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第54話 オワリの歌
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呆然として、動けないあたしを他所に四人の騎士さんとロビーが、祭壇に横たえられていたユナを抱えて、助けてくれた。
だけど全員が空の一点を見つめたまま、言葉を失ってしまった。
空に描かれた魔法陣が完成して、そこから巨大な何かがゆっくりと姿を現し始めていたからだ。
魔法陣から、耳がおかしくなる音とともに稲妻が地面にたくさん、降ってきた。
そのうちの一つが神殿の瓦礫や木々に落ちて、スゴイ音と地響きがする。
怖い。
ひたすら怖い。
ロビーと手を繋いでいなかったら、蹲って頭を抱えて、弱音を吐いていたと思う。
人の温もりを感じるのって、こんなにも力を貰えるものなんだ。
初めて、知った。
だから、守らなきゃ……もう終わらせないといけないんだから!
ゆっくりと現れたモノは真っ暗な空を照らすように黄金色に輝いている。
まるで太陽みたいだった。
夜が明けていくように見えるけど、絶対に違う。
光の正体が魔法陣から、出てきたモノのせいだからだ。
稲妻が生き物みたいにたくさん集まっていて……それで太陽みたいに輝いて見えるんだと分かった。
その稲妻がぱっと離れて、地表に落ちる光景を見ているだけで体が震えてくる。
この世の終わりが来たら、きっとこういう感じのものだろうという想像が現実になった。
そう言われても納得してしまうと思った。
正直な気持ちは怖い。
怖くて、逃げ出したい。
だけど、それはいけないことだって、分かってる。
「でも、行かなきゃ……あたしが終わらせないといけないんだもん」
「僕も一緒に行くよ」
「どうして?」
それは心の底から、浮かび上がってくる大きな疑問だった。
ロビーがそこまでしてくれる理由が分からなかった。
「エミーが困っている姿を見ても何もしない。何も出来ない。そんな自分には戻りたくないんだ。僕はもう迷ったりしない。君を守る為に一緒に行くよ。だから、一緒に戦おう」
ロビーは微笑みながら、そう言った。
体が微かに震えているのはお互い様。
怖くないはずがないのだ。
相手は世界を消し去ろうとする存在なのに……。
返事の代わりにロビーと握っている手に力を込めた。
何だか、力が湧いてきた気がして。
気のせいだと思っても心にほんのりと光が灯って、温かくなってきた気がして。
「行こう」
「ええ」
怖さに負けそうになりながらも前に進んだ。
黄金色に輝く存在から、絶えず放たれる稲妻や地響きに足が竦んで動かなくなっても、ゆっくりと確実に祭壇に近づいた。
「世界を守る為……あたしの命を!」
「僕の命を!」
二人で声を合わせて、叫んだ瞬間、黄金の稲妻があたし達に目掛けて飛んでくるのが分かった。
思わず目を瞑った。
最期にロビーと一緒にいれたから、これでいい。
そう思った……。
でも、不思議なことに痛くない。
世界が終わりそうな轟音が鳴り止んでる。
「その必要はないよ」
落ち着いた優しい声だった。
ゆっくりと瞼を開くと真っ黒なマントを風にはためかせた男の人が、あたしとロビーをまるで庇うように立ってた。
男の人は抜き身の奇妙な形をした剣を天に向けて、掲げていた。
信じられないけど、この人が稲妻をどうにかしてくれたんだと思う。
「大丈夫。彼女が来たから」
「どういうこと? 何の話なの?」と言いたいのに言えなかった。
体が言うことを聞かない。
「夢見るままに」
きれいな歌声が聞こえる。
澄んだ歌声はとてもきれいだった。
この声に聞き覚えがある。
夢の中で聞いた女神様の声と同じだ!
