異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔

文字の大きさ
36 / 110

18-2

しおりを挟む
「いばっ」
「こっちはいい、前の奴だけやるぞ!」
「は、はい!」
「はっはー! 仲良くやってろぉ」

 は?
 なんでトレインマンの声が前方から聞こえるんだよ。
 まさか魔法陣?
 止まっているモンスターの足元を見ても、それらしきモノはない。

 転移魔法か?
 だけど詠唱をしていたようには見ない。
 消える瞬間、奴がしていたのは……何かを手に持っていた。
 ビー玉みたいなものを。

 もしかすると転移系のマジックアイテム!?

「止まれっ──そっちもだっ」

 セシリアを巻き込まないよう、彼女の真横に立ってスキルを使う。
 
「俺を飛び越えて奥のモンスターを狙えるか?」
「はいっ。奥やうっ」
「なら俺が手前の奴らを倒す!」

 突っ込んでハンマーを叩きつける。

 ──打撃じゃ一撃で止めを刺すのも難しい。

 確かにな。神父の言う通りだ。
 一撃で止めを刺すなら……柄を回転させて刃を振るう。
 首を切り裂けば、次の瞬間にはモンスターの体はどろりと溶けた。

 十秒のうちに五体を倒し、一時停止。
 前方では風が巻き起こり、モンスターが次々に溶けていく。

「行ける! 次で魔法陣まで走るぞ!!」
「うんっ」

 前後に一時停止──
 右手のハンマーでモンスターを殴り飛ばし、左手でセシリアの手を引いた。

「走るぞおぉぉー!」

 ──私、隆二のことが好き。愛してる。

 気持ち悪い気持ち悪い。
 なんでこんな時に思い出すんだチクショーッ!

「あぁぁークソっ」

 繋いだ手をぎゅっと握る。
 離すもんか。離すもんかっ!

 セシリアは違う。あの女とは違うっ。

「いば、あうないっ。リヴァ!!」

 そうだ──俺は……隆二じゃない。
 俺はリヴァだ。
 ただのリヴァだ。

「名前、ちゃんと言えたじゃねえかセシリア」
「リヴァ、前ぇーっ」
「あぁ、分かってる!」

 前からやって来る。

 階段下の魔法陣を超えて、奴が……トレインマンが向かってくる。
 その手にはビー玉のようなものが握られていた。

「させるかよ!」

 瞬き──ビー玉を手にしてにやりと笑うトレインマン──の手からビー玉を奪い取る。
 後ろから迫って来るモンスターは無視だ。

「あぁクソッ。追加モンスターが邪魔だっ」
「リヴァあしてっ。こえ、こう!」

 セシリアが俺からビー玉を奪い取って、ぎゅっと掴んだ。掴んで、俺にぴったりとひっつく。
 足元が光り、視界が真っ白になったかと思ったら──見えていたモノが一変した。

「二人ともしゃがめ!!」
「は?」

 聞き慣れた声がして、咄嗟に体が動いた。
 セシリアの頭を抱え込むようにしてその場にしゃがみ込む。

「"慈愛と豊穣の女神ウェンディアの下、光あれ──ホーリー・バースト"」

 眩しっ。
 光が周囲を包んだ。
 あまりにも眩しくて目が開けていられない。

 閉じていても分かるほどの輝きはほんの一瞬。

「ふぃー。いやぁ、間に合って良かったなぁお前ら」

 魔法陣の隣、階段下に仁王立ちした男が、俺たちを見てにやりと笑った。

「カッコ良すぎだろ、エロ生臭変態イケメン神父」
「んなぁーっ!? ランクダウンしたあぁぁーっ」

 なんでそうなるんだよ……。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

処理中です...