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2話
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いきなり教室に入って来た兵士達に私は囲まれてしまった。何がなんだか本当にわからない。なんだか怖くなってきたわ。
「ビスタ王子。彼女を拘束してもよろしいですね?」
「ああ、拘束してくれ」
「ちょ、ちょっと待って……! 嘘でしょう!?」
私の両手には手錠が掛けられてしまった。下手に抵抗したら本当に殴られる恐怖があったからだけど。信じられない、なんでこんなことに……。
「お前は侯爵令嬢であるマリアを虐めていたんだ。いきなり拘束されるのは当然のことだろう? まったくとんでもないことをしてくれたものだな。私の大切なマリアに」
「何を言ってるんですか、ビスタ様! そんなことしているわけないのは、あなたが一番知っているでしょう!?」
とても冗談のような雰囲気ではない。ビスタは本気で態度を変えている。先ほどまで普通に話していたのが嘘のようだ。これは本気で私を犯人に仕立て上げる気ね。
ビスタがこんなに怖い人間だったなんて。彼はマリアと結婚したい理由をわざわざ私に伝えた上で、私を悪者にしようとしているのだ。先ほどまでの話が消えてしまっているだけで、どれほど恐ろしいことか……一体、ビスタは何者なんだろう。
本当に王子様なの?
「マリアからも証言を取っている。さらに他の生徒の何人かもお前が虐めていたと証言していた。最早、言い逃れなど出来ないぞ。テレーズ」
「……」
そんなシナリオが秘密裏に行われていたなんて……なんてことだろう。私を拘束した兵士達はこのことを知っているのだろうか? どちらにしても拘束を解いてくれることはなさそうだけど。
「あの、ビスタ様の言っていることは嘘なんです。拘束を解いてください!」
「そんなこと出来るわけないでしょう? 王子命令ですよ」
やっぱり無理だったか……分かっていたけれど。そのまま私は連行されてしまった……あり得ない。
-----------------------
その後、私は王国が誇る地下牢に連行……ではなくて、生徒会長室に連れて来られた。教室を移動しただけなんだけど、生徒会長の姿はなく、扉には鍵が掛けられた。事実上の監禁状態だ。
ビスタと兵士達は私をここに閉じ込めたあと、すぐにどこかへ行ってしまった。何を考えているのか分からない。扉の外には見張りがいるだろうし、窓の外にも見張りがいるでしょうね。
「どうしてこんなことに……ビスタはこれを機に私と婚約破棄を進めるつもりでしょうけど」
あまりにも分かりやすい悪者シナリオだ。父上であるネスタ国王にも、この虐めの話で婚約破棄を許してもらうつもりなのだろう。私はマリアとの面識はないのだから虐められるわけもないのに。こんな話を信じてもらっても困る。でも、その辺りは第6王子の権限でなんとかしてしまうのかしら?
そうだとしたら私や周囲が思っている以上に、第6王子という権限は強いのかもしれないわね。
「入るわよ」
「えっ?」
びっくりした。いきなり生徒会長室の扉が開けられ、中に女性が入って来たのだから。あれ、この女性はもしかして……。
「テレーズね。私はマリアよ、よろしく」
「え……では、ビスタの幼馴染の……?」
「そういうことになるわね」
意外過ぎる人物が入って来た。私が虐めている設定の相手がここに来るなんて、一体、どういうことなのかしら?
「ビスタ王子。彼女を拘束してもよろしいですね?」
「ああ、拘束してくれ」
「ちょ、ちょっと待って……! 嘘でしょう!?」
私の両手には手錠が掛けられてしまった。下手に抵抗したら本当に殴られる恐怖があったからだけど。信じられない、なんでこんなことに……。
「お前は侯爵令嬢であるマリアを虐めていたんだ。いきなり拘束されるのは当然のことだろう? まったくとんでもないことをしてくれたものだな。私の大切なマリアに」
「何を言ってるんですか、ビスタ様! そんなことしているわけないのは、あなたが一番知っているでしょう!?」
とても冗談のような雰囲気ではない。ビスタは本気で態度を変えている。先ほどまで普通に話していたのが嘘のようだ。これは本気で私を犯人に仕立て上げる気ね。
ビスタがこんなに怖い人間だったなんて。彼はマリアと結婚したい理由をわざわざ私に伝えた上で、私を悪者にしようとしているのだ。先ほどまでの話が消えてしまっているだけで、どれほど恐ろしいことか……一体、ビスタは何者なんだろう。
本当に王子様なの?
「マリアからも証言を取っている。さらに他の生徒の何人かもお前が虐めていたと証言していた。最早、言い逃れなど出来ないぞ。テレーズ」
「……」
そんなシナリオが秘密裏に行われていたなんて……なんてことだろう。私を拘束した兵士達はこのことを知っているのだろうか? どちらにしても拘束を解いてくれることはなさそうだけど。
「あの、ビスタ様の言っていることは嘘なんです。拘束を解いてください!」
「そんなこと出来るわけないでしょう? 王子命令ですよ」
やっぱり無理だったか……分かっていたけれど。そのまま私は連行されてしまった……あり得ない。
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その後、私は王国が誇る地下牢に連行……ではなくて、生徒会長室に連れて来られた。教室を移動しただけなんだけど、生徒会長の姿はなく、扉には鍵が掛けられた。事実上の監禁状態だ。
ビスタと兵士達は私をここに閉じ込めたあと、すぐにどこかへ行ってしまった。何を考えているのか分からない。扉の外には見張りがいるだろうし、窓の外にも見張りがいるでしょうね。
「どうしてこんなことに……ビスタはこれを機に私と婚約破棄を進めるつもりでしょうけど」
あまりにも分かりやすい悪者シナリオだ。父上であるネスタ国王にも、この虐めの話で婚約破棄を許してもらうつもりなのだろう。私はマリアとの面識はないのだから虐められるわけもないのに。こんな話を信じてもらっても困る。でも、その辺りは第6王子の権限でなんとかしてしまうのかしら?
そうだとしたら私や周囲が思っている以上に、第6王子という権限は強いのかもしれないわね。
「入るわよ」
「えっ?」
びっくりした。いきなり生徒会長室の扉が開けられ、中に女性が入って来たのだから。あれ、この女性はもしかして……。
「テレーズね。私はマリアよ、よろしく」
「え……では、ビスタの幼馴染の……?」
「そういうことになるわね」
意外過ぎる人物が入って来た。私が虐めている設定の相手がここに来るなんて、一体、どういうことなのかしら?
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