3 / 7
3話
しおりを挟む「マリア様がどうしてここに……? 話は聞いているんですよね?」
「話っていうのは、あなたが私を虐めているというシナリオについてかしら?」
「それです」
シナリオって言った。やはり裏で進行していたんだわ。ビスタは最初から私を嵌めるつもりだったのね。いつから計画していたのかしら。このマリアも共犯よね……?
「ビスタはあなたとの婚約を破棄する為にとんでもない計画を実行したのよ。当然、私も知っているわ」
「知らないはずはないですよね。一体、どういうつもりなんですか?」
私は怒りが込み上げて来た。マリアは全てを知った状態で私のところへ来ているのだから。今すぐにでも飛びかかりたいくらいだわ。でも、そんなことをすれば本当に牢獄行きだ。でも納得いかないことに変わりはない。
ビスタは性格的にやってもおかしくなかったけど、このマリアまでそんな性格をしていたなんて。流石は幼馴染ということかしら。
「勘違いしないで欲しいのだけど、私は計画を知ってはいたけれど納得していたわけではないわ」
「えっ?」
「ビスタからあなたを蹴落とす計画を聞かされた時、止めるべきだったと反省しているわ」
「マリア様……?」
確かマリアは噂では高貴な雰囲気を纏った才女だと言われていたはず。そんな彼女がビスタの計画に賛同するのは確かにおかしなことだけれどこれはもしかして。
「納得されていなかったのなら、なぜその時に言わなかったのですか? 結果的に私は捕らえられ大変なことになりつつあります」
「そうね悪かったと思っているわ。ビスタは私の大切な幼馴染だったから……なんとなく言い出しにくかったのよ。そのお詫びとして私はここに来ているの」
「お詫びですか?」
ビスタを止められなかったお詫びとしてここに来ている、ということか。そうなると、彼女が来た目的は……。
「あなたをここから出してあげるわ」
やっぱり……思った通りだった。でもそれは大きなリスクが伴うはずだ。
「大丈夫なんですか? そんなことをして」
「大丈夫なわけはないわ。ビスタはあれでも第6王子……見つかれば大変なことになるでしょうね。その前にこの学園を出て助けを求める必要があるわ」
「なかなかリスキーですね、それは……」
「でも、それしか方法がないわよ。このままだとあなたは地下牢行きだから」
それは流石に嫌だわ。地下牢はひどく寒いと聞くし風邪が流行しているともされている。環境の酷さでは王国トップクラスだろう。そんなところには入れられたくない。
これはマリアに付いて行くしかないわね。罠である可能性も否定できないけれど、彼女の眼は真剣だったからそれを信じることにした。
26
あなたにおすすめの小説
私の物をなんでも欲しがる義妹が、奪った下着に顔を埋めていた
ばぅ
恋愛
公爵令嬢フィオナは、義母と義妹シャルロッテがやってきて以来、屋敷での居場所を失っていた。
義母は冷たく、妹は何かとフィオナの物を欲しがる。ドレスに髪飾り、果ては流行りのコルセットまで――。
学園でも孤立し、ただ一人で過ごす日々。
しかも、妹から 「婚約者と別れて!」 と突然言い渡される。
……いったい、どうして?
そんな疑問を抱く中、 フィオナは偶然、妹が自分のコルセットに顔を埋めている衝撃の光景を目撃してしまい――!?
すべての誤解が解けたとき、孤独だった令嬢の人生は思わぬ方向へ動き出す!
誤解と愛が入り乱れる、波乱の姉妹ストーリー!
(※百合要素はありますが、完全な百合ではありません)
私の婚約者様には恋人がいるようです?
鳴哉
恋愛
自称潔い性格の子爵令嬢 と
勧められて彼女と婚約した伯爵 の話
短いのでサクッと読んでいただけると思います。
読みやすいように、5話に分けました。
毎日一話、予約投稿します。
とっても短い婚約破棄
桧山 紗綺
恋愛
久しぶりに学園の門を潜ったらいきなり婚約破棄を切り出された。
「そもそも婚約ってなんのこと?」
***タイトル通りとても短いです。
※「小説を読もう」に載せていたものをこちらでも投稿始めました。
婚約破棄とはどういうことでしょうか。
みさき
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」
それは、出来ません。だって私はあなたの婚約者ではありませんから。
そもそも、婚約破棄とはどういう事でしょうか。
※全三話
※小説家になろうでも公開しています
婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください
satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。
私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…
婚約者を奪っていった彼女は私が羨ましいそうです。こちらはあなたのことなど記憶の片隅にもございませんが。
松ノ木るな
恋愛
ハルネス侯爵家令嬢シルヴィアは、将来を嘱望された魔道の研究員。
不運なことに、親に決められた婚約者は無類の女好きであった。
研究で忙しい彼女は、女遊びもほどほどであれば目をつむるつもりであったが……
挙式一月前というのに、婚約者が口の軽い彼女を作ってしまった。
「これは三人で、あくまで平和的に、話し合いですね。修羅場は私が制してみせます」
※7千字の短いお話です。
僕のお姫様~愛情のない両親と婚約者に愛想を尽かして婚約破棄したら平民落ち、そしたら目隠しをした本当の末姫に愛された~
うめまつ
恋愛
もう我が儘な婚約者にうんざりだ。大人しかった僕はとうとうブチキレてしまった。人前で、陛下の御前で、王家の姫君に対して大それたことを宣言する。
※お気に入り、栞ありがとうございました。
※婚約破棄の男視点→男に非がないパターン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる