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77.マナーも覚えるね
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「はぁ? 猫用の籠だと? なんで俺がそんなの……っ、くそ。わかったよ」
今日もゲリュオンはご飯を運んできてくれた。いつも思うんだけど、ゲリュオンは扉から入ってこないよね。いつの間にかお部屋にいるの。今日はセティが何か頼んだみたい。猫用の籠って、どんなのだろう。
「イシス、ご飯だぞ」
「うん! ゲリュオンも一緒?」
たくさんあるから、一緒に食べよう。お礼と一緒にそう伝えたら、セティが変な顔をした。ゲリュオンがセティに苦笑いして、両手を挙げる。あれは何もしないよ、って示す仕草だよね。あとごめんなさいの時も使うみたい。
「……ああ、一緒……なんだよ、いいだろ」
僕に話しかけてたのに、途中からむっとした口調でセティに突っかかる。セティとつないだ手に力を入れてしまった。僕を見たセティが肩を竦める。
「構わん。イシスのマナーの勉強中だ。行儀よく食べろよ」
「げっ……努力する」
ゲリュオンもマナー苦手なの? 僕と一緒だ。右手のナイフと左手のフォークを使うのって、結構大変だよ。こないだもお肉が落ちそうになったし。面倒だから大きいまま齧れば楽だけど、それもダメだった。お行儀よい子になるのは、まだ時間かかりそう。
並んだご飯を前に両手の指をからめてお祈りする。神様にお礼を言って、並んだ食べ物を眺めた。普通の椅子に座るとテーブルが高すぎるから、僕はセティのお膝だ。マナーも後ろから手を握って直してくれるし、この位置がいいんだって。
果物と大きなお肉の塊、それから野菜とお鍋があった。
「果物は後だな。肉を切り分けてみろ」
僕の前のお皿に、スライスしたお肉が置かれた。厚くて中が赤い。魔獣のお肉と説明されて、慌てて振り返った。もしかしてセティの狼じゃないよね?
「安心しろ、狼じゃない」
「うん。それなら食べる」
フォンと同じ灰色の毛皮の狼だったら食べられないよ。子猫のトムが足元でじっと見上げてくる。でも猫のご飯は人間の後に決まってるの。主人とペットの順位と聞いたけど、まだよく分からなかった。お行儀よく座るトムと目が合うと、にゃーと小さな声で鳴く。
「欲しがるから、食事中は構ったらだめだ」
「……気を付けるね」
そうだよね。ご飯の匂いするから、欲しいと思う。まだ赤ちゃん猫だけどお肉好きみたいだし、早く食べてトムにもご飯あげなくちゃ。
昨日までに覚えた注意事項をまず復唱する。
「音をさせない、強く押し付けない。引いて切る……えっと」
「楽しく食べろ」
ゲリュオンが笑いながら付け足した。僕が覚えたのと違う気がするけど、それも正しいマナーなのかな。
「間違ってないな」
笑ったセティが付け加えて教えてくれた。
「マナーは面倒だが、誰かと食事をするときに相手を不愉快にさせないためだ。オレとイシスだけならいいが、こうやって別の人とご飯食べるときに知らないと困るだろ?」
ゲリュオンを見ると、綺麗に肉を切っていた。前に食堂でお酒飲みながら食べてた時とは違う。動きが柔らかくて綺麗だった。目を見開いてじっくり眺めて、同じように肉の上に置いたナイフを引く。すっと切れた肉だけど、まだ半分くらい切れてない。
「もう少し力を入れて切ってみろ」
セティが手を掴んで力の具合を教えてくれた。今日はギコギコした音もなくて、上手に食べられたと思う。果物を剥き始めたゲリュオンが褒めてくれて、セティが撫でる手に頬ずりした。足元でトムが鳴いて、慌てたけど。
今日もゲリュオンはご飯を運んできてくれた。いつも思うんだけど、ゲリュオンは扉から入ってこないよね。いつの間にかお部屋にいるの。今日はセティが何か頼んだみたい。猫用の籠って、どんなのだろう。
「イシス、ご飯だぞ」
「うん! ゲリュオンも一緒?」
たくさんあるから、一緒に食べよう。お礼と一緒にそう伝えたら、セティが変な顔をした。ゲリュオンがセティに苦笑いして、両手を挙げる。あれは何もしないよ、って示す仕草だよね。あとごめんなさいの時も使うみたい。
「……ああ、一緒……なんだよ、いいだろ」
僕に話しかけてたのに、途中からむっとした口調でセティに突っかかる。セティとつないだ手に力を入れてしまった。僕を見たセティが肩を竦める。
「構わん。イシスのマナーの勉強中だ。行儀よく食べろよ」
「げっ……努力する」
ゲリュオンもマナー苦手なの? 僕と一緒だ。右手のナイフと左手のフォークを使うのって、結構大変だよ。こないだもお肉が落ちそうになったし。面倒だから大きいまま齧れば楽だけど、それもダメだった。お行儀よい子になるのは、まだ時間かかりそう。
並んだご飯を前に両手の指をからめてお祈りする。神様にお礼を言って、並んだ食べ物を眺めた。普通の椅子に座るとテーブルが高すぎるから、僕はセティのお膝だ。マナーも後ろから手を握って直してくれるし、この位置がいいんだって。
果物と大きなお肉の塊、それから野菜とお鍋があった。
「果物は後だな。肉を切り分けてみろ」
僕の前のお皿に、スライスしたお肉が置かれた。厚くて中が赤い。魔獣のお肉と説明されて、慌てて振り返った。もしかしてセティの狼じゃないよね?
「安心しろ、狼じゃない」
「うん。それなら食べる」
フォンと同じ灰色の毛皮の狼だったら食べられないよ。子猫のトムが足元でじっと見上げてくる。でも猫のご飯は人間の後に決まってるの。主人とペットの順位と聞いたけど、まだよく分からなかった。お行儀よく座るトムと目が合うと、にゃーと小さな声で鳴く。
「欲しがるから、食事中は構ったらだめだ」
「……気を付けるね」
そうだよね。ご飯の匂いするから、欲しいと思う。まだ赤ちゃん猫だけどお肉好きみたいだし、早く食べてトムにもご飯あげなくちゃ。
昨日までに覚えた注意事項をまず復唱する。
「音をさせない、強く押し付けない。引いて切る……えっと」
「楽しく食べろ」
ゲリュオンが笑いながら付け足した。僕が覚えたのと違う気がするけど、それも正しいマナーなのかな。
「間違ってないな」
笑ったセティが付け加えて教えてくれた。
「マナーは面倒だが、誰かと食事をするときに相手を不愉快にさせないためだ。オレとイシスだけならいいが、こうやって別の人とご飯食べるときに知らないと困るだろ?」
ゲリュオンを見ると、綺麗に肉を切っていた。前に食堂でお酒飲みながら食べてた時とは違う。動きが柔らかくて綺麗だった。目を見開いてじっくり眺めて、同じように肉の上に置いたナイフを引く。すっと切れた肉だけど、まだ半分くらい切れてない。
「もう少し力を入れて切ってみろ」
セティが手を掴んで力の具合を教えてくれた。今日はギコギコした音もなくて、上手に食べられたと思う。果物を剥き始めたゲリュオンが褒めてくれて、セティが撫でる手に頬ずりした。足元でトムが鳴いて、慌てたけど。
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