知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第4章 ジャンヌの西進

第22話 ニーアの想い

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 マリアの部屋の中。キングサイズのベッドの上で、俺はニーアに押し倒されていた。
 というかニーアは俺の胸元に顔を寄せると、すんすん、と鼻を鳴らす。

「ジャンヌ、いい匂い……」

「に、ニーア! お前、何して……」

「ねぇ、ジャンヌ」

 見上げるニーアの顔。
 これまでにないようなしおらしさも相まって、どこか妖艶ようえんな感じ――――要はエロい。
 てかニーアはマリアやクロエと違って成熟した肉体を持つ。
 こんな密着した状態で平静にいられるわけがない。

「い、いいからどいて!? お前、自分が何してるのか分かってんのか!?」

「うん、ジャンヌ可愛い」

 ダメだ、聞いてない。
 こうなったら実力行使だ。

 必死にニーアの体を押し戻そうとする。
 だが悲しいかな筋力差、俺の筋力じゃびくともしない。

 その間にもニーアの頭が上に登ってきた。
 首筋にニーアの顔がうずもれる。

「はぅ!」

 髪の毛のくすぐったさの後に、生暖かい何かが這う感覚。生々しい温度を持つものが何かを考えるのは思考が放棄した。だがそれは不快ではなく、ゾクゾクと背筋を這い上る快感に身をゆだねたくなる。

 あれ、ヤバい。
 このままだとヤバい。
 なんか分からんけど色々ヤバい。

 俺は必至にニーアから逃れようと、必死にはい出そうとして――

「ひどいよ、ジャンヌ」

「え?」

 一瞬、動きが止まった。
 ひどい?
 なんで?
 俺が?
 何した?

「一番最初に好きになったの、あたし……と女王様なのに」

「え……は? 好き? えぇ!?」

 声に出して言えないけど、俺は今女で、ニーアも女で。でも俺は本当は男で、だったら問題ないのかとも思うけど、いや、てかマリアも?

 あまりの展開に頭がショートして思考が使い物にならない。

 てか好きって?
 まさか……告白された?
 人生初告白された!?

「あの、その、だから……」

「その誰かっていうの。聞いた。ジャンヌの故郷の友達だって。だから仕方ないと思った。その人のところに通うのも、女王様のところに来なくなるのも」

 それは……そうなんだけど。
 俺にも言い分はある。
 けど言えない。
 そういう気概が湧いてこない。
 ニーアの言葉を聞かなければならない。そんな思いが俺の体を縛る。

「我がままだって分かってるよ。女王様もここまでは望んでいないかもしれないことは分かってる。でも、思っちゃうの。ジャンヌがいなくなったら、誰かのものになってしまったら、あたしは――あたしたちは……」

「ニーア……」

「だから、お願い。勝手に誰かのものにならないで」

 顔は俺の首筋に埋まって見えない。
 泣いているのか、それすらも分からない。

 ただ、それは告白というより悲鳴に近かった。
 これまでこんな悲痛な声をしたニーアは見たことがない。

 ある意味、ニーアにとって一番遠い感情で、一番弱い一面ということだ。
 それをこうして見せてきた。
 それにさっきから微妙に言葉を濁しているけど……うん、多分勘違いじゃない。マリアは関係ない。ニーアの本心だ。

 これほど真剣な思いを一方的に告げられたのは初めてだった。
 ジルはどこか方向性が違ったし、クロエやサカキはどこまで本気か分からない。
 里奈は、やっぱりそこまではっきりした関係じゃなかった。

 何よりこの世界に来て一番最初に話したのは、マリアでもクロエでも里奈でもなく、こいつだった。

 そんな真剣な思いをされて、それを払いのけるほど俺は人生経験が豊かではなかった。

「分かったよ……少なくとも帝国とのケリをつけるまで。俺は誰のものでもない。オムカ王国のジャンヌ・ダルクであり続けるよ」

 それがせめてもの彼女たちへの贖罪しょくざい
 そう思ったから。それだけは約束しよう。

「ん……」

 ニーアのしおらしい許諾に、こいつも可愛いところがあるんだな、とか思ってしまう。

「んじゃどいてくれ。ったく、いきなし変なことをし始め――ひゃわっ!」

 ニーアが無言で俺を抱きしめて、しかも顔を押し付けてくる。
 その目はどこか血走っていて、かなり危険だ。

「ごめん、ジャンヌ。ちょっと火が点いちゃったかも」

「かもじゃねぇ! どけ!」

「ふっふっふ。ジャンヌ。あたしに腕力で勝てると思って?」

「だから言ってんだろうがー! どいてくれぇー!」

 俺の必死の抵抗もむなしく、俺はニーアにすべてを捧げることになった……。


 ――その寸前。


「ニーア? 何をしてるのじゃあ?」

 ピタリ、とニーアの動きが止まる。
 ニーアの肩越しに、寝ぼけまなこでこちらを見ているマリアの姿が見えた。

 ニーアの顔が面白い具合に歪み、そして口をパクパクさせる。

「ニーア?」

「あ、いえ、女王様。その……ジャンヌが寝てしまったので、ソファに寝かせようかと」

 すげぇ嘘でごまかそうとしてる。
 けど相手も半分寝ているようなものだ。

「んんー、そうかー。余も混ざるのじゃあ……ぐぅ」

 半分寝言を言いながらも、やはり限界だったのかマリアは再びベッドに沈んだ。

「…………」

「…………で?」

「…………ゴメンナサイ」

 バツの悪そうな顔でニーアが身を引いた。
 どうやら無事鎮火してくれたようだ。

 ふぅ……今までで一番ヤバかった瞬間だった。
 今度からこいつと1対1になったら注意しよう。というか唐辛子爆弾を常備しておこう。

 というわけで、あからさまに肩を落とした様子でニーアは、マリアをちゃんとベッドに寝かせて布団をかぶせている。
 対して俺はソファに毛布をかぶって寝る準備。

 はぁ……今日はなんかどっと疲れたぞ。

「ジャンヌ」

「ん」

「おやすみ」

「はいはい、おやすみ」

「愛してる。本当だよ」

 最後にそう言ってニーアは部屋の灯りを消した。
 完全な闇が俺たちを支配する。

 愛してる、ねぇ。
 同性なんだけどなぁ。

 とはいえ、それを本気で言えるニーアはある意味羨ましい。
 てか何を考えているんだろうとも思う。俺には絶対そんなこと言えない。言う勇気がないというのに。
 今までの行動は目に余るけど、そこだけはちょっと見習いたいなんて思ったりした。

「ところで、ジャンヌ」

「なんだよ」

「こっちきてやっぱりエッチなことしない?」

「し・な・い!」

 本当、何考えてんだか……。
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