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第4章 ジャンヌの西進
第22話 ニーアの想い
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マリアの部屋の中。キングサイズのベッドの上で、俺はニーアに押し倒されていた。
というかニーアは俺の胸元に顔を寄せると、すんすん、と鼻を鳴らす。
「ジャンヌ、いい匂い……」
「に、ニーア! お前、何して……」
「ねぇ、ジャンヌ」
見上げるニーアの顔。
これまでにないようなしおらしさも相まって、どこか妖艶な感じ――――要はエロい。
てかニーアはマリアやクロエと違って成熟した肉体を持つ。
こんな密着した状態で平静にいられるわけがない。
「い、いいからどいて!? お前、自分が何してるのか分かってんのか!?」
「うん、ジャンヌ可愛い」
ダメだ、聞いてない。
こうなったら実力行使だ。
必死にニーアの体を押し戻そうとする。
だが悲しいかな筋力差、俺の筋力じゃびくともしない。
その間にもニーアの頭が上に登ってきた。
首筋にニーアの顔がうずもれる。
「はぅ!」
髪の毛のくすぐったさの後に、生暖かい何かが這う感覚。生々しい温度を持つものが何かを考えるのは思考が放棄した。だがそれは不快ではなく、ゾクゾクと背筋を這い上る快感に身をゆだねたくなる。
あれ、ヤバい。
このままだとヤバい。
なんか分からんけど色々ヤバい。
俺は必至にニーアから逃れようと、必死にはい出そうとして――
「ひどいよ、ジャンヌ」
「え?」
一瞬、動きが止まった。
ひどい?
なんで?
俺が?
何した?
「一番最初に好きになったの、あたし……と女王様なのに」
「え……は? 好き? えぇ!?」
声に出して言えないけど、俺は今女で、ニーアも女で。でも俺は本当は男で、だったら問題ないのかとも思うけど、いや、てかマリアも?
あまりの展開に頭がショートして思考が使い物にならない。
てか好きって?
まさか……告白された?
人生初告白された!?
「あの、その、だから……」
「その誰かっていうの。聞いた。ジャンヌの故郷の友達だって。だから仕方ないと思った。その人のところに通うのも、女王様のところに来なくなるのも」
それは……そうなんだけど。
俺にも言い分はある。
けど言えない。
そういう気概が湧いてこない。
ニーアの言葉を聞かなければならない。そんな思いが俺の体を縛る。
「我がままだって分かってるよ。女王様もここまでは望んでいないかもしれないことは分かってる。でも、思っちゃうの。ジャンヌがいなくなったら、誰かのものになってしまったら、あたしは――あたしたちは……」
「ニーア……」
「だから、お願い。勝手に誰かのものにならないで」
顔は俺の首筋に埋まって見えない。
泣いているのか、それすらも分からない。
ただ、それは告白というより悲鳴に近かった。
これまでこんな悲痛な声をしたニーアは見たことがない。
ある意味、ニーアにとって一番遠い感情で、一番弱い一面ということだ。
それをこうして見せてきた。
それにさっきから微妙に言葉を濁しているけど……うん、多分勘違いじゃない。マリアは関係ない。ニーアの本心だ。
これほど真剣な思いを一方的に告げられたのは初めてだった。
ジルはどこか方向性が違ったし、クロエやサカキはどこまで本気か分からない。
里奈は、やっぱりそこまではっきりした関係じゃなかった。
何よりこの世界に来て一番最初に話したのは、マリアでもクロエでも里奈でもなく、こいつだった。
そんな真剣な思いをされて、それを払いのけるほど俺は人生経験が豊かではなかった。
「分かったよ……少なくとも帝国とのケリをつけるまで。俺は誰のものでもない。オムカ王国のジャンヌ・ダルクであり続けるよ」
それがせめてもの彼女たちへの贖罪。
そう思ったから。それだけは約束しよう。
「ん……」
ニーアのしおらしい許諾に、こいつも可愛いところがあるんだな、とか思ってしまう。
「んじゃどいてくれ。ったく、いきなし変なことをし始め――ひゃわっ!」
ニーアが無言で俺を抱きしめて、しかも顔を押し付けてくる。
その目はどこか血走っていて、かなり危険だ。
「ごめん、ジャンヌ。ちょっと火が点いちゃったかも」
「かもじゃねぇ! どけ!」
「ふっふっふ。ジャンヌ。あたしに腕力で勝てると思って?」
「だから言ってんだろうがー! どいてくれぇー!」
俺の必死の抵抗もむなしく、俺はニーアにすべてを捧げることになった……。
――その寸前。
「ニーア? 何をしてるのじゃあ?」
ピタリ、とニーアの動きが止まる。
ニーアの肩越しに、寝ぼけまなこでこちらを見ているマリアの姿が見えた。
ニーアの顔が面白い具合に歪み、そして口をパクパクさせる。
「ニーア?」
「あ、いえ、女王様。その……ジャンヌが寝てしまったので、ソファに寝かせようかと」
すげぇ嘘でごまかそうとしてる。
けど相手も半分寝ているようなものだ。
「んんー、そうかー。余も混ざるのじゃあ……ぐぅ」
半分寝言を言いながらも、やはり限界だったのかマリアは再びベッドに沈んだ。
「…………」
「…………で?」
「…………ゴメンナサイ」
バツの悪そうな顔でニーアが身を引いた。
どうやら無事鎮火してくれたようだ。
ふぅ……今までで一番ヤバかった瞬間だった。
今度からこいつと1対1になったら注意しよう。というか唐辛子爆弾を常備しておこう。
というわけで、あからさまに肩を落とした様子でニーアは、マリアをちゃんとベッドに寝かせて布団をかぶせている。
対して俺はソファに毛布をかぶって寝る準備。
はぁ……今日はなんかどっと疲れたぞ。
「ジャンヌ」
「ん」
「おやすみ」
「はいはい、おやすみ」
「愛してる。本当だよ」
最後にそう言ってニーアは部屋の灯りを消した。
完全な闇が俺たちを支配する。
愛してる、ねぇ。
同性なんだけどなぁ。
とはいえ、それを本気で言えるニーアはある意味羨ましい。
てか何を考えているんだろうとも思う。俺には絶対そんなこと言えない。言う勇気がないというのに。
今までの行動は目に余るけど、そこだけはちょっと見習いたいなんて思ったりした。
「ところで、ジャンヌ」
「なんだよ」
「こっちきてやっぱりエッチなことしない?」
「し・な・い!」
本当、何考えてんだか……。
というかニーアは俺の胸元に顔を寄せると、すんすん、と鼻を鳴らす。
「ジャンヌ、いい匂い……」
「に、ニーア! お前、何して……」
「ねぇ、ジャンヌ」
見上げるニーアの顔。
これまでにないようなしおらしさも相まって、どこか妖艶な感じ――――要はエロい。
てかニーアはマリアやクロエと違って成熟した肉体を持つ。
こんな密着した状態で平静にいられるわけがない。
「い、いいからどいて!? お前、自分が何してるのか分かってんのか!?」
「うん、ジャンヌ可愛い」
ダメだ、聞いてない。
こうなったら実力行使だ。
必死にニーアの体を押し戻そうとする。
だが悲しいかな筋力差、俺の筋力じゃびくともしない。
その間にもニーアの頭が上に登ってきた。
首筋にニーアの顔がうずもれる。
「はぅ!」
髪の毛のくすぐったさの後に、生暖かい何かが這う感覚。生々しい温度を持つものが何かを考えるのは思考が放棄した。だがそれは不快ではなく、ゾクゾクと背筋を這い上る快感に身をゆだねたくなる。
あれ、ヤバい。
このままだとヤバい。
なんか分からんけど色々ヤバい。
俺は必至にニーアから逃れようと、必死にはい出そうとして――
「ひどいよ、ジャンヌ」
「え?」
一瞬、動きが止まった。
ひどい?
なんで?
俺が?
何した?
「一番最初に好きになったの、あたし……と女王様なのに」
「え……は? 好き? えぇ!?」
声に出して言えないけど、俺は今女で、ニーアも女で。でも俺は本当は男で、だったら問題ないのかとも思うけど、いや、てかマリアも?
あまりの展開に頭がショートして思考が使い物にならない。
てか好きって?
まさか……告白された?
人生初告白された!?
