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外伝
第6話 護衛役争奪戦
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知らせを聞くなり、妻を抱き上げて転移魔法陣に飛び乗ったのはアウグストだった。竜殺しの英雄は、狐獣人の美魔女の魔力で消える。会議中だったため、慌てて止めようとした数人の騎士が吹き飛ばされた。父母が先に動いたため、容易に動けなくなったのはベルンハルトだった。
「ここは国王である俺が優先だろう」
むっとした口調で父親を非難しながら、愛しの妻ヴィルヘルミーナがいる屋敷へ向かう。その足取りはどこか軽い。そして慌てたアルブレヒト侯爵らが追いかけた。
「陛下! まだ会議中です」
「ああ、中断で」
あっさり中断を宣言し、そのまま私的スペースとなる屋敷に帰っていった。思わず後ろ姿を見送ってしまい、アルブレヒト侯爵が頭を抱える。ヘーファーマイアー家は王家となる前から自由過ぎる。ユーグレース国をまとめ上げた宰相アウグストはもちろん、非凡な若き王ベルンハルトも……。
これで仕事をしない一族ならとっくに見捨てられただろう。過去のユーグレース王国のように滅びるだけだが、仕事はきっちり期限までにこなす上、政に関する能力が高く有能だった。大切に慈しんできた妹姫アゼリア様の出産とあれば、しばらく休暇を用意するしかない。
結局あれこれ言ったところで、クリスタ国の貴族はヘーファーマイアー王家に甘いのだ。国王不在時のマニュアルに従い、手続き用の書類を用意する。
「我々もそのうちお目通りできれば良いが」
財政の寵児といわれた宰相アウエンミュラー侯爵の呟きに、ヘルマン伯爵含め文官武官問わず皆が頷いた。魔王の子供と考えれば少し恐ろしいが、アゼリア姫の御子なら可愛らしいだろう。男女どちらか。手土産を用意しなければならないが、まだ男女の別が分からない。どちらでも問題なく着用できる色にしよう。
手土産の手配、国王外遊用の手続き、様々な書類が行きかう部屋は大騒ぎとなった。ヘルマン伯爵は愛用の剣を持ち出し、手入れを始める。
「まさか……ロルフ殿は護衛として?」
「ついていく気じゃ」
宣言した途端に、他の貴族から声があがった。狡い、俺が行きたい、交代しよう。様々な申し出に、ヘルマン伯爵ロルフは剣を鞘に納めた。元救国の英雄だった老人はのっそりと立ち上がり、集まった貴族達を見回す。
「ならば勝ち抜き戦かのぉ」
息子ブルーノを含めた貴族達が「やろう」と気を吐いた。その中に、こっそりアルブレヒト侯爵が混じっていたのは……言うまでもない。アウエンミュラー侯爵は「不利だ」とぼやきながらも、諦めきれずに参加を表明した。
貴族達の熱き戦いが始まる!!
「悪いが休暇の……何を始めるんだ?」
実務を所管する貴族院と、王族の私的な屋敷の間にある中庭で始まろうとしていた戦いに、ベルンハルトが気づいた。休暇申請書類を自ら作ったのだが、提出しようとする貴族院のメンバーが剣を片手に乱戦突入直前なのだ。驚きもする。
「陛下の休暇申請はすでに通しました。あとは護衛を決めるのみ!」
「あらあら、アゼリア姉さまは人気ね」
ヴィルヘルミーナ王妃が顔を覗かせた。止めようとする夫ベルンハルトとは逆に、彼女は勢いよく煽った。
「勝ったらお姉さまとお子様に会えるわよ!!」
「「「おう」」」
問題だらけの乱闘を勝ち残るのは……予想外の人物であった。
「ここは国王である俺が優先だろう」
むっとした口調で父親を非難しながら、愛しの妻ヴィルヘルミーナがいる屋敷へ向かう。その足取りはどこか軽い。そして慌てたアルブレヒト侯爵らが追いかけた。
「陛下! まだ会議中です」
「ああ、中断で」
あっさり中断を宣言し、そのまま私的スペースとなる屋敷に帰っていった。思わず後ろ姿を見送ってしまい、アルブレヒト侯爵が頭を抱える。ヘーファーマイアー家は王家となる前から自由過ぎる。ユーグレース国をまとめ上げた宰相アウグストはもちろん、非凡な若き王ベルンハルトも……。
これで仕事をしない一族ならとっくに見捨てられただろう。過去のユーグレース王国のように滅びるだけだが、仕事はきっちり期限までにこなす上、政に関する能力が高く有能だった。大切に慈しんできた妹姫アゼリア様の出産とあれば、しばらく休暇を用意するしかない。
結局あれこれ言ったところで、クリスタ国の貴族はヘーファーマイアー王家に甘いのだ。国王不在時のマニュアルに従い、手続き用の書類を用意する。
「我々もそのうちお目通りできれば良いが」
財政の寵児といわれた宰相アウエンミュラー侯爵の呟きに、ヘルマン伯爵含め文官武官問わず皆が頷いた。魔王の子供と考えれば少し恐ろしいが、アゼリア姫の御子なら可愛らしいだろう。男女どちらか。手土産を用意しなければならないが、まだ男女の別が分からない。どちらでも問題なく着用できる色にしよう。
手土産の手配、国王外遊用の手続き、様々な書類が行きかう部屋は大騒ぎとなった。ヘルマン伯爵は愛用の剣を持ち出し、手入れを始める。
「まさか……ロルフ殿は護衛として?」
「ついていく気じゃ」
宣言した途端に、他の貴族から声があがった。狡い、俺が行きたい、交代しよう。様々な申し出に、ヘルマン伯爵ロルフは剣を鞘に納めた。元救国の英雄だった老人はのっそりと立ち上がり、集まった貴族達を見回す。
「ならば勝ち抜き戦かのぉ」
息子ブルーノを含めた貴族達が「やろう」と気を吐いた。その中に、こっそりアルブレヒト侯爵が混じっていたのは……言うまでもない。アウエンミュラー侯爵は「不利だ」とぼやきながらも、諦めきれずに参加を表明した。
貴族達の熱き戦いが始まる!!
「悪いが休暇の……何を始めるんだ?」
実務を所管する貴族院と、王族の私的な屋敷の間にある中庭で始まろうとしていた戦いに、ベルンハルトが気づいた。休暇申請書類を自ら作ったのだが、提出しようとする貴族院のメンバーが剣を片手に乱戦突入直前なのだ。驚きもする。
「陛下の休暇申請はすでに通しました。あとは護衛を決めるのみ!」
「あらあら、アゼリア姉さまは人気ね」
ヴィルヘルミーナ王妃が顔を覗かせた。止めようとする夫ベルンハルトとは逆に、彼女は勢いよく煽った。
「勝ったらお姉さまとお子様に会えるわよ!!」
「「「おう」」」
問題だらけの乱闘を勝ち残るのは……予想外の人物であった。
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