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3話 婚約破棄の報告 その2
しおりを挟む「ヴィクター兄さま……」
「ウィンベル! 話は使用人から聞いているが……婚約破棄というのは、事実なのか!?」
「あ、それは……」
ヴィクター兄さまの感情的な言葉に、私はついつい返答が遅れてしまった。私の為に怒ってくれているのだろうけれど、少しだけ怖くなってしまう。
ちなみにヴィクター兄さまとは血縁的にも実の兄ということになる。
つまり、私とヴィクター兄さまは二人揃ってマリストル家の人間になったということになるわね。
「ヴィクター兄さま……婚約破棄については事実でございます。私としても信じられないのですが……」
「な、なんてことだ……! サンセット様は一体、何を考えているんだ!?」
「それは……」
サンセット様は正直、深くは考えていないと思われる。シリス・トークン公爵令嬢との婚約は大義名分というか……実際は彼女の美貌に惚れたというのが事実なんでしょうね。つまりは浮気でしかないわけで。
「サンセット様はシリス・トークン公爵令嬢と浮気をしたのだと思います。そこに、大きな計画などはないと思いますよ」
「浮気だと……? その為に、お前を振ったというのか……?」
ヴィクター兄さまは右手に力を込めて握りこぶしを作っていた。とても怒ってくれているのが分かる光景だ。
「ヴィクター、少し落ち着くのだ。まあ、怒る気持ちも分かるがな」
「父上……申し訳ございません……」
「いや、私も同じ気持ちではあるから、分からなくはない」
お父様の嗜めにヴィクター兄さまは少し落ち着いたようだった。私としては、非常に申し訳ない気持ちになってしまう。私の失態で二人にいらない心配を掛けてしまったのだから……。
「申し訳ございません、お父様、兄さま……。私のせいで心配を掛けてしまって」
「いや、ウィンベル。お前が謝ることではない。さて、この後をどうするかだが……」
「父上、まずは議会に申し送りをするのは如何でしょうか?」
「確かにそれが普通の判断だと言えるな。サンセット様は、身勝手な婚約破棄をしておいて、ウィンベルの慰謝料を支払う気がないらしいからな」
「な、なんと……そんなことが……!」
慰謝料未払いの件はヴィクター兄さまも驚いていた。まあ、普通はそういう反応になると思う。私も同じような反応をしてしまったし。
ヴィクター兄さまの言う通り、まずは議会に相談するのが通常の対策かもしれないわね。私は二人の判断に身を任せることにした。私一人では何かをするのが難しい事柄だと思うから……。
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