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第22話
しおりを挟むアシュート様は顔をあげ、じっと監獄長を見ていた。
「……一つだけ、聞かせてもらえない、だろうか?」
「ん? なんだ?」
監獄長が苛立った様子で声をあげる。
「聖女が死んだ、と話を聞いた。次の聖女はもう、決まったのだろう?」
「ああ、決まったらしいぞ」
「……それは誰なんだ?」
……アシュート様がそう訊ねると、監獄長は不服そうに片手で鞭を遊ばせていた。
「ふん、スラムの猿、だそうだ」
「……レベッカ、様か」
アシュート様はそういって口元を緩めていた。
「……それならば、良かった。これであの子も――」
……こんな状況でも、まだ私のことを考えてくれていたんだ。
私はアシュートの言葉に思わず涙が浮かんできてしまい――
「良くはなーい!」
その涙を引っ込ませるように監獄長が鞭でアシュート様の顔を殴りつけた。
「あの女のせいで! 今この国がどうなっていると思っているんだ! この国賊が!」
もう一度叩きつけようとした監獄長の手首を、私は掴み、睨みつけた。
「な、なんだ!?」
私はすぐに騎士たちにスリープの魔法をかけた。
騎士たちはその場でくたっと意識をなくし、残すは監獄長だけだった。
……私のほうが力は強いため、監獄長は驚いたようにこちらを見ていた。
「き、貴様はスラムの猿!!」
「はい、そうですよ……」
私はそれから、監獄長にも同じようにスリープの魔法をかけ、彼を眠らせた後で、すぐにアシュート様の元へと向かった。
「だ、大丈夫ですかアシュート様!」
「……ああ、なんとか、な。それよりキミはどうしてここに?」
「……あなたを、助けるためです。あなたには、何度も救って頂きましたから……」
「救えて、などいないさ……」
「そんなことはございません!」
私は彼に助けてもらった今までのことを思いだしながら、彼を鎖からといた。
アシュート様が倒れるように私のほうにきて、その体を受けとめる。
「……だが、どうするんだ? 俺を助けてどうするんだ?」
「……この国は、腐ってしまっています。それを立て直せる王家の血を持っているのは、もうアシュート様しかおりません」
「……俺、か。もちろん、国のためにできることがあればするつもりだ。だが、一体何をすればいい?」
「今もどんどん国は悪い方向へと向かっています。……ちかいうち、市民の怒りが爆発することでしょう。ですから……それに向けて準備を進めていただきたいのです」
「……準備、か? ……わかった。詳しい話はまたあとで聞こう。……今はここから脱出する必要があるな」
「安心してください。それに関しては、私に一つ、作戦があります」
「なんだ?」
「この監獄長に、アシュート様の代わりを務めていただきます」
私がそういうと、アシュート様は困惑した様子だった。
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