スキル『日常動作』は最強です ゴミスキルとバカにされましたが、実は超万能でした

メイ(旧名:Mei)

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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

ヴァンナ、動き出す

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 ──────翌日。


「なるほどね…………」


 犬耳族がユビネス大森林帯で何かによって襲われたという知らせを受けて、ヴァンナは深刻な表情で考え込む。


「はっ。いかがなされますか、皇女様」


 兵士の格好をした女性が跪きながらそう言った。


「そうね…………これは下手をすれば、セレニア皇国にまで被害が及ぶ恐れがあるわ。ミハイルに伝えて、国中の団を集めて会議よ」


「かしこまりました」


 女性はそう言うと、即座に立ち上がって統括騎士団長のミハイルに伝えるべく、急いでその場をあとにした。


「ふぅ…………厄介事が絶えないわね」


 少しはゆっくり休みたいわ…………と溜め息をつきながらそう思うヴァンナ。皇女というのはなんと休みのないものか。


「失礼します! レクス辺境伯からお手紙が届いています!」


 今度は入れ替わりで男性の兵士が入ってきた。皇女は本当に苦労が絶えない。


「レクス君からの手紙?」


「こちらがそうです」


 男性の兵士は、そう言うとヴァンナの側付きに手紙を渡す。側付きから手紙を受け取ったヴァンナは、さっそく開封して中身を読む。


『皇女様へ

いかがお過ごしでしょうか? 本当なら、もっと丁寧に書くべきなのでしょうが、省略させていただいたこと、お許しください。

 本題に入りますが犬耳族が襲われたというのは、ご存じのことかと思いますが、犬耳族を襲った魔物の名前が分かりました。ワームです。でも、普通のワームよりでかいので、多分普通のよりも強いでしょう。この事を各団にお伝えいただきたく、この手紙を出しました。よろしくお願いします』


 実にレクスらしい字で書かれた手紙だ。思わず字を見て微笑ましく思ってしまう。内容は全く微笑ましくないが。


「ワーム、ね…………」


 レクスが先取りして調べてくれたのだろう。まだ現場の方は詳しくは調べていないので、なんとも言えない。しかし、わざわざ手紙を寄越してまで嘘の内容は書かないだろう。なりすましの可能性は、薄いと見た。信用しても大丈夫なはずだ。


「ねえ、ロニヤ。そこの兵士さんと一緒にミハイルのところまで行ってきてもらえる?」


 先ほど手紙を渡した側付きとは違う、端の方に控えていた女性の側付き────ロニヤにそう言うヴァンナ。


「えー…………」


 面倒くさそうな顔だ。ロニヤは優秀なのだが、極端な面倒くさがりなのだ。ヴァンナの言葉に対して不満であることが、何よりの証拠だ。


「これやってくれたら、給料上げちゃおっかな~?」


「喜んでやらせていただきます」


 なんというチョロさ。これでは、ヴァンナが心配になってしまいそうだ。しかし、今はこのチョロさに甘んじるが吉。


「頼むわね」


 ヴァンナがそう言うと、ロニヤはふんす、と鼻息荒く頷いて颯爽と任務のために駆け出していった。


「相変わらずですなぁ。ロニヤ殿は」


 先ほど手紙を渡した初老の男性────フォウグイがそう言った。先ほどは側付きと言ったが、執事と言った方がいいかもしれない。


「ええ。自分に正直というか…………」


 ヴァンナは苦笑しながらそう言った。まあ、裏がない分、信頼しやすいとも言えるのだが。


「フォウグイ、紅茶を入れてきてもらえるかしら」


「かしこまりました」


 フォウグイは一礼してそう言うと、紅茶を入れるために部屋を一旦あとにした。


「さて…………と。やることは山積みね…………」


 明後日には翼人族との交易会議も控えている。そのための資料作成も終わらせなければならない。


 ヴァンナははぁ…………と溜め息をつきながらも作業に取りかかるのだった。
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