エヴァの歌もきれいだけど、それよりもずっと……。
あれ? おかしい。
そして、眠くなんてないはずなのに。
そうしたくないのに段々と瞼が……。
「世は動く」
最後にどうにか見ることが出来たのは空に映し出された魔法陣から出てくる黄金の存在へと鎌首をもたげる大きな白銀の大きな蛇の姿だった。
だけど全員が空の一点を見つめたまま、言葉を失ってしまった。
空に描かれた魔法陣が完成して、そこから巨大な何かがゆっくりと姿を現し始めていたからだ。
魔法陣から、耳がおかしくなる音とともに稲妻が地面にたくさん、降ってきた。
そのうちの一つが神殿の瓦礫や木々に落ちて、スゴイ音と地響きがする。
怖い。
ひたすら怖い。
ロビーと手を繋いでいなかったら、蹲って頭を抱えて、弱音を吐いていたと思う。
人の温もりを感じるのって、こんなにも力を貰えるものなんだ。
初めて、知った。
だから、守らなきゃ……もう終わらせないといけないんだから!
ゆっくりと現れたモノは真っ暗な空を照らすように黄金色に輝いている。
まるで太陽みたいだった。
夜が明けていくように見えるけど、絶対に違う。
光の正体が魔法陣から、出てきたモノのせいだからだ。
稲妻が生き物みたいにたくさん集まっていて……それで太陽みたいに輝いて見えるんだと分かった。
その稲妻がぱっと離れて、地表に落ちる光景を見ているだけで体が震えてくる。
この世の終わりが来たら、きっとこういう感じのものだろうという想像が現実になった。
そう言われても納得してしまうと思った。
正直な気持ちは怖い。
怖くて、逃げ出したい。
だけど、それはいけないことだって、分かってる。
「でも、行かなきゃ……あたしが終わらせないといけないんだもん」
「僕も一緒に行くよ」
「どうして?」
それは心の底から、浮かび上がってくる大きな疑問だった。
ロビーがそこまでしてくれる理由が分からなかった。
「エミーが困っている姿を見ても何もしない。何も出来ない。そんな自分には戻りたくないんだ。僕はもう迷ったりしない。君を守る為に一緒に行くよ。だから、一緒に戦おう」
ロビーは微笑みながら、そう言った。
体が微かに震えているのはお互い様。
怖くないはずがないのだ。
相手は世界を消し去ろうとする存在なのに……。
返事の代わりにロビーと握っている手に力を込めた。
何だか、力が湧いてきた気がして。
気のせいだと思っても心にほんのりと光が灯って、温かくなってきた気がして。
「行こう」
「ええ」
怖さに負けそうになりながらも前に進んだ。
黄金色に輝く存在から、絶えず放たれる稲妻や地響きに足が竦んで動かなくなっても、ゆっくりと確実に祭壇に近づいた。
「世界を守る為……あたしの命を!」
「僕の命を!」
二人で声を合わせて、叫んだ瞬間、黄金の稲妻があたし達に目掛けて飛んでくるのが分かった。
思わず目を瞑った。
最期にロビーと一緒にいれたから、これでいい。
そう思った……。
でも、不思議なことに痛くない。
世界が終わりそうな轟音が鳴り止んでる。
「その必要はないよ」
落ち着いた優しい声だった。
ゆっくりと瞼を開くと真っ黒なマントを風にはためかせた男の人が、あたしとロビーをまるで庇うように立ってた。
男の人は抜き身の奇妙な形をした剣を天に向けて、掲げていた。
信じられないけど、この人が稲妻をどうにかしてくれたんだと思う。
「大丈夫。彼女が来たから」
「どういうこと? 何の話なの?」と言いたいのに言えなかった。
体が言うことを聞かない。
「夢見るままに」
きれいな歌声が聞こえる。
澄んだ歌声はとてもきれいだった。
この声に聞き覚えがある。
夢の中で聞いた女神様の声と同じだ!
エヴァの歌もきれいだけど、それよりもずっと……。
あれ? おかしい。
そして、眠くなんてないはずなのに。
そうしたくないのに段々と瞼が……。
「世は動く」
最後にどうにか見ることが出来たのは空に映し出された魔法陣から出てくる黄金の存在へと鎌首をもたげる大きな白銀の大きな蛇の姿だった。
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