幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました

マルローネ

文字の大きさ
5 / 11

5話 フィリップとお出かけ その2

しおりを挟む
「ほら、やはり中央公園は素晴らしい景色だな」

「そうですね……噴水も綺麗ですし。虹が見えて来そうです」


 私達は馬車から降り、中央公園の景色を眺めていた。自然と溶け合うように設置されている噴水が本当に綺麗だ。他にも幾つかの遊具や大きな柱時計が設置されていたりする。それ以外は木々が整然と生い茂っている。噴水のところからは東西南北の4か所に道が整備されていた。

「屋敷に居るのとこちらに居るのでは空気の旨さも違うのではないか?」

「そうかもしれませんね……中央公園の空気には味がするような気がします」


 明らかに公園に来て正解だったと言えると思う。自室に籠っているばかりでは、暗い事しか考えないしね。お父様やお母様達、使用人の人達にも迷惑を掛けてしまったわ。

「でも、申し訳ございません」

「ん? どうしたんだ、急に?」

「せっかく連れ出していただいたことは感謝しております……ですが、すぐには心が晴れないと思います……」

「それは分かっているさ。何かのきっかけになるだけでも良いんだ。それだけでも、連れて来た意味があるというものだ」

「はい、ありがとうございます」

 フィリップ様は決して私に無理強いをしていない。あくまでも心を癒す為のきっかけを与えてくれているわけだ。その優しさが伝わって来るようだった。この方は明らかにアウザー様やメリスとは人種が違う。

 いえ、同じ人間であることには変わらないのだけれど、それでも彼らと一緒にするのは失礼に思えてくる。何気ないしぐさ等からもそれを感じることが出来た。彼は決して気安く私に触れたりはしないし。そういったところからも優しさが垣間見えた。

「さて、どうしようか? 少し歩くとしようか?」

「そうですね……私は歩きたいです」

「よし、決まりだな」

 少しずつで良い……少しずつ前に進んで行こう。そう思える日になりそうだった。なりそうだったのだけれど……前方を見ると二人の男女の姿が見えた。私は思わずしかめっ面になってしまう。

「アウザー殿とメリス嬢か……」

「まさかこんなところで会うとは……」

 ここはデートスポットだった。彼らが居たとしても不思議ではないのかもしれない。むしろ、カップルではない私達が居る方が不自然だ。

 どうしよう……無視して通りたいけれど、彼らは私達を凝視しているようだった。何か話さないと流石に不自然よね……。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

婚約破棄をされましたが私は元気です

にいるず
恋愛
 私モリッシュ・ペートンは伯爵令嬢です。3日前に婚約者であるサミエル・コールマス公爵子息が、話があるとペートン伯爵邸にやってきました。そこで好きな人ができたから婚約破棄してほしいといわれました。相手は公爵家です。逆らえません。私は悲しくて3日間泣き通しでした。  ですが今、幼馴染のエドワルドとお茶をしています。エドワルドにはずいぶん心配をかけてしまいました。  あれ?さっきまですごく悲しかったのに、今は元気です。  実はこの婚約破棄には、隠された秘密がありました。  ※サミエルのその後編始めました。よろしくお願いいたします。

婚約破棄?から大公様に見初められて~誤解だと今更いっても知りません!~

琴葉悠
恋愛
ストーリャ国の王子エピカ・ストーリャの婚約者ペルラ・ジェンマは彼が大嫌いだった。 自由が欲しい、妃教育はもううんざり、笑顔を取り繕うのも嫌! しかし周囲が婚約破棄を許してくれない中、ペルラは、エピカが見知らぬ女性と一緒に夜会の別室に入るのを見かけた。 「婚約破棄」の文字が浮かび、別室に飛び込み、エピカをただせば言葉を濁す。 ペルラは思いの丈をぶちまけ、夜会から飛び出すとそこで運命の出会いをする──

【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます

衿乃 光希(キャラ文芸大賞短編で参加中)
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。 婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。 シェリーヌは16年過ごした国を出る。 生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。 第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。 第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。

とある侯爵令息の婚約と結婚

ふじよし
恋愛
 ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。  今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……

幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。 同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。 そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。 あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。 「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」 その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。 そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。 正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。

聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。

佐藤 美奈
恋愛
聖女のクロエ公爵令嬢はガブリエル王太子殿下と婚約していた。しかしガブリエルはマリアという幼馴染に夢中になり、隠れて密会していた。 二人が人目を避けて会っている事をクロエに知られてしまい、ガブリエルは謝罪して「マリアとは距離を置く」と約束してくれる。 クロエはその言葉を信じていましたが、実は二人はこっそり関係を続けていました。 その事をガブリエルに厳しく抗議するとあり得ない反論をされる。 「クロエとは婚約破棄して聖女の地位を剥奪する!そして僕は愛するマリアと結婚して彼女を聖女にする!」 「ガブリエル考え直してください。私が聖女を辞めればこの国は大変なことになります!」 「僕を騙すつもりか?」 「どういう事でしょう?」 「クロエには聖女の魔力なんて最初から無い。マリアが言っていた。それにマリアのことを随分といじめて嫌がらせをしているようだな」 「心から誓ってそんなことはしておりません!」 「黙れ!偽聖女が!」 クロエは婚約破棄されて聖女の地位を剥奪されました。ところが二人に天罰が下る。デート中にガブリエルとマリアは事故死したと知らせを受けます。 信頼していた婚約者に裏切られ、涙を流し悲痛な思いで身体を震わせるクロエは、急に頭痛がして倒れてしまう。 ――目覚めたら一年前に戻っていた――

【完結】幼馴染に告白されたと勘違いした婚約者は、婚約破棄を申し込んできました

よどら文鳥
恋愛
お茶会での出来事。 突然、ローズは、どうしようもない婚約者のドドンガから婚約破棄を言い渡される。 「俺の幼馴染であるマラリアに、『一緒にいれたら幸せだね』って、さっき言われたんだ。俺は告白された。小さい頃から好きだった相手に言われたら居ても立ってもいられなくて……」 マラリアはローズの親友でもあるから、ローズにとって信じられないことだった。

幸せな結婚生活に妻が幼馴染と不倫関係、夫は許すことができるか悩み人生を閉じて妻は後悔と罪の意識に苦しむ

佐藤 美奈
恋愛
王太子ハリー・アレクサンディア・テオドール殿下と公爵令嬢オリビア・フランソワ・シルフォードはお互い惹かれ合うように恋に落ちて結婚した。 夫ハリー殿下と妻オリビア夫人と一人娘のカミ-ユは人生の幸福を満たしている家庭。 ささいな夫婦喧嘩からハリー殿下がただただ愛している妻オリビア夫人が不倫関係を結んでいる男性がいることを察する。 歳の差があり溺愛している年下の妻は最初に相手の名前を問いただしてもはぐらかそうとして教えてくれない。夫は胸に湧き上がるものすごい違和感を感じた。 ある日、子供と遊んでいると想像の域を遥かに超えた出来事を次々に教えられて今までの幸せな家族の日々が崩れていく。 自然な安らぎのある家庭があるのに禁断の恋愛をしているオリビア夫人をハリー殿下は許すことができるのか日々胸を痛めてぼんやり考える。 長い期間積み重ねた愛情を深めた夫婦は元の関係に戻れるのか頭を悩ませる。オリビア夫人は道ならぬ恋の相手と男女の関係にピリオドを打つことができるのか。

処理中です...