから、イッガーはこっちの3箇所にいる馬を刺激して暴れさせて。それに乗じて逃げる」
「了解!」
方針が決まると皆の動きは速かった。
すぐに自分とルック、そして隊長殿の3人だけになった。
「あ、あのー、隊長殿……」
「クロエ、手伝ってくれ。俺だけじゃ、運べないから……」
隊長殿がルックを持ち上げようとするけど、さすがに無理だ。
とりあえずルックの左腕の下に肩を入れて無理やり歩かせる。
「ううーすみませんー」
「いいんだ。俺を助けに来てくれたんだから。捕まった、俺が悪いんだ。ザインのことも……」
「隊長殿……」
「それからクロエ。お前もよくやってくれた。見てたよ。お前がみんなを連れてきたんだよな」
「え、見てたって……え!?」
「考えたり統率するのが苦手なお前が、率先してそういうことやってくれるの。なんか、とても嬉しかった。それに……マールだけじゃなく、俺も、立ち直らせてくれたから」
「そ、それは……その……すみません、ぶっちゃって」
「あぁ、効いたよ。すげー効いた。まだ目がちかちかする」
「……ごめんなさい」
「いや、いい。俺はまた判断を誤るところだった。確かに里奈は俺たちを逃がすために残った。それに……きっと辛い思いをしてる。でも生きてる。絶対。だから今だ。今は俺が生きなきゃ。それと、お前たち皆を。もう、誰も死なせたくない」
「隊長殿……」
「だからありがとう。クロエ。お前がいてくれてよかった。成長したな」
「隊長殿ぉ……」
ヤバ、こんなこと言われて、泣きそう。
「今は行くぞ。まずは帝都から脱出だ」
「……はい!」
なんだろう。
ここまで生き生きとしている隊長殿は初めてだ。
それ以上に今、自分は舞い上がってる。
隊長殿に褒められた。
それが嬉しくて嬉しくて。
もっと生きたいって思っちゃう。
よーし、頑張るぞ!
そんな風に帝都の月に誓ってみるのだった。
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