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サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)
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エリア内に足を踏み入れた直後、
ピシィっと空間にヒビが入って、パリィンと音をたてて割れた。
バラバラに吹き飛んだ空間の破片が、
(……ほう)
まるで意思を持っているかのようにユラユラとうごめく。
破片は地に落ちた雪の結晶ように、キラキラと崩れていき、細かな粒子へと変わっていった。
輝く粒子が美しく配置され、地面に奇怪な魔法陣を形成していく。
『――――― 侵入者を確認。第一級迎撃プログラム起動。《零死》のストラトスジオメトリ、生成終了。顕現せよ。神のまにまに ―――――』
どこからか声が響き渡った。
そして、宣言される。
『
サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)――出撃準備完了
』
やがて、奇怪なジオメトリは、地面だけでなくエリア中を覆い尽くす。
「グルル――」
ギチギチと不快な音をたて、空間を切り裂き、粒子をわななかせ、どこからか、『何か』がやってくる。
「グルゥ――グル――ゥゥ――」
次第に『何か』の姿が鮮明になる。
「ググ……カハァ……コハァアアアアアア」
銀に輝く七つの鋭い眼光。漆黒の体躯。白銀の亜粒を放散している神々しい翼。
そして、禍々しさを醸し出す、全身を拘束してる神鋼の鎖。
現れた、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)の威容を見て、センは、右手で顔を隠して天を仰いだ。
「ふぇぇ……センス丸かぶりだよぉ…………なんだか、とっても、恥ずいよぉ……」
泣きそうな声でそんな事を言っているセンに、
「だから言った。アレを前にすれば嘆くしかない。幼児退行しているヒマがあるなら、はやく、逃げた方がいい。今なら、まだ――」
などと、的外れな心配をしてくるユンドラの言葉は無視して、センは『あいたたた』のポーズのまま言う。
「アダム、あれぶっ壊せ」
「かしこまりました」
恭しく返事をすると同時、アダムは、音を立てずにフワリと飛びあがり、空中で、両手に魔力を集める。
バチバチと音を立てている密度の高いエネルギー。
「……【異次元砲】」
両手を、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)に向けて、ハッキリとコールすることで、その練り上げられたエネルギーは、秩序を持った幻想的な輝きにかわり、そのまま一直線に放出される。
「グルルァアアアアアアア!!!!!!」
輝きは、一瞬でサイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)を飲み込んで消えた。
サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)は、アダムが魔法を唱えてから、二秒でこの世から完全に姿を消したのだった。
さようなら、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)。
「な……ぁ……まさか……ど、どういう……」
流石に、無表情ではいられず、口と目を開いて、驚愕をあらわにしているユンドラ。
何度か、パクパクと口を開いたり閉じたりしてから、
「が、外界の者は……存在値100以下しかいないはず……なのに……どうして……存在値500を超えているアレを……」
「お前が言っている外界ってのは、この大都市の外の事だな? そのさらに外にも世界があるって情報はインプットされているか?」
「異世界のこと? ……情報としては頭に……どういうものかは分からないけれど――」
「ほう……」
そこで、センは頭を働かせる。
(異世界の存在は認知していても、詳しい事は知らない……か。知識の境目があやふやだな)
心の中でブツブツ言いながら、
「異世界って概念を知っているなら、それで充分。端的に言えば、アダムはこの世界の者じゃない。異世界から来たアルファ種の突然変異。存在値は1200。あの程度のオモチャには負けない」
「……存在値……1200? ま、まさか……異世界の神……?」
「神種は芽吹いているがアダムは神じゃない。神はあそこまで眩しくない。もっと野暮だ」
「……まるで……神を知っているかのような口ぶりね」
「誰だって知っているだろう? 神は心の中にいるんだから。ああ、お前の神は死んでいるんだっけ? でも、死んでいる事は知っている。なら、情報量は俺と大して変わらねぇ」
フワフワとした言葉。
中身が伴っていないように見えて、どこか、歪んだ深さが滲んでいる。
『本物の空っぽ』を感じさせるだけの、何か――
「……あなた達は…………あなたは……いったい、誰?」
「センエース。探偵さ」
「たん……てい?」
「おっと、悪い、悪い。あまりにも『流れの収まり』が良かったもんで、つい口をついて出てしまった。忘れてくれ。俺は決して、薬で小さくなった名探偵なんかじゃねぇ」
