14 / 27
竜の炎
竜の炎(4)
しおりを挟む
アメノは、燃え上がる動く死体の四肢を裂き、首を落とす。
動く死体達は、そのまま地面に崩れ落ち、黒い炭と化した。
ロシェは、身体の中が燃え上がるように熱くなり、呼吸すら苦しくなり、左胸を押さえる。
動く死体達は、仲間を燃やし尽くした相手であることにも考えが及ばないままにロシェを襲おうとする。
一閃が走る。
「大丈夫か?」
いつの間にかアメノがロシェの横にいた。
迫り来る動く死体を捌きながら声を掛けてくる。
「火・・吹けたのか?」
「いえ・・私も驚いてます」
ロシェは、息をするのも苦しいと言わんばかりに脂汗を浮かべ、短く息をさながら答える。
アメノは、猛禽類のような目を細める。
「苦しいとこ悪いがもう一吹き出来るか?」
アメノは、ロシェの前に刀身を持っていく。
「こいつを燃やしてくれ。溶けて2度と使えなくなっても構わん」
その間も襲いくる動く死体を鞘を抜いて殴りつけ、蹴り付ける。
ロシェは、胸をギュッと押さえながら刀身を睨む。
正直、苦しい。
もう一度でも吐けるかも分からない。
でも・・。
「分かりました」
ロシェは、胸をバンバン叩く。
肺が、心臓が熱くなる。
ロシェの小さな口か炎が吐かれ、アメノ刀の刀身を熱く燃やす。
アメノは、刀身が燃え上がったのを確認すると動く死体を一瞬で切り裂く。
動く死体は、切り裂かれると同時に一瞬で燃え尽きる。
ロシェは、その場に膝を付き、苦しげに短く息を吐く。
それでもアメノを見上げ、微笑む。
「ご武運を」
アメノは、猛禽類のような目を細めて頷く。
アメノの姿が消える。
一瞬の内に動く死体の群れの中に飛び込み、縦横無尽に切り裂いていく。
頭蓋を、胸を、腹を、四肢を斬る。
斬られた動く死体から黒い煙が上がり、一瞬で炎が膨れ上がり。消炭と化す。
不死の王の赤黒い目がアメノを捉える。
胸の膜が破れて砕けた頭蓋、内臓、四肢の弾丸が飛び、両手の指先から動く死体の鎖が蠢き、襲いかかる。
炎が走る。
アメノは、襲いかかる吐き気を催す攻撃を全て切り裂く。
弾丸を砕き、燃やし、動く死体の鎖を走り。襲いくる敵を斬り、燃やしながら頭部を目指す。
猛禽類のような目と赤黒い目が交差する。
不死の王の目の下に亀裂が走り、大きく開く。
顎だ。
しかし、そこから現れたのは歯でも舌でもなく、無数の骸骨達。
骸骨達は雪崩のように吐き出され、アメノに襲いかかる。
アメノは、逃げない。
燃えたぎる刀を正中に構え、骸骨の嘔吐に向かって跳躍する。
骸骨達が死骸に群がる蟻のように白い腕を伸ばしてアメノに掴み掛かり、着物が千切れ、皮膚が裂ける。
しかし、アメノは臆することなく燃え上がる刀を振るい、骸骨の嘔吐の中を突き進む。
骸骨達は、砕け、千切れ、斬られ、燃え上がる。
炎に包まれた骸骨の嘔吐の中から血まみれのアメノが飛び出す。
不死の王の感情がないはずの赤黒い目が震え、裂けた口から断末魔のような悲鳴が上がる。
アメノは、燃え上がる刀を振り上げる。
「成仏しろ」
アメノの刀が不死の王の首に滑り込み、一気に斬り裂く。
不死の王の首が音を立てずに落ちる。
炎が落ちた首に、残された胴体に広がり燃え上がる。
身体を構成する動く死体達の叫び声が響き渡る。
アメノが地面に降り立つ。
刀から炎が消え去り、刃が飴細工のように溶けて地面に落ちる。
