【完結】俺のばあちゃんがBL小説家なんだが ライト文芸大賞【奨励賞】

桐乃乱

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第一章

【ニ】星夜ー 教えて、ルカおばさん!

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「ネットBL小説……? もしかしてにゃろうとか?」

 質問したのは俺ではなく、ルカ叔母さんだった。

「ブブー。ニャルファポリスよ!」 

 ラン祖母ちゃんが胸の前で腕を交差してる。バツ印ってことね。なんだかノリがレトロだなー。


「因みにお母さん、ペンネームとタイトルは?」
「そ、それは……」

 言い淀む祖母ちゃんに、ルカ叔母さんが詰め寄る。    

「最初はにゃろうの大人サイトに投稿していたんだけど、毒感想がきて……」

 毒感想? なんだそれは。

「なるほど。それで他サイトへ移ったわけだ」
「ニャルファは感想がくると承認機能があるから、嫌がらせを阻止できるのよね」
「ねえ。俺はちっとも訳わからん。教えて、ルカ叔母さん」
「ふふふふ。よかろう。可愛い甥っ子ちゃん、教えてあげましょう~♪」

 両手を広げて歌い出したぞ。ここは宝塚歌劇団か。

「星夜はネット小説を読んだことある?」
「ううん。漫画やゲームしかしないな」
 
 小説は祖父ちゃんを倣って、紙書籍で楽しむ派だ。

「人気の無料投稿サイトがいくつかあって、ニャルファポリス、ピクシーブやにゃろうなどがあるの。そこではど素人が自由に自作の小説を発表して、人気作は書籍化されたりしているわ」
「へえ~」
「お母さんが書いてるジャンルは『BL』だから、BLオンリーの投稿サイト腐女っシーも有名ね」
「ルカは随分と詳しいんだね……」

 ラン祖母ちゃんが目をパチクリしていた。

「だって、読者だもーん。オキニはニャルファかな~」
「じゃあ、ランばあちゃんの作品読んだことあるんじゃない?」
「さあ、母さん。タイトルを教えなさい……」
「……」
「教えてくれたら、私の秘蔵同人誌を読ませてあげるわよ」
「!」
 
 なんと、物で釣る作戦で来たぞ。エグいな、ルカ叔母さん。でも俺は止めないぜ。

「そ、それは漫画? それとも小説?」
「ふふふ。ベルバラ先生のサイン本よ!」
「わかった、わかったわよ!」
「それで、タイトルは?」
「板前見習い……」
「え、なに。聞こえないよ、祖母ちゃん」

「板前見習いネコたんの恋よ!」

 祖母ちゃんは走り去り、ルカ叔母さんはガウンのポケットから取り出したスマホで検索をはじめた。

 おーい、ペンネームは何なんだー?

「なるほど……現代物だから見落としていたわ」
「流行りの異世界じゃないんだ」

 てっきり板前見習いがトラックにぶつかって、異世界で料理してる話かと思ったぞ。んで、異世界人は男だらけなんだろ?

「星夜、おやすみ。明日は七時頃に朝ご飯よ」
「わ、わかった……」

 ルカ叔母さんは踵を返して去って行った。

 身体が冷えてしまった俺はサファイアが陣取っていたベッドへ潜り込んで目を閉じた。

 父さん、母さん。ラン祖母ちゃんの趣味は小説を書くことみたいです。内容は割愛します。


 


 
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