幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました

マルローネ

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6話 アウザーと出会った その1

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「行きましょうか、フィリップ様」

「そうだな、しばらく中央公園を散策するとしようか」

「はい、よろしくお願い致します」


 私はとりあえず、アウザー様とメリスを無視することにした。二人を横切る形で歩き出す。


「こんな場所で出会うとは……意外だったぞ、ミアスタ」

「久しぶりね、ミアスタ」

「……アウザー様、それにメリスも……」


 私は話し掛けられたことに嫌悪していた。空気の読める人物ならば、ここは無視して進むはずだ。この二人空気が読めないのだろうか……いや、読めたとしても読む気が最初からないのでしょうね。なんとなく分かってしまった。


「何か用でしょうか? アウザー様やメリスに声を掛けられる義理はないと思いますが?」

「おいおい、散々じゃないか。これでも私は元婚約者だろう? もう少し優しく接してくれても良いんじゃないか?」

「その通りよ、ミアスタ。私だって大切なあなたの幼馴染じゃない」


 どの口がそんな言葉を出しているのだろうか? 舌を引っこ抜いてやりたくなった。二人の表情は笑っている……わざと私の神経を逆撫でする発言をして反応を楽しもうとしているのだろう。とても性格の悪い二人だった。信じられない……。


「いい加減にしてもらおうか、二人とも」

「おや、これは……フィリップ・トルストイ公爵令息ではありませんか。ミアスタと一緒にどうしたのですか?」

「ミアスタ嬢と一緒に中央公園を訪れたのだが、それがどうかしたか?」

「あら、もしかしてそれは、デートですか?」

「それは……」

「違います」


 私はキッパリと二人に言った。フィリップ様は私を元気付ける為に連れ出してくれたのだ。デートだなんてことは一切ない。何よりもそんな誤解を与えてしまうとフィリップ様に申し訳がなかった。


「あら、違うんだミアスタ?」

「ええ、違うわメリス。あなた達と違ってフィリップ様は、その優しさから私を元気付ける為に外へ連れ出してくれたのよ」

「ぷっ……! 引き籠ってたんだ、ミアスタ!」

「ええ……誰かさんのせいでね」


 私はメリスを睨みつけたけれど、彼女は全く悪びれている素振りを見せなかった。口元を抑えて笑っている。

「まあ、それが真実でしょうね。フィリップ様程の人がミアスタをデート相手に選ぶとは思えないもの」

「ええ、そうね……」


 私は悔しさでいっぱいだったけれど、ここは我慢するべきだと思った。主にフィリップ様の名誉を守る為に……。

 しかしその直後、フィリップ様はとんでもないことを口にした。


「メリス嬢、何を勘違いしているのか知らないが、おそらく君の考えは間違っているぞ」

「えっ、どういうことですか……?」

「今回の件がデートでないのは確かだ。ミアスタ嬢を元気付ける為に中央公園に来たということで正しい。しかし、私とて誰にでもそういうことをするわけじゃない。特に好意のない人間にはとても出来ないさ」

「ふぃ、フィリップ様……?」


 私は一瞬、耳を疑ってしまった……それはメリスやアウザー様も同じだったようで、一斉に耳を掃除している。でも、聞き間違いではないわよね……。
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