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28話 計画 その2
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「フリックの様子は……エリザ、君の目から見てどのように映っている?」
「アルゼイ様……?」
改心? のフリック様の態度を見てしばらくした時、アルゼイ様はふと話題を彼のことに戻した。先ほどまではフリック様が去って行った、アルゼイ様の私室で楽しく談笑していたのだけれど。
「なんと申し上げて良いのかは正直、わかりかねます。あのフリック様のことですから……」
「ふむ、君もやはりそう思うか」
「はい、アルゼイ様。先ほどの言葉だけを信じて、彼が改心した、もう大丈夫だと考えるのは早計だと判断いたしました」
確かにキングダム侯爵の危険性を訴えていたフリック様に、以前のような身勝手な雰囲気は感じ取れなかったけれど……ただ、それすら演技の可能性だってある。人生を楽に快適に生きて行くことが目標になっているフリック様だけに、180度とも言える改心は本当に怪しかった。
「キングダム侯爵、フリック第三王子殿下の両名には監視を送ってはいるのだが……」
「そうだったのですか?」
「ああ。しかし、四六時中の監視というのはなかなか難しいのだがな。この後、呼んでみるとするか」
呼んでみるよいうのは、監視の任に就いている方からの報告を受けている人を呼ぶよという意味だ。まさか、直接監視をしている人を呼ぶわけにはいかないだろうからね。
なんだか忙しくなりそうだった。
------------------------------
「それで、フリックとキングダム侯爵の件だが……どうなっている?」
「はい、アルゼイ王子殿下。恐れながら、答えさせてただきます」
現れたのはアルゼイ様の側近の一人である、ハモンド様だった。彼は軽く咳払いをしれから、アルゼイ様の質問に答えた。
「二人は稀に会い、なにやら王位継承争いに関する内容について相談し合っているようです。つい先ほどもキングダム侯爵と会っているのが目撃されております。話していた内容については正確には分からないですが……お役に立てず、申し訳ありません」
「いや、十分だ。内容については後程、調べれば良い……しかし、改心の意を示した者がキングダム侯爵とそこそこの回数会っているのは、おかしいな……エリザもそう思わないか?」
「そうですね。特に改心の意を表した直後に会っているというのは解せません。内容的に言えば、キングダム侯爵とは縁を切るという決意を示したものなのかもしれませんが」
「それは今後、調べていけばすぐに分かるだろう。どのみち、フリックを信用するのはまだ早い、これだけ分かれば簡単に行動できるというものだ」
「左様でございますね」
もしも本当に改心しているのだとしたら、フリック様には申し訳ないけれど……これも自業自得というものだわ。いえ、まともな感情を持っているのなら、あれだけの会話で私達が完全に信用したとは思わないはず。改心をしたのだとしたら、調べられても堂々としていればいいのだからね。
逆にやましいことがある場合は……それだけ挙動不審になるというものだわ。私とアルゼイ様のフリック様に対する行動方針が決まった瞬間だった。
「アルゼイ様……?」
改心? のフリック様の態度を見てしばらくした時、アルゼイ様はふと話題を彼のことに戻した。先ほどまではフリック様が去って行った、アルゼイ様の私室で楽しく談笑していたのだけれど。
「なんと申し上げて良いのかは正直、わかりかねます。あのフリック様のことですから……」
「ふむ、君もやはりそう思うか」
「はい、アルゼイ様。先ほどの言葉だけを信じて、彼が改心した、もう大丈夫だと考えるのは早計だと判断いたしました」
確かにキングダム侯爵の危険性を訴えていたフリック様に、以前のような身勝手な雰囲気は感じ取れなかったけれど……ただ、それすら演技の可能性だってある。人生を楽に快適に生きて行くことが目標になっているフリック様だけに、180度とも言える改心は本当に怪しかった。
「キングダム侯爵、フリック第三王子殿下の両名には監視を送ってはいるのだが……」
「そうだったのですか?」
「ああ。しかし、四六時中の監視というのはなかなか難しいのだがな。この後、呼んでみるとするか」
呼んでみるよいうのは、監視の任に就いている方からの報告を受けている人を呼ぶよという意味だ。まさか、直接監視をしている人を呼ぶわけにはいかないだろうからね。
なんだか忙しくなりそうだった。
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「それで、フリックとキングダム侯爵の件だが……どうなっている?」
「はい、アルゼイ王子殿下。恐れながら、答えさせてただきます」
現れたのはアルゼイ様の側近の一人である、ハモンド様だった。彼は軽く咳払いをしれから、アルゼイ様の質問に答えた。
「二人は稀に会い、なにやら王位継承争いに関する内容について相談し合っているようです。つい先ほどもキングダム侯爵と会っているのが目撃されております。話していた内容については正確には分からないですが……お役に立てず、申し訳ありません」
「いや、十分だ。内容については後程、調べれば良い……しかし、改心の意を示した者がキングダム侯爵とそこそこの回数会っているのは、おかしいな……エリザもそう思わないか?」
「そうですね。特に改心の意を表した直後に会っているというのは解せません。内容的に言えば、キングダム侯爵とは縁を切るという決意を示したものなのかもしれませんが」
「それは今後、調べていけばすぐに分かるだろう。どのみち、フリックを信用するのはまだ早い、これだけ分かれば簡単に行動できるというものだ」
「左様でございますね」
もしも本当に改心しているのだとしたら、フリック様には申し訳ないけれど……これも自業自得というものだわ。いえ、まともな感情を持っているのなら、あれだけの会話で私達が完全に信用したとは思わないはず。改心をしたのだとしたら、調べられても堂々としていればいいのだからね。
逆にやましいことがある場合は……それだけ挙動不審になるというものだわ。私とアルゼイ様のフリック様に対する行動方針が決まった瞬間だった。
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