知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第4章 ジャンヌの西進

第7話 謀反とキミは

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 謀反?

 イッガーの口から出てきた言葉に耳を疑う。

 なんでいきなりそんな話が出てきた?
 結論から入るのは好ましいけど、脈絡がなさすぎて全然意味が分からない。

 …………いや、待て。分かったぞ。
 このタイミング。この状況。謀反を起こすとしたら1つしかない。

「南郡だな。ビンゴ王国がつぶれて、俺たちもギリギリ勝った状況。また帝国に降伏しようって腹だろ!」

「あ、えっと……違います」

「違うのかよ! おい、そこ! 笑ってんじゃねぇ!」

 俺から視線をそらして肩を震わせる最低の宰相がそこにいた。

「いえ、天才軍師とか言ってるのに見当違いもはなはだしい……ぷぷっ。しかも超ドヤ顔……ぷっ。あぁ、カメラがあったら一生有効活用できたのに……残念です」

「その有効活用って絶対脅迫だよな? お前最低だからな!」

「あ、えっと……南郡では、ないです」

「分かったよ、イッガー! 2度言わなくていいよ! 恥ずかしいから!」

 もうなんか恥ずかしいから、まだ肩を震わせるマツナガに猫パンチをお見舞いしつつ、イッガーに先を促す。

「えっと……はい。それがですね……」

 それから訥々とつとつと語るイッガーの言葉を要約するとこうだ。

 オムカ北東部にある豪族の連中に怪しい動きがあるということ。
 王都バーベル、北のヨジョー城、東の元オムカ領のカルゥム城塞を結んだ三角地帯の離れにある地域で、エイン帝国の領土とほどよく近い場所にある。
 それゆえにエイン帝国にも親和的で、オムカの独立にも非協力的だった豪族が不満をもらしているということだ。

 ただオムカ独立からの尾田張人を撃退、シータ王国との同盟、南郡制圧などがあり、今までは黙っていたらしい。
 そこへ俺たちの辛勝、ビンゴ滅亡の報、そして帝国からの接触があり、反乱に心が傾いているという。

 イッガーはマツナガの指示で、去年から部下を張り付かせており、先日その証拠を握ったという。
 本当に忍者と化してるな、イッガーとその部下は。

「うーーん。それが本当なら、相当ヤバいな」

 俺がビンゴ王国へ出発した後、反乱を起こされて帝国軍を引き入れれば、それで一気に王手だ。

「つか、マツナガ! こっちが本題だろ! 商圏とか言ってる場合じゃないだろ、これ!」

「ええ。ですがいい話と悪い話があるなら、いい話を先にするというのが家訓でして」

「先に気持ちを楽にしようって気遣いか?」

「いえ、天国から地獄に落ちる人の反応を見るのが楽しいからです。いやー、いい反応しますね」

 あぁ、そうだろうよ! お前はそういう奴だよ!
 この鬼畜メガネめ! ……まぁ、メガネはかけてないけどさ。

「とにかく、俺とお前だけじゃ判断に困る。マリアとジルも含めて会議を開こう」

 それから1時間後。
 謁見の間に集まったのは俺とマツナガ、そしてマリアにニーアとジルとサカキが集まった。
 説明を聞いていない連中に、イッガーが同じ説明をする。

 話を聞いた後のジル、サカキの意見は先制攻撃。
 証拠があるのならそれを盾に一気に捕縛すべし、という意見だ。
 俺もどちらかといえばそちらの意見だ。

 それに真っ向から反対したのは意外、というかまぁ当然というか、マリアだった。

「ダメじゃ! 彼らも元はオムカの民! 仲間同士で戦うのはダメなのじゃ!」

 マリアの意見に、俺は心中で大きく頷く。
 その清廉さ、慈愛。彼女の目指す王のヴィジョンが変わっていないので安心したのだ。

 けど、その後だ。問題は。

「余が話して参る!」

 さすがにそれは全員が止めた。
 あのマツナガすらも止めた。

 のこのことマリアが出向けば、これ幸いとばかりに人質にとって帝国に降伏するに決まってるからだ。
 それだけならいい。下手すればマリアが殺される可能性は大いにありうる。
 だから誰もがそれを止め、それでもマリアは譲らないという展開が続く。

 そんな喧々諤々けんけんがくがくの議論が交わされる中、これまで一言も喋らないでいる人物が気になった。

 ニーアだ。

 マリアの安全を何より考えるあいつが何故何も言わないのか。
 不思議に思い、声をかけた。

「おい、ニーアも黙ってないで何とか言えよ」

「何を?」

「何をって、マリアが話し合いに行くことだよ。無謀すぎる。捕まるだけならいい。下手したら殺されるぞ」

「あぁ、そのこと」

 興味なさそうに呟くニーア。
 こいつ、一体何を聞いてたんだよ。

 だがニーアの答えは俺の斜め上を行った。

「ジャンヌはあたしの職分を誤解してない? あたしは近衛騎士団。つまり女王様を守るための役目。ならあたしがするのは、女王様に異議を唱えるんじゃなく、その傍にいて必ず守る事。違う? だからあたしは女王様が行くところには必ず行く。それがたとえ敵の真っただ中でも。必ず女王様を守ってみせる」

「ニーア……」

 マリアが涙を浮かべながらも笑みを浮かべてニーアに視線を送る。
 それをニーアは当然のこととして受けていた。

 でも前にそれでドスガ王国に痛い目あったよな、とは言えない。空気的にね。俺だって空気は読むさ。

 ただこうなったらこの2人は梃子てこでも動かないぞ。

 あぁ、もう! めんどくさい!

 というわけで折衷案せっちゅうあんを切り出すことにした。

「分かった。俺が行く。それでマリアの話し合いの場を作る」

 周囲がざわめく。
 多分、俺が行ってもという思いがあったのだろう。

 けどここで長々と議論をしても、時間の無駄だ。
 ここでの遅れが致命的な事態を引き起こす可能性は大いにありうる。やっぱり俺の中では先制攻撃が念頭にあった。

「それでいいよな?」

 誰もが渋い顔をしている。

 その中でマツナガは笑いを堪えているように見えた。最低だ。

 だがやがてマリアが行くよりはマシと思ったのだろう。

 万全の護衛をつけて、という条件で俺が――政治力43の交渉人が出発することになった。
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