国境に捨てられたら隣国の若き公爵に拾われました

宵闇 月

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「それでこれから行く当てはあるのか?」

ひとしきり泣いた私にリカルド様が聞いた。

その顔はとても心配そうでリカルド様が本当に優しい方なのだと伺えた。

しかし今の私には行く当てなどない。

どう答えるか迷ってしまう。

口を開けては閉じてを数回繰り返す。

そういえば両親はどうしているのだろう?

婚約解消を願い出たまま今に至るから心配……いや、それはないな。

何故なら両親はエドワルド殿下と結婚する私にしか価値を見出していなかったから。

だからエドワルド殿下の婚約者じゃなくなった今私はクレメント侯爵家のお荷物でしかない。

私の中に今までのことが蘇る。

両親は私が幼い頃からずっと

「お前はエドワルド殿下の婚約者になって将来はこの国の王妃になるのだ。それこそがお前の役目でありお前が生きる価値だ」

と呪文のように私に言い続けそうなるように育てた。

そしてその為の教育も一切惜しまなかった。

エドワルド殿下の婚約者になってからはよくやったと態度は軟化したが教育は更に厳しくなった。

両親は常に私を通して自分たちの利益を見ていた。

だから価値が無くなった今両親は私に興味すら持たない、むしろクレメント侯爵家の恥だとすら思うだろう。

だけどそんな中でエドワルド殿下を好きになり、それでも婚約解消に奮闘していた私はそれだけのだ。

だけど結局断罪されずともいとも簡単に捨てられた。

そんな私が行ける場所などある訳がないのだ。

私はそれを説明しながらまた涙を溢したのだった。

今度は悲しみの涙を。
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