28 / 31
第二十八話 『君を愛することはない』――もう言いません
しおりを挟む
「け、結婚式の……やり直し?」
お菓子工房の前の通りで、アシュ様が素っ頓狂な声を上げた。 夕暮れの街角。 通行人たちが足を止め、私たちの様子を興味津々で眺めている中、アシュ様は私の肩を掴んだまま、まるで未知の言語を聞いたかのような顔をしている。
「リディア、待ってくれ。定義を確認したい。我々はすでに法的にも魔術的にも婚姻関係にある。戸籍の登録は完了しているし、財産分与の契約も締結済みだ。これ以上、何を『やり直す』必要がある?」
相変わらずの堅物ぶりだ。 私は呆れるよりも愛おしさを感じながら、彼の手の甲に自分の手を重ねた。
「アシュ様。あなたは法と契約のプロフェッショナルですけれど……『乙女心』に関しては落第点ですわ」
「なっ……」
「書類上の結婚なんて、ただの手続きです。私がやりたいのは、そんな事務的なことではありません。……世界で一番幸福な『誓い』を立てることです」
私は彼の青い瞳を真っ直ぐに見つめた。
「教会が決めた定型文でもなく、法律で定められた義務でもなく。……私たち自身の言葉で、お互いを縛るのです。それが、本当の結婚式ではありませんか?」
アシュ様が息を呑む。 その瞳に、理解の光が灯る。
「……なるほど。形式的な契約ではなく、魂の定義書き換え(リライト)か」
「言い方は可愛くありませんけど、まあ、そういうことです」
私はクスクスと笑い、彼の手を引いた。
「さあ、帰りましょう。ここでは目立ちすぎますわ。……『契約更新』の詳細は、馬車の中でじっくり詰めましょう?」
◇
宰相府の馬車の中。 二人きりの密室空間。 窓の外を流れる王都の夜景が、宝石箱をひっくり返したように輝いている。
アシュ様は私の隣に座り、先ほどからソワソワと落ち着きがない。 私の手を握ったり離したり、ネクタイを直したり。 あの冷徹無比な氷の宰相が、初デートの中学生みたいになっている。
「……リディア」
沈黙に耐えかねたように、アシュ様が口を開いた。
「先ほどの……『契約更新』の話だが」
「はい」
「第五条『恋愛感情の禁止』の撤廃については、合意とみなしていいのか?」
彼は真剣な眼差しで聞いてきた。 その左手の薬指にある『真実の誓約印』が、淡く発光している。
「ええ。もちろんです」
私は頷き、彼の手を取って、自分の膝の上に置いた。
「アシュ様。私、ずっと考えていました。あの日、レオンハルト殿下に『君を愛することはない』と宣言された時のことを」
私の脳裏に、あの断罪舞踏会の光景が蘇る。 冷たい拒絶の言葉。 嘲笑うような視線。
「あの時、私は傷つかなかったつもりでした。『せいせいした』『自由になれた』と強がって、心を鎧で覆いました。……でも、本当は怖かったんです」
本音がこぼれる。 『嘘がつけない契約』があるからこそ、隠していた心の奥底が暴かれる。
「『愛する』とか『愛される』とか、そんな不確かな感情に頼るから、裏切られた時に痛い目を見るのだと。だから、あなたとの『愛さない契約』は、私にとって心地よい避難場所でした」
私はアシュ様の指輪を指先でなぞった。
「でも、あなたは教えてくれました。……言葉は人を傷つける刃にもなるけれど、人を救う魔法にもなるのだと」
アシュ様が昨夜くれた手紙。 そして、先ほどの不器用な告白。 彼の言葉は、私の凍りついた心を、太陽のように溶かしてしまった。
「アシュ様。私、訂正します」
私は彼の目を正面から見据えた。
「『君を愛することはない』……そんな悲しい言葉、私はもう二度と言いません」
私は大きく息を吸い込み、万感の想いを込めて告げた。
「私は、アシュ・ヴァレンシュタインを愛しています。……合理的でも、計算高くもありません。ただ、あなたが隣にいないと寂しくて、あなたが笑うと嬉しくて、あなたのためなら世界中を敵に回しても構わないと思うくらい……大好きです」
言ってしまった。 全部、言ってしまった。 私の顔はきっと、熟れたトマトみたいに真っ赤だろう。
アシュ様は石像のように固まっていた。 瞬きすら忘れて、私を凝視している。