不死の王の身体が燃え尽き、消失する。
「アメノ様!」
胸を押さえて座り込むロシェの口から歓喜の声が上がる。
アメノは、火傷し、柄に張り付き、煙を上げる自分の右手を見る。
瘴気が弱まり、全ての動く死体を始末したかとように思えた。
刹那。
崖の下から再び瘴気が立ち昇る。
たくさんの腐った手が崖から這いあがり、醜い姿を見せる。
ロシェの表情が青ざめる。
もうら竜の炎を吐くことなんて出来ない。
アメノも刀を失った。
しかし、アメノには狼狽えた様子は見えない。
冷徹に猛禽類のような目を崖の動く死体に向けるだけだった。
ロシェとアメノの背後から太陽のような光が舞い上がる。
「遅せえ」
アメノは、ぼそりっと呟く。
「お待たせしましたね」
ヤタが本来の口で話す。
ヤタの両手に抱かれるように白く輝く大きな球体が握られている。
白く輝く球体は、ゆっくりと上空に昇り、沈みかけた太陽と重なる。
「清浄」
ヤタが呟いた瞬間、白く輝く球体が風船のように弾ける。
光が広がり、ロシェを、アメノを、崖の全体を包み込む。
眩い光の中、肉の焼ける音ともに黒い煙のようなものが揺らめくのが見える。黒い澱みが荒波のように波打ち、蒸発していく。
光が消える。
崖から溢れんばかりだった黒い澱みと瘴気が消え去り、心地よい風と空気が鼻腔に入り込む。
動く死体も跡形もなく消える。
元々、存在すらしていなかったかのように。
「皆さん」
ヤタがゆっくりとした足取りで近寄ってくる。
「お疲れ様でした」
ヤタは、にっこりと微笑んだ。
ヤタの笑顔と、崖の向こうに傾き出した陽光を見て、ロシェはようやく終わったのだと悟った。
左胸の心臓がほっとしたように小さく鳴った。
動く死体達は、そのまま地面に崩れ落ち、黒い炭と化した。
ロシェは、身体の中が燃え上がるように熱くなり、呼吸すら苦しくなり、左胸を押さえる。
動く死体達は、仲間を燃やし尽くした相手であることにも考えが及ばないままにロシェを襲おうとする。
一閃が走る。
「大丈夫か?」
いつの間にかアメノがロシェの横にいた。
迫り来る動く死体を捌きながら声を掛けてくる。
「火・・吹けたのか?」
「いえ・・私も驚いてます」
ロシェは、息をするのも苦しいと言わんばかりに脂汗を浮かべ、短く息をさながら答える。
アメノは、猛禽類のような目を細める。
「苦しいとこ悪いがもう一吹き出来るか?」
アメノは、ロシェの前に刀身を持っていく。
「こいつを燃やしてくれ。溶けて2度と使えなくなっても構わん」
その間も襲いくる動く死体を鞘を抜いて殴りつけ、蹴り付ける。
ロシェは、胸をギュッと押さえながら刀身を睨む。
正直、苦しい。
もう一度でも吐けるかも分からない。
でも・・。
「分かりました」
ロシェは、胸をバンバン叩く。
肺が、心臓が熱くなる。
ロシェの小さな口か炎が吐かれ、アメノ刀の刀身を熱く燃やす。
アメノは、刀身が燃え上がったのを確認すると動く死体を一瞬で切り裂く。
動く死体は、切り裂かれると同時に一瞬で燃え尽きる。
ロシェは、その場に膝を付き、苦しげに短く息を吐く。
それでもアメノを見上げ、微笑む。
「ご武運を」
アメノは、猛禽類のような目を細めて頷く。
アメノの姿が消える。
一瞬の内に動く死体の群れの中に飛び込み、縦横無尽に切り裂いていく。
頭蓋を、胸を、腹を、四肢を斬る。
斬られた動く死体から黒い煙が上がり、一瞬で炎が膨れ上がり。消炭と化す。
不死の王の赤黒い目がアメノを捉える。
胸の膜が破れて砕けた頭蓋、内臓、四肢の弾丸が飛び、両手の指先から動く死体の鎖が蠢き、襲いかかる。
炎が走る。
アメノは、襲いかかる吐き気を催す攻撃を全て切り裂く。
弾丸を砕き、燃やし、動く死体の鎖を走り。襲いくる敵を斬り、燃やしながら頭部を目指す。
猛禽類のような目と赤黒い目が交差する。
不死の王の目の下に亀裂が走り、大きく開く。
顎だ。
しかし、そこから現れたのは歯でも舌でもなく、無数の骸骨達。
骸骨達は雪崩のように吐き出され、アメノに襲いかかる。
アメノは、逃げない。
燃えたぎる刀を正中に構え、骸骨の嘔吐に向かって跳躍する。
骸骨達が死骸に群がる蟻のように白い腕を伸ばしてアメノに掴み掛かり、着物が千切れ、皮膚が裂ける。
しかし、アメノは臆することなく燃え上がる刀を振るい、骸骨の嘔吐の中を突き進む。
骸骨達は、砕け、千切れ、斬られ、燃え上がる。
炎に包まれた骸骨の嘔吐の中から血まみれのアメノが飛び出す。
不死の王の感情がないはずの赤黒い目が震え、裂けた口から断末魔のような悲鳴が上がる。
アメノは、燃え上がる刀を振り上げる。
「成仏しろ」
アメノの刀が不死の王の首に滑り込み、一気に斬り裂く。
不死の王の首が音を立てずに落ちる。
炎が落ちた首に、残された胴体に広がり燃え上がる。
身体を構成する動く死体達の叫び声が響き渡る。
アメノが地面に降り立つ。
刀から炎が消え去り、刃が飴細工のように溶けて地面に落ちる。
不死の王の身体が燃え尽き、消失する。
「アメノ様!」
胸を押さえて座り込むロシェの口から歓喜の声が上がる。
アメノは、火傷し、柄に張り付き、煙を上げる自分の右手を見る。
瘴気が弱まり、全ての動く死体を始末したかとように思えた。
刹那。
崖の下から再び瘴気が立ち昇る。
たくさんの腐った手が崖から這いあがり、醜い姿を見せる。
ロシェの表情が青ざめる。
もうら竜の炎を吐くことなんて出来ない。
アメノも刀を失った。
しかし、アメノには狼狽えた様子は見えない。
冷徹に猛禽類のような目を崖の動く死体に向けるだけだった。
ロシェとアメノの背後から太陽のような光が舞い上がる。
「遅せえ」
アメノは、ぼそりっと呟く。
「お待たせしましたね」
ヤタが本来の口で話す。
ヤタの両手に抱かれるように白く輝く大きな球体が握られている。
白く輝く球体は、ゆっくりと上空に昇り、沈みかけた太陽と重なる。
「清浄」
ヤタが呟いた瞬間、白く輝く球体が風船のように弾ける。
光が広がり、ロシェを、アメノを、崖の全体を包み込む。
眩い光の中、肉の焼ける音ともに黒い煙のようなものが揺らめくのが見える。黒い澱みが荒波のように波打ち、蒸発していく。
光が消える。
崖から溢れんばかりだった黒い澱みと瘴気が消え去り、心地よい風と空気が鼻腔に入り込む。
動く死体も跡形もなく消える。
元々、存在すらしていなかったかのように。
「皆さん」
ヤタがゆっくりとした足取りで近寄ってくる。
「お疲れ様でした」
ヤタは、にっこりと微笑んだ。
ヤタの笑顔と、崖の向こうに傾き出した陽光を見て、ロシェはようやく終わったのだと悟った。
左胸の心臓がほっとしたように小さく鳴った。
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる