偽聖女と蔑まれた私、冷酷と噂の氷の公爵様に「見つけ出した、私の運命」と囚われました 〜荒れ果てた領地を力で満たしたら、とろけるほど溺愛されて

放浪人

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第30話(最終話):氷の公爵と、生命の女神の誓い

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城門の前、熱狂する領民たちが見守る中、アレクは私の前に跪いていた。
彼の蒼い瞳は、真摯な、燃えるような光を宿し、私だけを、まっすぐに、その瞳の中に映している。

「リリアーナ」

彼の、低く、そしてとろけるように甘い声が、私の名前を呼ぶ。
周囲の歓声が、まるで遠い世界の音のように聞こえる。
世界に、今、私たち二人だけしかいないかのようだった。

彼は、私の右手を取り、その甲に、再び、騎士が女王に誓いを立てるかのように、敬虔な口づけを落とした。

「かつて、俺の世界は、呪いという名の、分厚い氷に閉ざされていた。感情も、温もりも、全てが凍りつき、未来などない、永遠の冬の中を生きていた」

彼の言葉は、静かな、魂からの告白だった。

「だが、君が、俺の世界に、光をくれた。君という春が訪れて、俺の心の氷を、優しく、そして跡形もなく溶かしてくれたんだ」

彼の言葉の一つ一つが、私の心に、温かく、深く、染み込んでいく。

「君は、俺の唯一の光だ。俺の、生命の女神だ。……リリアーナ」

彼は、そこで一度、息を吸い込み、そして、彼の人生で、最も大切な言葉を、世界中に響き渡るような声で、紡ぎ出した。

「——どうか、俺の妻になってほしい。俺の隣で、永遠に、笑っていてくれないか」

プロポーズ。
彼からの、真っ直ぐな、一点の曇りもない、愛の言葉。

私の瞳から、大粒の涙が、ぽろぽろと、止めどなくこぼれ落ちた。
でも、それは、悲しみの涙じゃない。
嬉しくて、幸せで、どうしようもなく、愛おしくて……そんな、温かい、温かい涙だった。

「……はい」

私は、涙でぐしゃぐしゃの笑顔で、しかし、力一杯、頷いた。

「喜んで……! あなたの、お嫁さんに、してください……!」

私の返事を聞いた瞬間、アレクの顔が、くしゃりと、子供のように嬉しそうに綻んだ。
彼はすっくと立ち上がると、私の身体を、そのたくましい腕の中へと、壊れ物を扱うように優しく、しかし二度と離さないという強い意志を込めて、強く、強く、抱きしめた。

「ああ、リリアーナ……! 愛している……! 世界中の誰よりも、愛している……!」

「私も……! 私も、あなたを愛しています、アレク……!」

お互いの気持ちを確かめ合うように、私たちは、固く抱きしめ合った。
その瞬間。

——わああああああっ!!!

私たちの周りで見守っていた領民たちから、今日一番の、地鳴りのような大歓声と、祝福の拍手が巻き起こった。
誰もが、自分たちの敬愛する領主と、領地を救った聖女の幸せを、心から、本当に心から喜んでくれていた。

アレクは、私を抱きしめた腕を緩めると、私の顔を、その両手で優しく包み込んだ。
そして、ゆっくりと、その顔を近づけてくる。

彼の美しい顔が、目の前に迫ってくる。
私は、そっと、幸せを噛み締めながら、目を閉じた。

唇に、柔らかく、そして、少しだけ強引で、熱い感触。
それは、彼との、初めての口づけだった。
不器用で、でも、彼の愛情が全て伝わってくるような、とろけるほどに甘い、甘いキス。

長い、長いキスが終わった時、私たちは、お互いの額をこつんと合わせたまま、見つめ合って、どちらからともなく微笑んだ。

「一生、幸せにする。約束する」

「はい……!」

この日、偽聖女と蔑まれた少女は、この国で最も愛される、公爵妃となった。
氷の公爵と呼ばれた男は、呪いから解放され、愛する人と、領民と共に、輝かしい未来を歩み始めた。

私たちの物語は、たくさんの困難があったけれど、こうして、最高のハッピーエンドを迎えた。
でも、これは、終わりじゃない。
これから始まる、二人の、そして、この緑豊かな領地の、永い永い、幸せな物語の、ほんの始まりに過ぎないのだから。

中庭で、私たちが初めて出会った、あの薔薇の木が、私たちの未来を祝福するかのように、風に揺れて、見事な大輪の花を咲かせていた。

【本編 完】
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