23 / 31
第二十三話 世論戦争:悪役令嬢、スキャンダルに強い(悪名は盾)
しおりを挟む
宰相府の門前は、怒号と罵声の嵐に包まれていた。 数百人、いや千人近い群衆が押し寄せ、プラカードを掲げて叫んでいる。
「言葉の自由を!」 「魔女リディアを追放しろ!」 「賢者様に従え!」
彼らの目は血走り、どこか焦点が定まっていない。 『沈黙の賢者』の手先がばら撒いた扇動ビラと、巧みな演説によって、正義感を暴走させられているのだ。 石つぶてや腐った卵が、アシュ様の張った透明な結界(シールド)に当たって弾ける。
「……排除する」
アシュ様の瞳から、光が消えた。 彼は右手をゆっくりと持ち上げる。その掌に、極大の氷魔法が収束していく。
「これ以上、君を侮辱させるわけにはいかない。全員、氷像にして広場に飾ってやる」
「待ってください、アシュ様!」
私は慌てて彼の手を掴み、押し下げた。 アシュ様の腕が、怒りで微かに震えている。
「彼らは操られているだけです。ここで力を使えば、それこそ敵の思う壺ですわ。『ほら見ろ、やはり宰相は暴君だ』って、格好の宣伝材料にされてしまいます」
「だが、君が傷つくリスクを放置することは非合理的だ」
「傷つきませんよ。……私を誰だと思っているんです?」
私はニヤリと笑い、扇子をパチンと鳴らした。
「私は『鉄薔薇』のリディア・エルヴァイン。社交界の荒波を、悪名だけで泳ぎ切ってきた女ですわ。……こういう『逆風』こそ、一番高く飛べるチャンスなんです」
私はアシュ様の結界から一歩踏み出し、屋敷のバルコニーの最前列に立った。 アシュ様が「リディア!」と叫ぶが、私は手で制す。
私の姿を見つけた群衆が、一斉に殺気立った。
「出たぞ、魔女だ!」 「石を投げろ!」
無数の飛来物が迫る。 しかし、私は眉一つ動かさず、懐から拡声の魔導具を取り出した。
「――お黙りなさい!!」
私の声が、魔力によって増幅され、雷鳴のように轟いた。 ビリビリと空気が震え、群衆が一瞬ひるんで動きを止める。 石が私の足元に転がったが、私はそれをヒールで蹴飛ばした。
「朝から大きな声で、ご苦労様ですこと。……でも、少し勉強不足ではありませんか? 私が『言葉を奪う魔女』ですって?」
私はバルコニーの手すりに寄りかかり、わざとらしくため息をついた。
「もし私が本当に、あなたたちの言うような恐ろしい魔女なら……今頃あなたたちは全員、言葉を奪われるどころか、カエルにでも変えられて、池の中で合唱しているところですわよ?」
挑発的なジョーク。 群衆の一部から、戸惑いのようなざわめきが起きる。 「確かに……」「何もされないぞ?」という空気が生まれる。
「私が奪ったのは、言葉の自由ではありません。『無責任な嘘』をつく自由だけです」
私は扇子で群衆を指し示した。
「あなたたちの信じる『賢者』様とやらは、どこにいらっしゃいますの? 顔も出さず、名前も明かさず、安全な場所から綺麗な言葉だけを投げかけてくる。……そんな卑怯者の言葉を、あなたたちは信じるのですか?」
「う、うるさい!」 「賢者様は我々の救世主だ!」
扇動者が叫び返す。しかし、その声には先ほどまでの勢いがない。 私は畳み掛ける。
「私はここにいます。顔を晒し、名前を名乗り、自分の言葉であなたたちと向き合っています。……さあ、選びなさい。顔のない正義か、泥を被ってでも前に立つ悪役か。どちらが『人間らしい』かを!」
私の問いかけに、群衆が静まり返る。 悪名は盾になる。 「悪役令嬢」というレッテルを貼られているからこそ、私は誰よりも本音で語ることができるのだ。
その時。 私の背後から、一人の少女が進み出た。 白いドレスに身を包んだ、ミレイユ様だ。 彼女は怯えながらも、私の隣にしっかりと立った。
「……皆さん、聞いてください」
透き通るような声が、広場に響く。
「せ、聖女様だ!」 「ミレイユ様がいるぞ!」
群衆が色めき立つ。教会の宣伝では「ミレイユはリディアに監禁されている」ことになっていたからだ。
「私は監禁なんてされていません。……リディア様に、助けていただいたのです」
ミレイユ様は胸に手を当て、涙ながらに語り始めた。
「教会は……賢者様の手下たちは、私を殺そうとしました。私が『真実』を知ってしまったからです。彼らは王太子殿下を魔法で操り、この国を乗っ取ろうとしていました」
彼女は自分の首元を見せた。 そこには、かつて襲撃された際にかすった傷跡が、まだ薄く残っていた。
「リディア様は、そんな私を命がけで守ってくれました。……彼女は言葉を奪う魔女なんかじゃありません。誰よりも言葉を大切にし、約束を守る、誇り高い方です!」
聖女の証言。 そして、その目に見える傷跡。 民衆の感情が一気に反転するのがわかった。
「……教会が、聖女様を殺そうとした?」 「じゃあ、ビラに書いてあることは嘘なのか?」 「俺たちは騙されていたのか……?」
扇動者たちが慌てて「違う! それは偽物だ!」と叫ぶが、もう遅い。 民衆の怒りの矛先は、リディアから、姿を見せない「賢者」と、扇動者たちへと向かい始めていた。
「……見事だ」
いつの間にか隣に来ていたアシュ様が、感嘆の息を漏らした。
「論理による説得(リディア)と、感情への訴求(ミレイユ)。完璧な役割分担だ。……君は、世論操作の天才か?」
「人聞きが悪いですわ。ただの『事実陳列罪』です」
私がウィンクすると、アシュ様は小さく笑い、私の腰を抱き寄せた。
「君が悪役なら、私はその共犯者だな。……群衆の前でこうするのも、悪くない」
彼はそう言うと、バルコニーの上で堂々と私の額にキスをした。
「きゃぁっ!?」
民衆から「おおおお!」という歓声(と一部の悲鳴)が上がる。 これで「リディア=愛のない魔女」説も完全に粉砕された。 見せつけすぎです、アシュ様! 心臓が持ちません!
群衆は蜘蛛の子を散らすように帰り始め、扇動者たちは逃げ出した。 私たちの完全勝利――かに思えた。
その時だった。
ゴゴゴゴゴ……。
地鳴りのような音が響き、急に空が暗くなった。 真昼だというのに、太陽が黒い雲に覆われ、世界が闇に包まれる。
「な、なんだ!?」 「日食か!?」
民衆がパニックになりかけた瞬間。 雲が割れ、天から一条の光が降り注いだ。 その光は王宮の尖塔を照らし出し、空中に巨大な黄金の文字を浮かび上がらせた。
『神託(オラクル)』
荘厳な、脳に直接響くような声が、王都中に降り注いだ。
『愚かなる子らよ。悪魔の甘言に耳を貸すな』
それは、威厳に満ちた、絶対的な響きを持っていた。 逃げ帰ろうとしていた民衆が、その場に平伏し始める。
『宰相アシュと魔女リディアは、偽りの契約によって世界を穢す者なり。彼らの言葉は毒であり、彼らの愛は呪いである』
光の文字が形を変え、恐ろしい予言を刻む。
『災厄を避けたくば、魔女を裁け。さもなくば、七日の後に王都は炎に包まれるであろう』
「……な、なんだって……?」 「神様のお告げだ……!」 「やっぱり、リディア様は魔女なのか……?」
せっかく沈静化した民衆の心が、再び恐怖によって揺れ動く。 神託。 この信心深い国において、それは王命よりも重い、絶対的な決定事項だ。
「……やりやがったな」
アシュ様が空を睨みつける。 その左手の指輪が、激しく赤く明滅している。
「あの光……神の力ではない。大規模な光魔法と音響魔法の複合術式だ。……だが、出力が桁違いだ。王都全体の魔力をハッキングしている」
「つまり、これも『賢者』の演出ですの?」
「ああ。民衆を扇動するのに失敗したから、今度は『神』を騙って脅しに来たわけだ。……どこまでも卑劣な手を使う」
アシュ様の体から、冷たい殺気が溢れ出す。
「神託による死刑宣告か。……面白い。神が相手なら、法廷ではなく戦場で引きずり下ろすまでだ」
しかし、状況は最悪だ。 民衆は恐怖に支配されやすい。 「七日後に王都が燃える」と脅されれば、保身のために私を差し出そうとする動きが必ず出てくる。 さっきまでの「リディア様万歳」ムードが一変、再び私たちは「人類の敵」に逆戻りだ。
私は空に浮かぶ黄金の文字を睨みつけた。
「……神託、ですって?」
ふざけないで。 神様がそんな、安っぽい脅迫状を送ってくるわけがない。 これは、言葉に対する最大の冒涜だ。
「アシュ様。私、決めました」
私は拳を握りしめ、宣言した。
「あの偽の神様を、法廷に引きずり出しましょう。神託が『言葉』である以上、そこには必ず『嘘』か『真実』があるはずです」
「……神を監査するつもりか?」
「ええ。宰相府と誓約院の全権限を使って、あの光の文字の『成分分析』をしてやりますわ!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから獰猛な笑みを浮かべた。
「……クックック。神への監査請求か。前代未聞だ。だが、最高に合理的だ」
彼は私の肩を抱いた。
「いいだろう。七日間の猶予があるなら十分だ。……神の化けの皮を剥ぎ、その中身(賢者)を引きずり出してやる」
空には偽りの神託。 地上には混乱する民衆。 でも、私たちの心は折れていない。 神様? 賢者様? 悪いけど、契約のプロ夫婦を敵に回したことを、天国で後悔なさい!
私たちは嵐の前の静けさの中、最後の戦いに向けて走り出した。
「言葉の自由を!」 「魔女リディアを追放しろ!」 「賢者様に従え!」
彼らの目は血走り、どこか焦点が定まっていない。 『沈黙の賢者』の手先がばら撒いた扇動ビラと、巧みな演説によって、正義感を暴走させられているのだ。 石つぶてや腐った卵が、アシュ様の張った透明な結界(シールド)に当たって弾ける。
「……排除する」
アシュ様の瞳から、光が消えた。 彼は右手をゆっくりと持ち上げる。その掌に、極大の氷魔法が収束していく。
「これ以上、君を侮辱させるわけにはいかない。全員、氷像にして広場に飾ってやる」
「待ってください、アシュ様!」
私は慌てて彼の手を掴み、押し下げた。 アシュ様の腕が、怒りで微かに震えている。
「彼らは操られているだけです。ここで力を使えば、それこそ敵の思う壺ですわ。『ほら見ろ、やはり宰相は暴君だ』って、格好の宣伝材料にされてしまいます」
「だが、君が傷つくリスクを放置することは非合理的だ」
「傷つきませんよ。……私を誰だと思っているんです?」
私はニヤリと笑い、扇子をパチンと鳴らした。
「私は『鉄薔薇』のリディア・エルヴァイン。社交界の荒波を、悪名だけで泳ぎ切ってきた女ですわ。……こういう『逆風』こそ、一番高く飛べるチャンスなんです」
私はアシュ様の結界から一歩踏み出し、屋敷のバルコニーの最前列に立った。 アシュ様が「リディア!」と叫ぶが、私は手で制す。
私の姿を見つけた群衆が、一斉に殺気立った。
「出たぞ、魔女だ!」 「石を投げろ!」
無数の飛来物が迫る。 しかし、私は眉一つ動かさず、懐から拡声の魔導具を取り出した。
「――お黙りなさい!!」
私の声が、魔力によって増幅され、雷鳴のように轟いた。 ビリビリと空気が震え、群衆が一瞬ひるんで動きを止める。 石が私の足元に転がったが、私はそれをヒールで蹴飛ばした。
「朝から大きな声で、ご苦労様ですこと。……でも、少し勉強不足ではありませんか? 私が『言葉を奪う魔女』ですって?」
私はバルコニーの手すりに寄りかかり、わざとらしくため息をついた。
「もし私が本当に、あなたたちの言うような恐ろしい魔女なら……今頃あなたたちは全員、言葉を奪われるどころか、カエルにでも変えられて、池の中で合唱しているところですわよ?」
挑発的なジョーク。 群衆の一部から、戸惑いのようなざわめきが起きる。 「確かに……」「何もされないぞ?」という空気が生まれる。
「私が奪ったのは、言葉の自由ではありません。『無責任な嘘』をつく自由だけです」
私は扇子で群衆を指し示した。
「あなたたちの信じる『賢者』様とやらは、どこにいらっしゃいますの? 顔も出さず、名前も明かさず、安全な場所から綺麗な言葉だけを投げかけてくる。……そんな卑怯者の言葉を、あなたたちは信じるのですか?」
「う、うるさい!」 「賢者様は我々の救世主だ!」
扇動者が叫び返す。しかし、その声には先ほどまでの勢いがない。 私は畳み掛ける。
「私はここにいます。顔を晒し、名前を名乗り、自分の言葉であなたたちと向き合っています。……さあ、選びなさい。顔のない正義か、泥を被ってでも前に立つ悪役か。どちらが『人間らしい』かを!」
私の問いかけに、群衆が静まり返る。 悪名は盾になる。 「悪役令嬢」というレッテルを貼られているからこそ、私は誰よりも本音で語ることができるのだ。
その時。 私の背後から、一人の少女が進み出た。 白いドレスに身を包んだ、ミレイユ様だ。 彼女は怯えながらも、私の隣にしっかりと立った。
「……皆さん、聞いてください」
透き通るような声が、広場に響く。
「せ、聖女様だ!」 「ミレイユ様がいるぞ!」
群衆が色めき立つ。教会の宣伝では「ミレイユはリディアに監禁されている」ことになっていたからだ。
「私は監禁なんてされていません。……リディア様に、助けていただいたのです」
ミレイユ様は胸に手を当て、涙ながらに語り始めた。
「教会は……賢者様の手下たちは、私を殺そうとしました。私が『真実』を知ってしまったからです。彼らは王太子殿下を魔法で操り、この国を乗っ取ろうとしていました」
彼女は自分の首元を見せた。 そこには、かつて襲撃された際にかすった傷跡が、まだ薄く残っていた。
「リディア様は、そんな私を命がけで守ってくれました。……彼女は言葉を奪う魔女なんかじゃありません。誰よりも言葉を大切にし、約束を守る、誇り高い方です!」
聖女の証言。 そして、その目に見える傷跡。 民衆の感情が一気に反転するのがわかった。
「……教会が、聖女様を殺そうとした?」 「じゃあ、ビラに書いてあることは嘘なのか?」 「俺たちは騙されていたのか……?」
扇動者たちが慌てて「違う! それは偽物だ!」と叫ぶが、もう遅い。 民衆の怒りの矛先は、リディアから、姿を見せない「賢者」と、扇動者たちへと向かい始めていた。
「……見事だ」
いつの間にか隣に来ていたアシュ様が、感嘆の息を漏らした。
「論理による説得(リディア)と、感情への訴求(ミレイユ)。完璧な役割分担だ。……君は、世論操作の天才か?」
「人聞きが悪いですわ。ただの『事実陳列罪』です」
私がウィンクすると、アシュ様は小さく笑い、私の腰を抱き寄せた。
「君が悪役なら、私はその共犯者だな。……群衆の前でこうするのも、悪くない」
彼はそう言うと、バルコニーの上で堂々と私の額にキスをした。
「きゃぁっ!?」
民衆から「おおおお!」という歓声(と一部の悲鳴)が上がる。 これで「リディア=愛のない魔女」説も完全に粉砕された。 見せつけすぎです、アシュ様! 心臓が持ちません!
群衆は蜘蛛の子を散らすように帰り始め、扇動者たちは逃げ出した。 私たちの完全勝利――かに思えた。
その時だった。
ゴゴゴゴゴ……。
地鳴りのような音が響き、急に空が暗くなった。 真昼だというのに、太陽が黒い雲に覆われ、世界が闇に包まれる。
「な、なんだ!?」 「日食か!?」
民衆がパニックになりかけた瞬間。 雲が割れ、天から一条の光が降り注いだ。 その光は王宮の尖塔を照らし出し、空中に巨大な黄金の文字を浮かび上がらせた。
『神託(オラクル)』
荘厳な、脳に直接響くような声が、王都中に降り注いだ。
『愚かなる子らよ。悪魔の甘言に耳を貸すな』
それは、威厳に満ちた、絶対的な響きを持っていた。 逃げ帰ろうとしていた民衆が、その場に平伏し始める。
『宰相アシュと魔女リディアは、偽りの契約によって世界を穢す者なり。彼らの言葉は毒であり、彼らの愛は呪いである』
光の文字が形を変え、恐ろしい予言を刻む。
『災厄を避けたくば、魔女を裁け。さもなくば、七日の後に王都は炎に包まれるであろう』
「……な、なんだって……?」 「神様のお告げだ……!」 「やっぱり、リディア様は魔女なのか……?」
せっかく沈静化した民衆の心が、再び恐怖によって揺れ動く。 神託。 この信心深い国において、それは王命よりも重い、絶対的な決定事項だ。
「……やりやがったな」
アシュ様が空を睨みつける。 その左手の指輪が、激しく赤く明滅している。
「あの光……神の力ではない。大規模な光魔法と音響魔法の複合術式だ。……だが、出力が桁違いだ。王都全体の魔力をハッキングしている」
「つまり、これも『賢者』の演出ですの?」
「ああ。民衆を扇動するのに失敗したから、今度は『神』を騙って脅しに来たわけだ。……どこまでも卑劣な手を使う」
アシュ様の体から、冷たい殺気が溢れ出す。
「神託による死刑宣告か。……面白い。神が相手なら、法廷ではなく戦場で引きずり下ろすまでだ」
しかし、状況は最悪だ。 民衆は恐怖に支配されやすい。 「七日後に王都が燃える」と脅されれば、保身のために私を差し出そうとする動きが必ず出てくる。 さっきまでの「リディア様万歳」ムードが一変、再び私たちは「人類の敵」に逆戻りだ。
私は空に浮かぶ黄金の文字を睨みつけた。
「……神託、ですって?」
ふざけないで。 神様がそんな、安っぽい脅迫状を送ってくるわけがない。 これは、言葉に対する最大の冒涜だ。
「アシュ様。私、決めました」
私は拳を握りしめ、宣言した。
「あの偽の神様を、法廷に引きずり出しましょう。神託が『言葉』である以上、そこには必ず『嘘』か『真実』があるはずです」
「……神を監査するつもりか?」
「ええ。宰相府と誓約院の全権限を使って、あの光の文字の『成分分析』をしてやりますわ!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから獰猛な笑みを浮かべた。
「……クックック。神への監査請求か。前代未聞だ。だが、最高に合理的だ」
彼は私の肩を抱いた。
「いいだろう。七日間の猶予があるなら十分だ。……神の化けの皮を剥ぎ、その中身(賢者)を引きずり出してやる」
空には偽りの神託。 地上には混乱する民衆。 でも、私たちの心は折れていない。 神様? 賢者様? 悪いけど、契約のプロ夫婦を敵に回したことを、天国で後悔なさい!
私たちは嵐の前の静けさの中、最後の戦いに向けて走り出した。
0
あなたにおすすめの小説
家が没落した時私を見放した幼馴染が今更すり寄ってきた
今川幸乃
恋愛
名門貴族ターナー公爵家のベティには、アレクという幼馴染がいた。
二人は互いに「将来結婚したい」と言うほどの仲良しだったが、ある時ターナー家は陰謀により潰されてしまう。
ベティはアレクに助けを求めたが「罪人とは仲良く出来ない」とあしらわれてしまった。
その後大貴族スコット家の養女になったベティはようやく幸せな暮らしを手に入れた。
が、彼女の前に再びアレクが現れる。
どうやらアレクには困りごとがあるらしかったが…
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。
ましゅぺちーの
恋愛
公爵家の令嬢であるリリスは家族と婚約者に愛されて幸せの中にいた。
そんな時、リリスの父の弟夫婦が不慮の事故で亡くなり、その娘を我が家で引き取ることになった。
娘の名前はシルビア。天使のように可愛らしく愛嬌のある彼女はすぐに一家に馴染んでいった。
それに対してリリスは次第に家で孤立していき、シルビアに嫌がらせをしているとの噂までたち始めた。
婚約者もシルビアに奪われ、父からは勘当を言い渡される。
リリスは平民として第二の人生を歩み始める。
全8話。完結まで執筆済みです。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様
すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。
彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。
そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。
ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。
彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。
しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。
それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。
私はお姉さまの代わりでしょうか。
貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。
そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。
8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された
この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE
MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
婚約者が選んだのは私から魔力を盗んだ妹でした
今川幸乃
恋愛
バートン伯爵家のミアの婚約者、パーシーはいつも「魔法が使える人がいい」とばかり言っていた。
実はミアは幼いころに水の精霊と親しくなり、魔法も得意だった。
妹のリリーが怪我した時に母親に「リリーが可哀想だから魔法ぐらい譲ってあげなさい」と言われ、精霊を譲っていたのだった。
リリーはとっくに怪我が治っているというのにずっと仮病を使っていて一向に精霊を返すつもりはない。
それでもミアはずっと我慢していたが、ある日パーシーとリリーが仲良くしているのを見かける。
パーシーによると「怪我しているのに頑張っていてすごい」ということらしく、リリーも満更ではなさそうだった。
そのためミアはついに彼女から精霊を取り戻すことを決意する。
〈完結〉姉と母の本当の思いを知った時、私達は父を捨てて旅に出ることを決めました。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」男爵令嬢ベリンダには三人のきょうだいがいる。だが母は年の離れた一番上の姉ローズにだけ冷たい。
幼いながらもそれに気付いていた私は、誕生日の晩、両親の言い争いを聞く。
しばらくして、ローズは誕生日によばれた菓子職人と駆け落ちしてしまう。
それから全寮制の学校に通うこともあり、家族はあまり集わなくなる。
母は離れで暮らす様になり、気鬱にもなる。
そしてローズが出ていった歳にベリンダがなった頃、突然ローズから手紙が来る。
そこにはベリンダがずっと持っていた疑問の答えがあった。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる