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第21話:約束の朝、覚悟の解放
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三日間の猶予が終わる、約束の朝。
灰色の儀式場に、複数の足音が響き渡った。
現れたのは、アルフォンス王太子と、その隣に立つ聖女イザベラ。
彼らの後ろには、物々しく武装した王宮騎士たちが、壁のように控えている。
「さて、リリアーナ。約束の三日間は終わったぞ」
王太子が、値踏みするような、いやらしい目つきで私を見る。
「我々を待たせただけの成果、見せてもらえるのだろうな?」
「ええ。もちろんですわ、殿下。この女も、自分の立場を理解したことでしょう」
イザベラが、私の代わりに答えるように、自信ありげに微笑んだ。
彼女は、私がこの場で儀式場を蘇らせ、それが全て自分の手柄になることを信じて疑っていないのだろう。
その浅ましさに、私は内心で冷たく笑った。
(……もう、迷いはない)
昨夜、私は確かに感じた。
遠く離れたアレクシス様と、魂が繋がったという、確かな実感があった。
彼は、私のことを信じて待っていてくれる。いや、あるいは、もうこちらへ向かってくれているかもしれない。
だから、私は戦う。
この力の全てを懸けて。
彼のために、そして、私自身の未来のために。
私はゆっくりと立ち上がると、儀式場の中心へと、迷いなく歩み出た。
「さあ、早く始めなさい」
イザベラの傲慢な声が、背後から飛んでくる。
私は誰にも答えず、ただ静かに目を閉じた。
意識を、内へ、深く、深く、沈めていく。
(思い出すのは、ヴァインベルクの、あの荒れ果てた大地)
(私の力を受け入れて、緑を取り戻していった、あの愛おしい土地を)
そして、この儀式場に渦巻く、巨大な呪いの力。
死のエネルギー。
それを、恐れない。
むしろ、歓迎する。
——おいでなさい。私の糧となるがいい。
心の中で、強く、女王のように命じる。
すると、儀式場に満ちていた淀んだ空気が、まるで生き物のように、私の中へと、濁流となって流れ込んできた。
全身が引き裂かれそうなほどの、凄まじい負のエネルギー。
「ぐっ……ぅ……!」
思わず、呻き声が漏れる。
だが、私は歯を食いしばって耐えた。
その負のエネルギーを、私の内なる生命の光で、優しく、しかし力強く包み込み、浄化し、そして——***変換***する。
マイナスを、プラスの力へと。
死を、生の力へと。
私の身体が、器となる。
呪いという猛毒を飲み干し、それを極上の蜜へと変える、禁断の錬金術。
「な、何が起きているの……? この女、何を……!?」
イザベラの戸惑う声が聞こえる。
私の身体から、光が溢れ出した。
最初は、いつものような、淡い若葉色の光。
しかし、呪いの力を取り込むにつれて、その輝きはどんどん、どんどん増していく。
若葉色は、やがて、生命の息吹そのものに満ちた、鮮烈な***エメラルドグリーン***の輝きへと変わっていく。
「おお……!」
「な、なんだ、この神々しい光は……!?」
王太子や騎士たちが、驚愕の声を上げる。
私の身体を中心に、エメラルドグリーンの光の奔流が、巨大な竜巻のように渦を巻き始めた。
儀式場の空気が、変わる。
死の匂いは消え失せ、代わりに、雨上がりの森のような、清浄で、甘い生命の香りが満ちていく。
私は、ゆっくりと目を開けた。
もはや、そこに絶望の色はない。
あるのは、この世界の生命を司る、慈愛と、そして、悪しき者を決して許さないという、強い意志だけ。
「さあ、ご覧なさい」
私の声は、儀式場全体に、聖なる鐘の音のように、厳かに響き渡った。
「これが、私の……***本当の力***です」
その言葉を合図にするかのように。