「……あ、あの? アシュ様? もしもし?」
私が目の前で手を振ると、彼はハッとして、それからガバッと顔を両手で覆った。
「……致死量だ」
「はい?」
「幸福の供給量が、致死量を超えている。……心臓が止まりそうだ」
彼は指の隙間から私を見た。 その顔は、見たこともないほど崩れていた。 いつものポーカーフェイスなんて欠片もない。 ただの、恋に落ちた男の顔だ。
「リディア。……私の言葉も聞いてくれ」
アシュ様は私の手を強く握り返した。 その手は熱く、震えていた。
「私は言葉を捨てた人間だ。嘘に絶望し、契約に逃げた。……だが、君に出会って知った。真実の言葉とは、契約書に書くものではない。……心から溢れるものなのだと」
彼は私の手を引き寄せ、その掌に頬を寄せた。
「愛している、リディア。君は私の光だ。君がいない世界になど、一秒たりとも留まりたくない」
行政用語も、難しい理屈もない。 ただシンプルな、魂の叫び。 その瞬間。 カァァァッ!! 馬車の中が、薔薇色の光に包まれた。 私たちの薬指にある『真実の誓約印』が、共鳴し合い、眩いピンク色の輝きを放ったのだ。
「ま、眩しいですわ!」
「……これが、『真実の愛』の反応波形か。……美しいな」
アシュ様は眩しげに目を細め、そして優しく微笑んだ。 その笑顔は、氷の宰相のものではない。 春の陽だまりのような、温かくて甘い、私の夫だけの笑顔。
私たちは自然と引き寄せられ、口づけを交わした。 契約の印が、祝福するように輝き続ける中、私たちは長い長いキスをした。
◇
しばらくして、ようやく唇を離した私たちは、お互いの顔を見て笑ってしまった。 二人とも顔が真っ赤で、髪も乱れていて、なんとも締まりがない。
「……さて、リディア」
アシュ様が、少し照れくさそうに咳払いをした。
「契約更新(プロポーズ)は完了した。次は『結婚式のやり直し』の件だが……具体的なプランはあるのか?」
「ええ、ありますとも!」
私は扇子を取り出し(どこに隠していたのかしら)、パチンと開いた。 これからは『鉄薔薇』の本領発揮だ。
「まず、教会での挙式は却下です。あそこは私たちを散々邪魔しましたからね。縁起が悪いですわ」
「同意する。私の妻が、あのカビ臭い建物に入るのは許容できない」
「そこで提案です。……『国法婚式(ステート・ウェディング)』を行いましょう」
「国法婚式?」
「はい。アシュ様が作った新しい法律に基づく、教会を介さない結婚式です。これを王宮の広場で、盛大に行うんです」
私の狙いは明確だ。 教会が独占していた「結婚」という儀式を、国家の手に取り戻す。 そして、私たちがその第一号となることで、新しい時代の象徴となるのだ。
「なるほど……。教会の権威失墜を決定づけ、かつ新制度の周知も行える。非常に合理的かつ政治的効果が高い」
アシュ様の目が、仕事人のそれに変わる。
「だが、それだけではないな? 君の狙いは」
「ふふ、バレました?」
私は悪戯っぽく微笑んだ。
「一番の目的は……見せつけることですわ。レオンハルト殿下にも、元いじめっ子の令嬢たちにも、そして国中の人々に。……私が、世界一素敵な旦那様と、世界一幸せになった姿を!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから大きな声で笑った。
「ハハハ! 素晴らしい! やはり君は最高の悪役令嬢だ!」
彼は私の肩を抱き寄せ、力強く宣言した。
「いいだろう。やろう、国法婚式。……この国始まって以来の、最高に派手で、最高に幸福な式典にしてやる」
馬車は宰相府へと滑り込む。 私たちの戦いは終わったけれど、私たちの「お披露目」はこれからが本番だ。 さあ、準備にかかりましょう。 誓いの言葉は、誰かに決められたものじゃない。 私たちが紡ぐ、私たちだけの愛の言葉なのだから。
お菓子工房の前の通りで、アシュ様が素っ頓狂な声を上げた。 夕暮れの街角。 通行人たちが足を止め、私たちの様子を興味津々で眺めている中、アシュ様は私の肩を掴んだまま、まるで未知の言語を聞いたかのような顔をしている。
「リディア、待ってくれ。定義を確認したい。我々はすでに法的にも魔術的にも婚姻関係にある。戸籍の登録は完了しているし、財産分与の契約も締結済みだ。これ以上、何を『やり直す』必要がある?」
相変わらずの堅物ぶりだ。 私は呆れるよりも愛おしさを感じながら、彼の手の甲に自分の手を重ねた。
「アシュ様。あなたは法と契約のプロフェッショナルですけれど……『乙女心』に関しては落第点ですわ」
「なっ……」
「書類上の結婚なんて、ただの手続きです。私がやりたいのは、そんな事務的なことではありません。……世界で一番幸福な『誓い』を立てることです」
私は彼の青い瞳を真っ直ぐに見つめた。
「教会が決めた定型文でもなく、法律で定められた義務でもなく。……私たち自身の言葉で、お互いを縛るのです。それが、本当の結婚式ではありませんか?」
アシュ様が息を呑む。 その瞳に、理解の光が灯る。
「……なるほど。形式的な契約ではなく、魂の定義書き換え(リライト)か」
「言い方は可愛くありませんけど、まあ、そういうことです」
私はクスクスと笑い、彼の手を引いた。
「さあ、帰りましょう。ここでは目立ちすぎますわ。……『契約更新』の詳細は、馬車の中でじっくり詰めましょう?」
◇
宰相府の馬車の中。 二人きりの密室空間。 窓の外を流れる王都の夜景が、宝石箱をひっくり返したように輝いている。
アシュ様は私の隣に座り、先ほどからソワソワと落ち着きがない。 私の手を握ったり離したり、ネクタイを直したり。 あの冷徹無比な氷の宰相が、初デートの中学生みたいになっている。
「……リディア」
沈黙に耐えかねたように、アシュ様が口を開いた。
「先ほどの……『契約更新』の話だが」
「はい」
「第五条『恋愛感情の禁止』の撤廃については、合意とみなしていいのか?」
彼は真剣な眼差しで聞いてきた。 その左手の薬指にある『真実の誓約印』が、淡く発光している。
「ええ。もちろんです」
私は頷き、彼の手を取って、自分の膝の上に置いた。
「アシュ様。私、ずっと考えていました。あの日、レオンハルト殿下に『君を愛することはない』と宣言された時のことを」
私の脳裏に、あの断罪舞踏会の光景が蘇る。 冷たい拒絶の言葉。 嘲笑うような視線。
「あの時、私は傷つかなかったつもりでした。『せいせいした』『自由になれた』と強がって、心を鎧で覆いました。……でも、本当は怖かったんです」
本音がこぼれる。 『嘘がつけない契約』があるからこそ、隠していた心の奥底が暴かれる。
「『愛する』とか『愛される』とか、そんな不確かな感情に頼るから、裏切られた時に痛い目を見るのだと。だから、あなたとの『愛さない契約』は、私にとって心地よい避難場所でした」
私はアシュ様の指輪を指先でなぞった。
「でも、あなたは教えてくれました。……言葉は人を傷つける刃にもなるけれど、人を救う魔法にもなるのだと」
アシュ様が昨夜くれた手紙。 そして、先ほどの不器用な告白。 彼の言葉は、私の凍りついた心を、太陽のように溶かしてしまった。
「アシュ様。私、訂正します」
私は彼の目を正面から見据えた。
「『君を愛することはない』……そんな悲しい言葉、私はもう二度と言いません」
私は大きく息を吸い込み、万感の想いを込めて告げた。
「私は、アシュ・ヴァレンシュタインを愛しています。……合理的でも、計算高くもありません。ただ、あなたが隣にいないと寂しくて、あなたが笑うと嬉しくて、あなたのためなら世界中を敵に回しても構わないと思うくらい……大好きです」
言ってしまった。 全部、言ってしまった。 私の顔はきっと、熟れたトマトみたいに真っ赤だろう。
アシュ様は石像のように固まっていた。 瞬きすら忘れて、私を凝視している。
「……あ、あの? アシュ様? もしもし?」
私が目の前で手を振ると、彼はハッとして、それからガバッと顔を両手で覆った。
「……致死量だ」
「はい?」
「幸福の供給量が、致死量を超えている。……心臓が止まりそうだ」
彼は指の隙間から私を見た。 その顔は、見たこともないほど崩れていた。 いつものポーカーフェイスなんて欠片もない。 ただの、恋に落ちた男の顔だ。
