有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

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39話 次期国王の座 その2

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「兄上、私は兄上に次期国王陛下になってもらいたいと思っています」

「えっ……?」


 ジェイド王子殿下に挨拶をした後、そんな言葉が彼から返ってきた。私もアルゼイ様も思わず顔を見合わせてしまう。何かの陰謀なのではないかとすら思えた程だ……えっ? ジェイド王子殿下は次期国王陛下の座をアルゼイ様に譲ると言ったのよね? 間違いないわよね?

「あの、ジェイド王子殿下……私の聞き間違えであれば、非常に申し訳ないのですが……次期国王陛下の座をアルゼイ様に譲るという意味合いで宜しいのでしょうか?」

「ええ、その通りですよエリザ嬢。弟のフリックがあんなことになった今、私は兄上と争う気はありませんので」

「さ、左様でございますか……」

 私は拍子抜けしてしまったのか、一気に緊張感が削がれた気がした。ジェイド王子殿下が嘘を言っているようには見えなかったのも大きいとは思うけれど。

「思ったよりも好戦的な性格ではなかったのだな、ジェイド」

 アルゼイ様の言葉にジェイド王子殿下は首を横に振った。違う、ということを表しているのだと思われる。

「いえ、違いますよ兄上……私も本来であれば、兄上達と王位継承を巡って争うつもりではありました。私が好戦的ではないと言うのは間違いかと思われます。しかし、そうも言っていられない状況になったと判断いたしましたので」

「なるほど、それで私に次期国王の座を譲ってくれるというわけか」

「はい、国民の感情を考えましても、兄上が国王になる方が良いと判断した結果であります。これは弟からの信頼の証とお考えください」

「そうだな……ありがたく受け取っておくとしよう」

「はい、よろしくお願いいたします。それから、エリザ嬢」

「は、はい……!」

 会話の途中で私の名前を呼ばれたので、素っ頓狂な声をあげてしまった。恥ずかしい……。

「アルゼイ兄上は優秀だとは思いますが、至らない部分もあるかと思います。ご迷惑をおかけいたしますが、兄上のことを見守っていただけると、非常に助かります」

「ジェイド王子殿下……畏まりました。お任せください」

 むしろ、私がアルゼイ様の迷惑にならないようにしなければならないと思うけれど……ここは敢えて、自信満々に頷くことにした。ジェイド王子殿下もそれを望んでいると感じたからだ。

「やれやれ……私の対外的な評価は思いのほか、低いのかもしれないな」

 頭を抱えているアルゼイ様を前に、私とジェイド王子殿下は笑っていた。この先に見える、王国の明るい未来を考えながら。
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