私の足元から、エメラルドグリーンの光が、儀式場全体へと、美しい波紋のように、一斉に広がっていった。
反撃の時が、来たのだ。
灰色の儀式場に、複数の足音が響き渡った。
現れたのは、アルフォンス王太子と、その隣に立つ聖女イザベラ。
彼らの後ろには、物々しく武装した王宮騎士たちが、壁のように控えている。
「さて、リリアーナ。約束の三日間は終わったぞ」
王太子が、値踏みするような、いやらしい目つきで私を見る。
「我々を待たせただけの成果、見せてもらえるのだろうな?」
「ええ。もちろんですわ、殿下。この女も、自分の立場を理解したことでしょう」
イザベラが、私の代わりに答えるように、自信ありげに微笑んだ。
彼女は、私がこの場で儀式場を蘇らせ、それが全て自分の手柄になることを信じて疑っていないのだろう。
その浅ましさに、私は内心で冷たく笑った。
(……もう、迷いはない)
昨夜、私は確かに感じた。
遠く離れたアレクシス様と、魂が繋がったという、確かな実感があった。
彼は、私のことを信じて待っていてくれる。いや、あるいは、もうこちらへ向かってくれているかもしれない。
だから、私は戦う。
この力の全てを懸けて。
彼のために、そして、私自身の未来のために。
私はゆっくりと立ち上がると、儀式場の中心へと、迷いなく歩み出た。
「さあ、早く始めなさい」
イザベラの傲慢な声が、背後から飛んでくる。
私は誰にも答えず、ただ静かに目を閉じた。
意識を、内へ、深く、深く、沈めていく。
(思い出すのは、ヴァインベルクの、あの荒れ果てた大地)
(私の力を受け入れて、緑を取り戻していった、あの愛おしい土地を)
そして、この儀式場に渦巻く、巨大な呪いの力。
死のエネルギー。
それを、恐れない。
むしろ、歓迎する。
——おいでなさい。私の糧となるがいい。
心の中で、強く、女王のように命じる。
すると、儀式場に満ちていた淀んだ空気が、まるで生き物のように、私の中へと、濁流となって流れ込んできた。
全身が引き裂かれそうなほどの、凄まじい負のエネルギー。
「ぐっ……ぅ……!」
思わず、呻き声が漏れる。
だが、私は歯を食いしばって耐えた。
その負のエネルギーを、私の内なる生命の光で、優しく、しかし力強く包み込み、浄化し、そして——***変換***する。
マイナスを、プラスの力へと。
死を、生の力へと。
私の身体が、器となる。
呪いという猛毒を飲み干し、それを極上の蜜へと変える、禁断の錬金術。
「な、何が起きているの……? この女、何を……!?」
イザベラの戸惑う声が聞こえる。
私の身体から、光が溢れ出した。
最初は、いつものような、淡い若葉色の光。
しかし、呪いの力を取り込むにつれて、その輝きはどんどん、どんどん増していく。
若葉色は、やがて、生命の息吹そのものに満ちた、鮮烈な***エメラルドグリーン***の輝きへと変わっていく。
「おお……!」
「な、なんだ、この神々しい光は……!?」
王太子や騎士たちが、驚愕の声を上げる。
私の身体を中心に、エメラルドグリーンの光の奔流が、巨大な竜巻のように渦を巻き始めた。
儀式場の空気が、変わる。
死の匂いは消え失せ、代わりに、雨上がりの森のような、清浄で、甘い生命の香りが満ちていく。
私は、ゆっくりと目を開けた。
もはや、そこに絶望の色はない。
あるのは、この世界の生命を司る、慈愛と、そして、悪しき者を決して許さないという、強い意志だけ。
「さあ、ご覧なさい」
私の声は、儀式場全体に、聖なる鐘の音のように、厳かに響き渡った。
「これが、私の……***本当の力***です」
その言葉を合図にするかのように。
私の足元から、エメラルドグリーンの光が、儀式場全体へと、美しい波紋のように、一斉に広がっていった。
反撃の時が、来たのだ。
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