「あの、その、だから……」
「その誰かっていうの。聞いた。ジャンヌの故郷の友達だって。だから仕方ないと思った。その人のところに通うのも、女王様のところに来なくなるのも」
それは……そうなんだけど。
俺にも言い分はある。
けど言えない。
そういう気概が湧いてこない。
ニーアの言葉を聞かなければならない。そんな思いが俺の体を縛る。
「我がままだって分かってるよ。女王様もここまでは望んでいないかもしれないことは分かってる。でも、思っちゃうの。ジャンヌがいなくなったら、誰かのものになってしまったら、あたしは――あたしたちは……」
「ニーア……」
「だから、お願い。勝手に誰かのものにならないで」
顔は俺の首筋に埋まって見えない。
泣いているのか、それすらも分からない。
ただ、それは告白というより悲鳴に近かった。
これまでこんな悲痛な声をしたニーアは見たことがない。
ある意味、ニーアにとって一番遠い感情で、一番弱い一面ということだ。
それをこうして見せてきた。
それにさっきから微妙に言葉を濁しているけど……うん、多分勘違いじゃない。マリアは関係ない。ニーアの本心だ。
これほど真剣な思いを一方的に告げられたのは初めてだった。
ジルはどこか方向性が違ったし、クロエやサカキはどこまで本気か分からない。
里奈は、やっぱりそこまではっきりした関係じゃなかった。
何よりこの世界に来て一番最初に話したのは、マリアでもクロエでも里奈でもなく、こいつだった。
そんな真剣な思いをされて、それを払いのけるほど俺は人生経験が豊かではなかった。
「分かったよ……少なくとも帝国とのケリをつけるまで。俺は誰のものでもない。オムカ王国のジャンヌ・ダルクであり続けるよ」
それがせめてもの彼女たちへの贖罪。
そう思ったから。それだけは約束しよう。
「ん……」
ニーアのしおらしい許諾に、こいつも可愛いところがあるんだな、とか思ってしまう。
「んじゃどいてくれ。ったく、いきなし変なことをし始め――ひゃわっ!」
ニーアが無言で俺を抱きしめて、しかも顔を押し付けてくる。
その目はどこか血走っていて、かなり危険だ。
「ごめん、ジャンヌ。ちょっと火が点いちゃったかも」
「かもじゃねぇ! どけ!」
「ふっふっふ。ジャンヌ。あたしに腕力で勝てると思って?」
「だから言ってんだろうがー! どいてくれぇー!」
俺の必死の抵抗もむなしく、俺はニーアにすべてを捧げることになった……。
――その寸前。
「ニーア? 何をしてるのじゃあ?」
ピタリ、とニーアの動きが止まる。
ニーアの肩越しに、寝ぼけまなこでこちらを見ているマリアの姿が見えた。
ニーアの顔が面白い具合に歪み、そして口をパクパクさせる。
「ニーア?」
「あ、いえ、女王様。その……ジャンヌが寝てしまったので、ソファに寝かせようかと」
すげぇ嘘でごまかそうとしてる。
けど相手も半分寝ているようなものだ。
「んんー、そうかー。余も混ざるのじゃあ……ぐぅ」
半分寝言を言いながらも、やはり限界だったのかマリアは再びベッドに沈んだ。
「…………」
「…………で?」
「…………ゴメンナサイ」
バツの悪そうな顔でニーアが身を引いた。
どうやら無事鎮火してくれたようだ。
ふぅ……今までで一番ヤバかった瞬間だった。
今度からこいつと1対1になったら注意しよう。というか唐辛子爆弾を常備しておこう。
というわけで、あからさまに肩を落とした様子でニーアは、マリアをちゃんとベッドに寝かせて布団をかぶせている。
対して俺はソファに毛布をかぶって寝る準備。
はぁ……今日はなんかどっと疲れたぞ。
「ジャンヌ」
「ん」
「おやすみ」
「はいはい、おやすみ」
「愛してる。本当だよ」
最後にそう言ってニーアは部屋の灯りを消した。
完全な闇が俺たちを支配する。
愛してる、ねぇ。
同性なんだけどなぁ。
とはいえ、それを本気で言えるニーアはある意味羨ましい。
てか何を考えているんだろうとも思う。俺には絶対そんなこと言えない。言う勇気がないというのに。
今までの行動は目に余るけど、そこだけはちょっと見習いたいなんて思ったりした。
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「し・な・い!」
本当、何考えてんだか……。
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