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第一章
【二】星夜ー教えて、ルカおばさん!②
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庭の竹林から雀たちが『おはよう』の挨拶をしている……。
夜中に一度起きたはずなのに、六時過ぎに目覚めてしまった。原因は胸に載った姉猫ルビーの仕業だ。
『実はね、祖母ちゃんはネットで小説を書いてるんだ~』
真夜中のカミングアウト……あれは夢だったのだろうか。
ヘッドボードからスマホを取って検索してみた。なるほど、ニャルファポリスはアプリがあるんだな。ダウンロードをしてから板前なんちゃらと入力してみた。
「なになに。『板前見習いネコたんの恋』著……らん★だと?」
ふざけたペンネームだな、おい。いや、他に思いつかなかったのかも。
俺が抱いているBLのイメージは……なんだろ。想像したこともなかったぞ。
クラスの女子に借りて読めばよかったのか。かと言って、漫画アプリで購入する気になれない。すまん、祖母ちゃん。
よ、よし。まずはネコたんを読んでみるか…。
「おはよう、星夜」
「おはよう」
一時間後、活字を追って疲労した目を擦りながらテーブル席についた。
「星夜、昨日はごめんね」
「なにが?」
「祖母ちゃんの趣味、驚いたでしょ?」
ご飯をよそいながら不安げな表情を見せている祖母ちゃん。
「祖母ちゃん凄いね。あれ全部書いたの?」
てっきりネコたんの短い話だけかと思いきや、シリーズ化した作品がずらりと並んでいたのだ。しかも、ほとんどの作品が十万字以上。原稿用紙一枚が四百字。てことは、三百枚を軽く超えている事になる。
「普通の人は読書感想文一枚書くだけで四苦八苦するでしょ。母さんは才能あるわよ」
椅子に座ってコーヒーを飲んでいたルカ叔母さんも頷いている。
「ふたりともありがとう。スマホの広告が目についてね、それで読んでみたらBLにハマっちゃって。何気に書いてみたら、たくさん読んでもらえてね。嬉しくって書き続けてたら、元気が出てきたのよね……」
「お母さん……」
祖父ちゃんが亡くなって三回忌が過ぎた――。
祖父ちゃんは読書家だった。職業はお堅い市役所の職員だったけれど、読んでいるジャンルは多岐に渡った。
登山家の本をきっかけに登山を始め、アウトドア名人の雑誌に掲載されたキャンプ場を巡ったり、果てはバイク本のイケオジの真似がしたくて大型二輪まで取得し、バイクで日本海まで走るバイクイベントに参加してしまった。バイクで東京に暮らす俺の元へ会いに来たことも。
そんな祖父ちゃんが通勤途中に事故に巻き込まれて亡くなってから、祖母ちゃんは塞ぎ込んでしまった。
父さんは転勤で戻れないし俺も受験を控えていて、頼れるのは叔母さんだけ。俺も週に一度は祖母ちゃんへ電話していたけれど、愛する人を失った悲しみはそう簡単には埋められるはずもなかった。
もし小説の執筆が人生の活力になっているならば、祖母ちゃんを応援したい。
でも具体的には、どうやって応援すればいいんだ?
まるで天啓の如く、ルカ叔母さんの言葉が俺を導いてくれた。
「ねえ、母さんは同人誌を出さないの? ほら、感想に紙で読みたいって書いてあるじゃなの」
「ど、同人誌……?」
夜中に一度起きたはずなのに、六時過ぎに目覚めてしまった。原因は胸に載った姉猫ルビーの仕業だ。
『実はね、祖母ちゃんはネットで小説を書いてるんだ~』
真夜中のカミングアウト……あれは夢だったのだろうか。
ヘッドボードからスマホを取って検索してみた。なるほど、ニャルファポリスはアプリがあるんだな。ダウンロードをしてから板前なんちゃらと入力してみた。
「なになに。『板前見習いネコたんの恋』著……らん★だと?」
ふざけたペンネームだな、おい。いや、他に思いつかなかったのかも。
俺が抱いているBLのイメージは……なんだろ。想像したこともなかったぞ。
クラスの女子に借りて読めばよかったのか。かと言って、漫画アプリで購入する気になれない。すまん、祖母ちゃん。
よ、よし。まずはネコたんを読んでみるか…。
「おはよう、星夜」
「おはよう」
一時間後、活字を追って疲労した目を擦りながらテーブル席についた。
「星夜、昨日はごめんね」
「なにが?」
「祖母ちゃんの趣味、驚いたでしょ?」
ご飯をよそいながら不安げな表情を見せている祖母ちゃん。
「祖母ちゃん凄いね。あれ全部書いたの?」
てっきりネコたんの短い話だけかと思いきや、シリーズ化した作品がずらりと並んでいたのだ。しかも、ほとんどの作品が十万字以上。原稿用紙一枚が四百字。てことは、三百枚を軽く超えている事になる。
「普通の人は読書感想文一枚書くだけで四苦八苦するでしょ。母さんは才能あるわよ」
椅子に座ってコーヒーを飲んでいたルカ叔母さんも頷いている。
「ふたりともありがとう。スマホの広告が目についてね、それで読んでみたらBLにハマっちゃって。何気に書いてみたら、たくさん読んでもらえてね。嬉しくって書き続けてたら、元気が出てきたのよね……」
「お母さん……」
祖父ちゃんが亡くなって三回忌が過ぎた――。
祖父ちゃんは読書家だった。職業はお堅い市役所の職員だったけれど、読んでいるジャンルは多岐に渡った。
登山家の本をきっかけに登山を始め、アウトドア名人の雑誌に掲載されたキャンプ場を巡ったり、果てはバイク本のイケオジの真似がしたくて大型二輪まで取得し、バイクで日本海まで走るバイクイベントに参加してしまった。バイクで東京に暮らす俺の元へ会いに来たことも。
そんな祖父ちゃんが通勤途中に事故に巻き込まれて亡くなってから、祖母ちゃんは塞ぎ込んでしまった。
父さんは転勤で戻れないし俺も受験を控えていて、頼れるのは叔母さんだけ。俺も週に一度は祖母ちゃんへ電話していたけれど、愛する人を失った悲しみはそう簡単には埋められるはずもなかった。
もし小説の執筆が人生の活力になっているならば、祖母ちゃんを応援したい。
でも具体的には、どうやって応援すればいいんだ?
まるで天啓の如く、ルカ叔母さんの言葉が俺を導いてくれた。
「ねえ、母さんは同人誌を出さないの? ほら、感想に紙で読みたいって書いてあるじゃなの」
「ど、同人誌……?」
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