「リディア。……私の言葉も聞いてくれ」
アシュ様は私の手を強く握り返した。 その手は熱く、震えていた。
「私は言葉を捨てた人間だ。嘘に絶望し、契約に逃げた。……だが、君に出会って知った。真実の言葉とは、契約書に書くものではない。……心から溢れるものなのだと」
彼は私の手を引き寄せ、その掌に頬を寄せた。
「愛している、リディア。君は私の光だ。君がいない世界になど、一秒たりとも留まりたくない」
行政用語も、難しい理屈もない。 ただシンプルな、魂の叫び。 その瞬間。 カァァァッ!! 馬車の中が、薔薇色の光に包まれた。 私たちの薬指にある『真実の誓約印』が、共鳴し合い、眩いピンク色の輝きを放ったのだ。
「ま、眩しいですわ!」
「……これが、『真実の愛』の反応波形か。……美しいな」
アシュ様は眩しげに目を細め、そして優しく微笑んだ。 その笑顔は、氷の宰相のものではない。 春の陽だまりのような、温かくて甘い、私の夫だけの笑顔。
私たちは自然と引き寄せられ、口づけを交わした。 契約の印が、祝福するように輝き続ける中、私たちは長い長いキスをした。
◇
しばらくして、ようやく唇を離した私たちは、お互いの顔を見て笑ってしまった。 二人とも顔が真っ赤で、髪も乱れていて、なんとも締まりがない。
「……さて、リディア」
アシュ様が、少し照れくさそうに咳払いをした。
「契約更新(プロポーズ)は完了した。次は『結婚式のやり直し』の件だが……具体的なプランはあるのか?」
「ええ、ありますとも!」
私は扇子を取り出し(どこに隠していたのかしら)、パチンと開いた。 これからは『鉄薔薇』の本領発揮だ。
「まず、教会での挙式は却下です。あそこは私たちを散々邪魔しましたからね。縁起が悪いですわ」
「同意する。私の妻が、あのカビ臭い建物に入るのは許容できない」
「そこで提案です。……『国法婚式(ステート・ウェディング)』を行いましょう」
「国法婚式?」
「はい。アシュ様が作った新しい法律に基づく、教会を介さない結婚式です。これを王宮の広場で、盛大に行うんです」
私の狙いは明確だ。 教会が独占していた「結婚」という儀式を、国家の手に取り戻す。 そして、私たちがその第一号となることで、新しい時代の象徴となるのだ。
「なるほど……。教会の権威失墜を決定づけ、かつ新制度の周知も行える。非常に合理的かつ政治的効果が高い」
アシュ様の目が、仕事人のそれに変わる。
「だが、それだけではないな? 君の狙いは」
「ふふ、バレました?」
私は悪戯っぽく微笑んだ。
「一番の目的は……見せつけることですわ。レオンハルト殿下にも、元いじめっ子の令嬢たちにも、そして国中の人々に。……私が、世界一素敵な旦那様と、世界一幸せになった姿を!」
アシュ様は一瞬きょとんとして、それから大きな声で笑った。
「ハハハ! 素晴らしい! やはり君は最高の悪役令嬢だ!」
彼は私の肩を抱き寄せ、力強く宣言した。
「いいだろう。やろう、国法婚式。……この国始まって以来の、最高に派手で、最高に幸福な式典にしてやる」
馬車は宰相府へと滑り込む。 私たちの戦いは終わったけれど、私たちの「お披露目」はこれからが本番だ。 さあ、準備にかかりましょう。 誓いの言葉は、誰かに決められたものじゃない。 私たちが紡ぐ、私たちだけの愛の言葉なのだから。
2
あなたにおすすめの小説
家が没落した時私を見放した幼馴染が今更すり寄ってきた
今川幸乃
恋愛
名門貴族ターナー公爵家のベティには、アレクという幼馴染がいた。
二人は互いに「将来結婚したい」と言うほどの仲良しだったが、ある時ターナー家は陰謀により潰されてしまう。
ベティはアレクに助けを求めたが「罪人とは仲良く出来ない」とあしらわれてしまった。
その後大貴族スコット家の養女になったベティはようやく幸せな暮らしを手に入れた。
が、彼女の前に再びアレクが現れる。
どうやらアレクには困りごとがあるらしかったが…
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。