「……」
「ところで、一つ聞かせてくれないか。お前が恐れているアレってのは、いつ出てくるんだ? まさか、さっきのガラクタの事じゃないよな? もし、そうだとしたら、本当に傑作だぜ」
ピシィっと空間にヒビが入って、パリィンと音をたてて割れた。
バラバラに吹き飛んだ空間の破片が、
(……ほう)
まるで意思を持っているかのようにユラユラとうごめく。
破片は地に落ちた雪の結晶ように、キラキラと崩れていき、細かな粒子へと変わっていった。
輝く粒子が美しく配置され、地面に奇怪な魔法陣を形成していく。
『――――― 侵入者を確認。第一級迎撃プログラム起動。《零死》のストラトスジオメトリ、生成終了。顕現せよ。神のまにまに ―――――』
どこからか声が響き渡った。
そして、宣言される。
『
サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)――出撃準備完了
』
やがて、奇怪なジオメトリは、地面だけでなくエリア中を覆い尽くす。
「グルル――」
ギチギチと不快な音をたて、空間を切り裂き、粒子をわななかせ、どこからか、『何か』がやってくる。
「グルゥ――グル――ゥゥ――」
次第に『何か』の姿が鮮明になる。
「ググ……カハァ……コハァアアアアアア」
銀に輝く七つの鋭い眼光。漆黒の体躯。白銀の亜粒を放散している神々しい翼。
そして、禍々しさを醸し出す、全身を拘束してる神鋼の鎖。
現れた、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)の威容を見て、センは、右手で顔を隠して天を仰いだ。
「ふぇぇ……センス丸かぶりだよぉ…………なんだか、とっても、恥ずいよぉ……」
泣きそうな声でそんな事を言っているセンに、
「だから言った。アレを前にすれば嘆くしかない。幼児退行しているヒマがあるなら、はやく、逃げた方がいい。今なら、まだ――」
などと、的外れな心配をしてくるユンドラの言葉は無視して、センは『あいたたた』のポーズのまま言う。
「アダム、あれぶっ壊せ」
「かしこまりました」
恭しく返事をすると同時、アダムは、音を立てずにフワリと飛びあがり、空中で、両手に魔力を集める。
バチバチと音を立てている密度の高いエネルギー。
「……【異次元砲】」
両手を、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)に向けて、ハッキリとコールすることで、その練り上げられたエネルギーは、秩序を持った幻想的な輝きにかわり、そのまま一直線に放出される。
「グルルァアアアアアアア!!!!!!」
輝きは、一瞬でサイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)を飲み込んで消えた。
サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)は、アダムが魔法を唱えてから、二秒でこの世から完全に姿を消したのだった。
さようなら、サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様)。
「な……ぁ……まさか……ど、どういう……」
流石に、無表情ではいられず、口と目を開いて、驚愕をあらわにしているユンドラ。
何度か、パクパクと口を開いたり閉じたりしてから、
「が、外界の者は……存在値100以下しかいないはず……なのに……どうして……存在値500を超えているアレを……」
「お前が言っている外界ってのは、この大都市の外の事だな? そのさらに外にも世界があるって情報はインプットされているか?」
「異世界のこと? ……情報としては頭に……どういうものかは分からないけれど――」
「ほう……」
そこで、センは頭を働かせる。
(異世界の存在は認知していても、詳しい事は知らない……か。知識の境目があやふやだな)
心の中でブツブツ言いながら、
「異世界って概念を知っているなら、それで充分。端的に言えば、アダムはこの世界の者じゃない。異世界から来たアルファ種の突然変異。存在値は1200。あの程度のオモチャには負けない」
「……存在値……1200? ま、まさか……異世界の神……?」
「神種は芽吹いているがアダムは神じゃない。神はあそこまで眩しくない。もっと野暮だ」
「……まるで……神を知っているかのような口ぶりね」
「誰だって知っているだろう? 神は心の中にいるんだから。ああ、お前の神は死んでいるんだっけ? でも、死んでいる事は知っている。なら、情報量は俺と大して変わらねぇ」
フワフワとした言葉。
中身が伴っていないように見えて、どこか、歪んだ深さが滲んでいる。
『本物の空っぽ』を感じさせるだけの、何か――
「……あなた達は…………あなたは……いったい、誰?」
「センエース。探偵さ」
「たん……てい?」
「おっと、悪い、悪い。あまりにも『流れの収まり』が良かったもんで、つい口をついて出てしまった。忘れてくれ。俺は決して、薬で小さくなった名探偵なんかじゃねぇ」
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