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第3章 帝都潜入作戦
第52話 ジャンヌの野望
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「そう……行くんだ、明彦くん」
ビンゴ王国の使者との話があって数日後。
俺は遠からずビンゴ王国に向かうことを里奈に告げた。
多くの兵を出せない以上、求められるのは少数で多数を破る策だと判断したからだ。
里奈は悲しそうな、難しそうな顔をして俯く。
会えなくなるのが悲しいのか、また戦争が始まるのが悩ましいのか。
俺としてもようやく出会えた里奈とまた離れ離れになるのは辛い。いつまでもここで一緒に暮らしていたい。
けどそれは無理だ。
俺が行かないとビンゴ王国はどうにもならない。そうなったら2方向から攻撃を受けてオムカは滅亡する。
だから里奈には言わなくちゃいけない。
「あぁ、だから里奈はここで待っていてくれ。それで――」
「私も、行く」
俺の言葉を遮るように里奈がそう言った。
これまでの短い付き合いの中で、そんなことはなかったので少し驚いた。
「そんな……生きて帰れるかわからないんだぞ」
「それでも行く。明彦くんと、もう離れたくないから」
おいおいおいおい、なんでこんな積極的なんだ。
……いや、嬉しいけど。
「うん、なんでだろうね。こんな言葉がポンポン出てくるなんて。元の世界の私じゃ、考えられなかった。今は、明彦くんが妹みたいな感じだから、言えるのかな」
まだ妹、かよ……。
嬉しいような悲しいような複雑な気分だ。
「それに忘れてた? 私、明彦くんより強いんだよ?」
「いや、でも……逆にいいのか? その力は……それに、行くってことは、その……敵と……」
「分かってる。でも明彦くんを守るって決めた。これまで殺めてしまってきた人たちが、少しでも救われるように……私は平和になる道を選んだ明彦くんを守る」
はっきりと断言した里奈の言葉だが、素直に喜べない。
それは里奈が手を汚し続けるということだし、それに対し俺はただ命令するだけなのだ。
女子の後ろに隠れて、というのもしっくりこない。
いや、その考えはもう古いのか。
てか俺、今、女の子だし。
「分かった。あとは……皆にどう説明するかだが……」
「いいの。公表して。それで責められても私は耐える。罵られても私は耐える。殴られても私は耐える」
「そんなこと、許すわけないだろ」
「ううん。私はこの国の人もたくさん殺してしまった。その罰は受けるべきだと思う。これが私の十字架だから」
里奈はまっすぐこちらを見てくる。
そこに気負いも自虐も自暴自棄も何もない。
ただ、正直に生きたいと思う気持ちだけ。
あぁ、もう! そんな風に言われたら断れないだろ!
「分かった、分かった! ただすぐには言わない。少し考えさせてくれ。こう見えても俺は、オムカにいる人たちのことは好きだし……それに……お前も……………………」
言えない!
同じ言葉なのになんだ、相手が変わるだけでこのハードルの高さ!
てか今、そういう場面じゃないから!
こう、告白にもっと向いたシチュエーションってもっとさ!
――ってなんで告白しようとしてんだ、俺!?
大三元字一色四暗刻単騎並みのテンパり具合だった。
「ありがとう、明彦くん」
けど里奈は笑ってくれた。
なんでそんなお前は余裕あるんだよ。
こっちはいっぱいいっぱいだってのに。
あるいは、まだ妹としか見てないのか。はぁ……。
「と、とにかく、連れてくから。それは、約束する。だから、ちょっと……待ってろ」
「うん! 頑張ろうね、明彦くん」
里奈は力強く、そしてほがらかに頷いた。
あぁ、このまま平和に暮らせたらなぁ。
なんで戦争なんてするんだろう。
この一時の平和を守っていくだけで、俺は精一杯だというのに。
本当に、くだらない。
だから終わらす。俺が終わらす。
さっさとビンゴ王国を取り戻して、エイン帝国を降伏させて、後はシータと談合して大陸統一。
それで終わりにして、元の世界に戻って里奈と平和に暮らす。
それを叶えるまで、俺は死なない。
里奈も死なせない。
皆も死なせない。
強欲だって?
なんとでも言え。
これが強欲の化身たる俺の願い、俺の夢、俺の野望だった。
//////////////////////////////////////
3章完結です。
ここまで長々とお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございます。
もう1話だけ、付け足しの話がありますのでそちらも読んでいただけると幸いです。
戦いも徐々に佳境となっており、次章は新たな転生者との戦いや、ライバルとの邂逅、里奈の苦しみといった戦闘多めで少し重い話になりがちなので、可能な限り明るくやっていきたいと思いますので、応援していただけるとありがたく思います。
いいねやお気に入りをいただけると励みになります。軽い気持ちでもいただけると嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ビンゴ王国の使者との話があって数日後。
俺は遠からずビンゴ王国に向かうことを里奈に告げた。
多くの兵を出せない以上、求められるのは少数で多数を破る策だと判断したからだ。
里奈は悲しそうな、難しそうな顔をして俯く。
会えなくなるのが悲しいのか、また戦争が始まるのが悩ましいのか。
俺としてもようやく出会えた里奈とまた離れ離れになるのは辛い。いつまでもここで一緒に暮らしていたい。
けどそれは無理だ。
俺が行かないとビンゴ王国はどうにもならない。そうなったら2方向から攻撃を受けてオムカは滅亡する。
だから里奈には言わなくちゃいけない。
「あぁ、だから里奈はここで待っていてくれ。それで――」
「私も、行く」
俺の言葉を遮るように里奈がそう言った。
これまでの短い付き合いの中で、そんなことはなかったので少し驚いた。
「そんな……生きて帰れるかわからないんだぞ」
「それでも行く。明彦くんと、もう離れたくないから」
おいおいおいおい、なんでこんな積極的なんだ。
……いや、嬉しいけど。
「うん、なんでだろうね。こんな言葉がポンポン出てくるなんて。元の世界の私じゃ、考えられなかった。今は、明彦くんが妹みたいな感じだから、言えるのかな」
まだ妹、かよ……。
嬉しいような悲しいような複雑な気分だ。
「それに忘れてた? 私、明彦くんより強いんだよ?」
「いや、でも……逆にいいのか? その力は……それに、行くってことは、その……敵と……」
「分かってる。でも明彦くんを守るって決めた。これまで殺めてしまってきた人たちが、少しでも救われるように……私は平和になる道を選んだ明彦くんを守る」
はっきりと断言した里奈の言葉だが、素直に喜べない。
それは里奈が手を汚し続けるということだし、それに対し俺はただ命令するだけなのだ。
女子の後ろに隠れて、というのもしっくりこない。
いや、その考えはもう古いのか。
てか俺、今、女の子だし。
「分かった。あとは……皆にどう説明するかだが……」
「いいの。公表して。それで責められても私は耐える。罵られても私は耐える。殴られても私は耐える」
「そんなこと、許すわけないだろ」
「ううん。私はこの国の人もたくさん殺してしまった。その罰は受けるべきだと思う。これが私の十字架だから」
里奈はまっすぐこちらを見てくる。
そこに気負いも自虐も自暴自棄も何もない。
ただ、正直に生きたいと思う気持ちだけ。
あぁ、もう! そんな風に言われたら断れないだろ!
「分かった、分かった! ただすぐには言わない。少し考えさせてくれ。こう見えても俺は、オムカにいる人たちのことは好きだし……それに……お前も……………………」
言えない!
同じ言葉なのになんだ、相手が変わるだけでこのハードルの高さ!
てか今、そういう場面じゃないから!
こう、告白にもっと向いたシチュエーションってもっとさ!
――ってなんで告白しようとしてんだ、俺!?
大三元字一色四暗刻単騎並みのテンパり具合だった。
「ありがとう、明彦くん」
けど里奈は笑ってくれた。
なんでそんなお前は余裕あるんだよ。
こっちはいっぱいいっぱいだってのに。
あるいは、まだ妹としか見てないのか。はぁ……。
「と、とにかく、連れてくから。それは、約束する。だから、ちょっと……待ってろ」
「うん! 頑張ろうね、明彦くん」
里奈は力強く、そしてほがらかに頷いた。
あぁ、このまま平和に暮らせたらなぁ。
なんで戦争なんてするんだろう。
この一時の平和を守っていくだけで、俺は精一杯だというのに。
本当に、くだらない。
だから終わらす。俺が終わらす。
さっさとビンゴ王国を取り戻して、エイン帝国を降伏させて、後はシータと談合して大陸統一。
それで終わりにして、元の世界に戻って里奈と平和に暮らす。
それを叶えるまで、俺は死なない。
里奈も死なせない。
皆も死なせない。
強欲だって?
なんとでも言え。
これが強欲の化身たる俺の願い、俺の夢、俺の野望だった。
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3章完結です。
ここまで長々とお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございます。
もう1話だけ、付け足しの話がありますのでそちらも読んでいただけると幸いです。
戦いも徐々に佳境となっており、次章は新たな転生者との戦いや、ライバルとの邂逅、里奈の苦しみといった戦闘多めで少し重い話になりがちなので、可能な限り明るくやっていきたいと思いますので、応援していただけるとありがたく思います。
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