ましゅぺちーの
恋愛
公爵家の令嬢であるリリスは家族と婚約者に愛されて幸せの中にいた。
そんな時、リリスの父の弟夫婦が不慮の事故で亡くなり、その娘を我が家で引き取ることになった。
娘の名前はシルビア。天使のように可愛らしく愛嬌のある彼女はすぐに一家に馴染んでいった。
それに対してリリスは次第に家で孤立していき、シルビアに嫌がらせをしているとの噂までたち始めた。
婚約者もシルビアに奪われ、父からは勘当を言い渡される。
リリスは平民として第二の人生を歩み始める。
全8話。完結まで執筆済みです。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様
すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。
彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。
そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。
ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。
彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。
しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。
それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。
私はお姉さまの代わりでしょうか。
貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。
そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。
8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された
この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE
MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
婚約者が選んだのは私から魔力を盗んだ妹でした
今川幸乃
恋愛
バートン伯爵家のミアの婚約者、パーシーはいつも「魔法が使える人がいい」とばかり言っていた。
実はミアは幼いころに水の精霊と親しくなり、魔法も得意だった。
妹のリリーが怪我した時に母親に「リリーが可哀想だから魔法ぐらい譲ってあげなさい」と言われ、精霊を譲っていたのだった。
リリーはとっくに怪我が治っているというのにずっと仮病を使っていて一向に精霊を返すつもりはない。
それでもミアはずっと我慢していたが、ある日パーシーとリリーが仲良くしているのを見かける。
パーシーによると「怪我しているのに頑張っていてすごい」ということらしく、リリーも満更ではなさそうだった。
そのためミアはついに彼女から精霊を取り戻すことを決意する。
〈完結〉姉と母の本当の思いを知った時、私達は父を捨てて旅に出ることを決めました。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」男爵令嬢ベリンダには三人のきょうだいがいる。だが母は年の離れた一番上の姉ローズにだけ冷たい。
幼いながらもそれに気付いていた私は、誕生日の晩、両親の言い争いを聞く。
しばらくして、ローズは誕生日によばれた菓子職人と駆け落ちしてしまう。
それから全寮制の学校に通うこともあり、家族はあまり集わなくなる。
母は離れで暮らす様になり、気鬱にもなる。
そしてローズが出ていった歳にベリンダがなった頃、突然ローズから手紙が来る。
そこにはベリンダがずっと持っていた疑問の答えがあった。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる