魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき

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第3章

兄貴分のケジメ

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歓迎会のどんちゃん騒ぎが終わった翌朝、僕はギルドの二階にある古い寝台で目を覚ました。窓から差し込む朝日は眩しく、隣ではシリウスが大きな欠伸をしている。

「さて、これからどうしよう。まずは住むところを探さないとな」

僕は身支度を整えながら、独り言を呟いた。ギルドにいつまでも居候しているわけにはいかない。王都で生活していくための家探しは、レベル0の僕にとって大きな課題だ。

一階に降りると、そこには昨夜の酒がまだ残っているのか、少し気だるそうに槍を磨くライオットさんの姿があった。

「あ、ライオットさん。おはようございます。あの、僕、今日から住むところを探そうと思っていて」

僕がそう切り出すと、ライオットさんは槍の手入れを止めて、ニヤリと不敵に笑った。

「家探し? そんなもんは後だ。カイル、その前に済ませる用事があるだろ」

「用事、ですか?」

「ああ。お前に無茶な依頼を押し付けて、森に放り出したクソ野郎どもへの挨拶だ。シリウス、昨日のシルキー・ラビットの残りは持ったか?」

シリウスがワンと短く返事をする。

ライオットさんに促されるまま、僕はシリウスからシルキー・ラビットを受け取ると担いでギルドの外へ出た。

ライオットさんは王都にある酒場を、端から順番に回り始めた。何軒目かの扉を開けた時、店内に下卑た笑い声が響いていた。

「だから言っただろ。あのガキは今頃、森で魔物の餌になってるって」

声の主は、僕にあの無謀な依頼を押し付けた金色の獅子の男だった。その隣には、僕を蔑んでいた仲間たちが酒杯を傾けている。

「見つけたぜ」

ライオットさんの声が、氷のように冷たく響いた。男たちが一斉にこちらを振り返る。

「あ? なんだお前は。おい、その後ろにいるのはあの時のガキじゃねえか。生きてたのかよ」

男が立ち上がり、馬鹿にしたように鼻で笑った。

「シルキー・ラビットはどうした。まさか手ぶらで戻ってきたんじゃねえだろうな」

「安心しろ。お望みのものならここにあるぜ。カイル」

ライオットさんの合図で、僕は担いでいたシルキー・ラビットを差し出した。

それを見た男の目が、強欲にぎらりと光る。

「へっ、上出来だ。ほら、さっさとこっちへ渡せ」

男が手を伸ばそうとした、その瞬間だった。

「くれてやるよ。冥土の土産にな!」

ライオットさんが槍を閃かせた。
横に振られた槍の柄が、男の腹を正確に捉える。

衝撃と共に、男はシルキー・ラビットごと店の奥まで吹き飛んだ。テーブルをなぎ倒し、壁に激突してようやく止まる。

「な、なんだと! てめえ、どこのどいつだ! 俺たちを金色の獅子と知っての狼藉か!」

男の仲間たちが一斉に椅子を蹴って立ち上がる。だが、ライオットさんは微塵も動じず、肩に槍を担ぎ直した。

「お前みたいなのが、金色の獅子だと? あいつら、こんな有象無象を入団させて何がしたいんだか。世話ねえな」

ライオットさんは、心底呆れ果てたように吐き捨てた。

「なんだと、コラァ!」

襲いかかろうとする男たちを、ライオットさんは文字通り一蹴する。

一歩も動かず、最低限の動きで放たれる打撃。あっという間に酒場の床には、呻き声を上げる男たちが転がっていた。

ライオットさんは倒れた男の胸ぐらを掴み、力任せに引き起こした。

「よく聞け。カイルはうちのギルド、漆黒の烏のもんだ。二度とその舐めた面を近づけるな。次は柄じゃ済まねからな」

男は恐怖で顔を青ざめさせ、何度も何度も首を縦に振った。

「行くぞ、カイル。ゴミの掃除は終わった」

ライオットさんはいつもの軽い足取りで店を出ていく。

僕は呆然としながらも、僕のために怒ってくれたライオットさんの背中を追いかけた。

店を後にした男たちは、這々の体で自分たちのギルドへと逃げ帰っていった。
それが、さらなる騒動の幕開けになるとは、この時の僕はまだ知る由もなかった。
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