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4話 サンセットの余裕
しおりを挟むサンセット・メジラマ侯爵視点……。
「そういえば、サンセット様。こんな話を聞きましたわ」
「ん? 何のことだシリス嬢?」
私はウィンベルに代わる新たな婚約者を部屋に呼んでいた。シリス・トークン公爵令嬢……家格としては、私よりも上の令嬢になる。ふふふ、私は完全な勝ち組になったというわけだな。
「あなたが振った相手……誰でしたっけ? あの、伯爵令嬢の……」
「ああ、ウィンベル・マリストル伯爵令嬢だな」
「ええ、その人物ですわ」
まさかウィンベルの話になるとはな……全く、なぜ私があんな娘のことを考えなければならないのか。身体も簡単に差し出さずに、頭が固くて不愉快だったな。だからこそ、あの婚約破棄はいい気味だった……なんせ、慰謝料も支払わないと、ハッキリと言ってやったのだからな! 実に愉快だったぞ。
「ウィンベルがどうかしたのか? シリス嬢」
「サンセット様は確か、婚約破棄の慰謝料を支払わないとおっしゃったのですわよね?」
「ああ、そうだな……ハッキリと言ってやったよ。流石にマズかったかな、わはははは」
「それが確か、マリストル伯爵がその慰謝料の件を議会に訴えているらしいですわ」
「なんだと……?」
ウィンベルは当然、自らの父親であるアグラス・マリストル伯爵に報告しただろう。その余波で議会への訴えが始まったということか。ウィンベルには脅しを掛けていたが……やはり、あの娘を脅すだけでは、慰謝料の件は封じ込められなかったか。
「アグラス・マリストル伯爵も馬鹿な奴だな。どうやら、自分達の立場を分かっていないらしい」
「確かにマリストル伯爵はサンセット様よりも身分は低いですが、慰謝料の件をなかったことになんて出来ますの?
私、妙なトラブルに巻き込まれるのはゴメンでしてよ?」
「心配するな、シリス嬢。お前は私の後ろをついて来れば問題ないのだ。ふふふ、マリストル伯爵が議会に訴えたところで全く意味など成さないさ」
私は議長を始め、何人かの議員と親交が深い。色々な理由を付けて、その訴えを退けることくらいはワケないのだよ。ふふふふふっ。まったく、マリストル伯爵家はバカしか居ないのだろうな……ウィンベルといい。
このサンセット・メジラマを敵に回してタダで済むと思うなよ?
「でも、実際問題として大層なことをやりましたね。婚約破棄自体は完全にサンセット様が悪いのでしょう?」
「お前との浮気が原因だからな。表向きの理由としては、公爵令嬢との政略結婚をするから、伯爵令嬢とは別れる……というものだが」
「うふふふ、本当は単なる浮気でしかなかったのに……サンセット様は悪い方ですわ」
「ふふふ、政略結婚の意味合いも強いのだから、問題ないだろう?」
「まるで政略結婚なら、先に締結されていた婚約を、破棄しても良いみたいな言い方ですわ」
「貴族社会なんてそんなものさ」
ウィンベルはまだまだ経験不足だったようだな。今回の慰謝料未払いの件でたっぷりと思い知るが良い……。
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